攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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神様ってのは大体多面的なものですから……(慈愛溢れるブラック笑顔)

 気になる愛知さんの事情については、いずれインターフェイサーへの勧誘話を持ちかける際にお聞かせ願うこととして。残るもう一人の勧誘対象者について話が移る。

 いや、というかこちらの方についてはもはや内定者だ……北欧神話の戦乙女、ヴァルキリーのレギンレイヴさん。織田こと北欧大神オーディンの意向によりこちら側へと出向する予定らしい方だね。

 

「イヴさん……レギンレイヴさんについては織田のほうから連絡が来てたよ。インターフェイサーへの加入については向こうも乗り気で、ゆえに彼の口から俺達サイドの事情も説明してくれたってさ」

「マジですか父様!? やったぜ、これでインターフェイサーの新メンバーに一人確保だな!」

「外部からの参入第一号がまさかの概念存在とはな……システム領域と概念領域を、つなぐパイプ役としての機能も期待されてのことと認識するが」

「ああ、俺も織田もまずはそこを気にしてるよ。そもそもからして織田は、こちらとの楔のつもりで彼女を出向させるつもりだからね」

 

 すでに決まっていた、外部からのインターフェイサー参加者第一号。

 シャーリヒッタやヴァールもこの話が出た当時に俺と同席していたのですでに分かっていたけど、他ならぬイヴさんの意向を問うてからってことでひとまず待機中だったからね。

 

 概念存在がいの一番に参入することにどこか、不思議な感覚を覚えているらしいヴァールにコメントしつつ俺は、イヴさんを巡っての織田の対応を思い返した。

 概念領域からシステム領域に向けて送り出す、友好と協調の証──ある種の親善大使的な立ち位置ともいえるのかな? そんな役割を期待してイヴさんを寄越してくる上で、あの北欧大神はいろいろと手を尽くしているようだ。

 

 手ずから彼女への説明を行うのはもちろんのこと、メッセージでやり取りするなかで分かったんだけどどうも最近では現世での立ち居振る舞いだとか常識だとかについて指導、教育を施しているとか。

 まあ、北欧神話圏の外へと出向させるわけだからね。事前教育は必要ってことなのだろう。同様になんと戦闘方面での訓練も軽くつけているのだとか。

 

 

『いくら出向先で山形公平、あなたの指導を受ける弟子としての立場があるとしても。その際に戦乙女といってもこの程度か、などと侮られるようなことがあっては我らの沽券にも関わります』

『そんなこと思いませんけども。イヴさんひいては北欧神話圏を下に見るなんてありませんのでそこは誤解なくお願いします』

『無論、そうした姿勢をも承知の上ですよ。ククク……最低限、私自ら彼女をより戦闘面で強化させた状態でお届けしましょう。インターフェイサーへと向かう彼女は我が名代も同じ、ならばこそこちらの威厳を担保するためにも、手を尽くさねばなりませんからね』

『お、お手柔らかにお願いします……』

 

 

 などという、メッセージ上でのやり取りを思い返して背筋にひやりとしたものを覚える。怖ぁ……やる気満々じゃんあの戦の神。

 要は面子問題、北欧神話はこのくらいの戦力を代表として送るんやぞという見栄の話でもあるんだろう。そのへん任侠的というか、舐められるわけにいくものかという矜持が窺えるね。

 

 ちなみに今のやり取りからでも分かる通り、どうしたことかイヴさんは一応俺の弟子、みたいなものとして向こうでは扱われてしまっている。

 柄じゃなさすぎて勘弁してもらいたいものの、先方のイヴさんたっての希望だもんで断るのもさすがに躊躇われたのだ。

 

 そこにインターフェイサーへの加入も決まって、いよいよ逃げられないし。なんかこう、良い感じにアレコレ指導というか助言をしなければならないのがこれから先の俺ちゃんなわけだね。

 そのあたりの流れを、詳しく知らないミュトスや神奈川さんやステラにも含めてまるっと話す。

 まずは誰あろう元神様、ミュトスが反応して身を震わせた。

 

「ひ、ひええぇ……! や、やっぱり大分ブラックなのではあの大神様!? か、かつての上司も直属の下級神にいきなり"人間界で人間の手伝いしてこい、トチったら権能だけ残して魂バラすわ"みたいなこと言ってましたけど、それと同じなのでは!?」

「そこまで言ってないから! というかおっかない最高神さんだね怖ぁ……」

「前から思ってましたけど物騒ですねー、その最高神さん……」

「は、はいぃ……正真正銘最高神様でしたけども……戦乱と破壊と死と疫病と災害を司り、裏腹に平和と創造と生と健康、安寧をも司る二面性のある大神様だった感じだったので……!」

「……あ、あぁー。なるほど、そういう手合いかぁ。要は自然現象である死と新生、そのすべての象徴として祀り上げられたモノだったんだな、おそらく」

「み、みたいです。私のなかで魔天さんがうんうんうなずいてますし」

 

 理不尽ブラック上司の極みみたいな発言を、していたらしい魔天世界の最高神。聞いてたミュトスがビビるのも無理ないわな、これ。今ではもうアルマに食われてしまったけれど。

 しかして話を聞くに、これもおそらくはその神のロール、人々のイメージを受けての役割ゆえのものなのだろう。

 

 つまり破壊と再生、破滅と創造。つねに循環構造にある世界の理そのものの具現としての振る舞いだね。

 だからミュトスの印象でこそウルトラパワハラ上司なんだけど、それとは別に慈悲と慈愛深き最高神としての振る舞いをも見せていた場面もあったはずだ。

 

 同じく最高神の織田だって、知的好奇心旺盛で思慮深い一面を俺たちには見せているものの、イヴさん相手にはちょっとこう、おっかない感じだもの。

 これがあるから概念存在ってのも奥が深いのだ。誰しもが持つ二面性を、分かりやすく強調しているモノもいるんだからね。




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