攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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因果律レベルで安全を保障してくるタイプの御加護

 ミュトスの元いた世界、魔天世界の最高神のおっかなさを鑑みて──この世界の北欧神話最高神も、程度の差はあれ似たような怖さを持っているのかも知れない。

 何しろ目下の話題である戦乙女のイヴさんについて、インターフェイサー加入にあたって織田のほうでもいろいろ仕込みを入れているみたいだからね。

 かの大神から聞いた話を、精霊知能達とも共有する。

 

「織田のほうからシステム領域について、イヴさんに説明してもらったってのはさっき言ったとおりなんだけど……同時に彼女からの情報漏洩を危惧して、結構な対策も同時に施してるみたいだ。そこはイヴさんとの面通しの前に共有しておくよ」

「対策……か。言っていたな、この間の対談の際に。首輪をつけておくとか」

「本当にそのもの首輪でないにしろ、レギンレイヴの生殺与奪を握るタイプの措置だろうなァ。正味な話、仮にこっちを探ってくるワルがいたとして狙い目は間違いなくアイツかおかし三人娘だろうし」

「さすがにイヴさんの魂にまで損傷がいくような規模のは止めてほしいとはこちらから伝えてあるよ。いくら情報漏洩だからってそれで存在ごと消滅とかされたら、こちらとしても後味が悪いし」

 

 首輪──情報漏洩防止策と言えば聞こえはいいが、要はそれをトリガーにして発動するなんらかの粛清装置だろう。

 織田はそういうものをイヴさんに与えて、機密情報の保護とするのだと言っていた。

 

 イヴさんからすれば生殺与奪を握られるようなもの、堪ったものじゃないところはあるだろう。

 しかしながら転ばぬ先の杖ということで、そこはこちらからもある程度はご承知いただきたいところだ。

 

 もちろん、マジで存在ごと消滅させる系のは控えてくれとは織田にも伝えてあるけどね。そこまでされるくらいならいっそ漏らしてくれても良いよ、さすがに。

 と、そこまで話していてシャーリヒッタの言葉に、別口の懸念を抱き挙手する者がいた。リーベだ。

 

「あー、そこを言うとおかし三人娘も心配ではありますよねー……とはいえそちらはそうなったらたぶん、始原の四体なり他の概念存在なりが動くでしょうけどもー」

「アメさんの愛され力、相当なものだろうからなあ……とはいえそこについても問題なのはたしかにそうだな。現状こちら側について知っているのはアメさんだけだけど、インターフェイサーに協力してもらうとなるとさすがにチョコさんやガムちゃんにもある程度は知っといてもらうべきだとは思うし」

「難しいところだな……特にその三人は実力的にもまだまだ新人探査者だ。狙い所とするならば、レギンレイヴよりもむしろそちらの三人のほうがあり得るところでもある」

「イヴさん、私の目から見ても結構なお手前ですからねえ」

 

 情報漏洩云々の話をするならば、イヴさんよりもおかし三人娘のほうを気にするべきではないか。蓋し正論と言うかもっともな指摘である。

 そもそもミュトスが言うようにイヴさんは立派な概念存在、ヴァルキリーの一体でありその実力も大したものだろう。少なくともデビューしたての三人娘よりは戦闘経験も豊富だろうし。

 

 おかし三人娘もいずれは大成するだろうというのが俺やリーベの見立てだし、なんなら今現在でも始原の四体の力を借りて新人らしからぬ戦闘力を保有しているのも事実だ。

 とはいえやはり、彼女達に余計な危害が及ぶ危険性は絶対に無視できない。真実を知っているのが現状アメさんだけではあるけど、今後のことを考えたらさわり程度にチョコさんガムちゃんにも話しておくべきかとも思うし。

 

 ……こっちはこっちで安全弁が必要か。

 そういうことならと、俺はみんなに意見を述べた。

 

「だったらイヴさんに対しての織田同様、おかし三人娘に対しては俺が対策を施すよ。どういう形でかはあとで考えるとして、彼女達の安全を確保できるだけのものを用意する」

「山形さんが……コマンドプロンプト様が手ずからですか。それはまた、その三人娘ってのは豪勢というかなんというか」

『うん、すっごい贅沢。因果律管理機構直々の手厚い保護だなんて、精霊知能のなかには聞いたら羨ましがるモノも絶対にいる』

「でもたしかに、三人娘さん達に迫りくる何者かの魔の手があった時、そういう加護があるなら安心ですねえ。何しろ最高神どころの話でない、正真正銘この世界そのものによる加護みたいなものですし」

 

 向こうがやるならこっちもやればいいじゃない。イヴさんには織田が、おかし三人娘には俺が対策を施しておけばいいのだ。

 彼女達の権利や自由を一切阻害せずしかし、こちらを探る者あらばこれを遮断できるだけの、何らかの措置をね。

 

 神奈川さんやステラ、ミュトスも目を丸くしつつ納得してうなずいてくれる。

 豪勢かどうかは知らないけど、協力いただくにあたっての最低限の保障ってやつだ、きっちりしっかりやるさ。

 

「なんならオレが今羨ましいぜ! 良いなー三人娘良いなー! 父様の保護なんて娘的にはぜひとも欲しいやつだぜそれ、なあ姉貴に妹!」

「そ、そうですかねー?」

「ワタシは別段、必要な者にこそ安全保障は与えられるべきだと思うが……あとワタシは妹ではない、どちらかと言えば姉だ」

「えぇ……?」

 

 一方でこちらの三姉妹は、何やらズレた角度からのリアクションをしている。

 そもそも精霊知能にはわざわざ措置を施す必要がないってだけなんだけどね……この場の誰もが戦闘力はA級からS級クラスだし、そもそも逃げようと思えば空間転移で即、システム領域まで逃げられるし。

 そういう意味では、システム領域こそ絶対安全領域と言えるんだよね。




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