攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
体育祭は文化祭とは違い、今日一日で終わり。だもんでテンポよくテキパキとプログラムが行われていく感じだ。
徒競走終わって次、玉入れと綱引き。こちらもやはり俺と関口くんは見学である。探査者が混じるとやはり、いろいろとバランスが崩壊したり安全面が担保できなくなるからね。
まあ、こういう日もある。探査者がこの手の体育会系イベントに参加できないのは社会通念上当然の常識なので、傍目に見ればサボってるように見える俺達を余人がとやかく言うわけでもない。
むしろさっきからチラホラと他の学年クラスのみなさんがこっちを見ては、納得したようにうなずいているほどだった。
「山形くんと関口くん、探査者だし参加はできないよな。そりゃそうだ、混じってこられたら勝負にならんし」
「山形くんなんて空まで飛べるんでしょ? 玉入れもへったくれもないもんね」
「久志のやつがああやって大人しいのも珍しいな。いつもどうしたってキラキラ輝いて自然と目立ってるのに、今日は目立ちたがりの陰キャ野郎なんかと並んでお座りってか。あんなやつほっとけっての……お人好しだぜ、あいつもよ」
「そういう言い方よくないよ。でも、なんか意外ではあるかも。久志くん最近はずいぶん山形くんのこと気にかけてるとは思ってたけど、まるで友達って感じ」
「えー、なくなーい? アレが久志の友達って、ちょっとねー? だって宗教の人だしー?」
基本的にはこちらの立場を理解してくれつつも、やはり俺みたいな雑草が関口くんという学校超えて地域のイケメンと並んで座っている姿には目を丸くしている人もいる。
なんならどうしたことか、気に入らない人までいる始末。俺達も見学だしなんとなくこうしているだけだし、あまり気に障られてもなあって感じがする。あと宗教については言及しづらい、つらい!
そもそもそんなに並んでって感じでもなく、多少の間は空けてるし。密着なんてしてるわけもないのにね。
同じく話を聞いていたのか、関口くんが軽くため息を漏らした。なんぞや?
「まったく、あいつら……ゴシップ好きというかなんというか。俺がちょっと珍しいことしてるとこうやって騒いでくるんだ。なんか悪いな、山形」
「え? いや、まあ俺は別に……あんまり関わりないところだし。それに関口くんが謝る話でもないじゃん」
「それでもさ。最近じゃ、お前と結構話すことも増えたから、それをよく思わないのもいたりするんだよ。ほら、お前ってこう言うと悪いけど、大人しくて地味で外見もそんなにパッとするほうじゃないだろ?」
「ほらって言って本人に同意を求めることじゃなくない? 合ってるけど。自覚はあるけど」
なんたる言い草! 言い返せないのが悔しい! 自覚はたしかにあるけども、それはそれとして言われるのも何やらもんにょり!
ナチュラルに真実を突きつけてくる鬼畜イケメン関口くんに震える。普段誰にでも気を遣える彼なのに、俺には時折言葉が強いのなんなん? 別にいいけど。
ともかく彼が言うには、そんな大人しくて地味で外見もそんなにパッとするほうじゃないような俺と、最近それなりに仲良くしているのが気に入らないって人もいるんだと言う。
そもそもそこまで頻繁にやりとりしているわけじゃないので過剰反応だとは思うけど、概ねまあ、でしょうねって感じではあるよね。
「みんな、基本いいやつばっかりなんだけどな。それでも好き嫌いが絡むとどうしてもさ、自分と関わりの薄い、地味めな……あー、いわゆる陰キャって分類になる人を下に見るのもいたりする。もちろん、いじめとかって馬鹿なことをするやつは周囲にはいないけど」
「ああ、うん。まあ、そこはね」
「で、自分で言うのもなんだけど結構社交的で金もある俺の周りには、人が集まる分そういう手合いも増える。単純に母数が多いからってのもあるし、あとはまあ、俺自身陽キャに分類されるほうだろうしな。お前がどう思うかは知らないが」
「関口くんを陰キャ扱いはできないなあ、さすがに」
むしろ自覚的でいてくれてホッとするほどだよ。陽キャを自認する関口くんに本音からそう返す。
彼が陽キャじゃなかったら陽キャの定義が崩壊するまである。そのくらい関口くんは社交的でパーティーなんかも頻繁に開いて、その度に方々に人脈構築を行うことに力を注いでいたりもするのだとは俺も聞いている。
探査者としてもそうだし人間としても、正直、そういうところに対しては尊敬が強い。絶対やだもん俺、パーティー開いていろんな人呼んで人脈を築くとか。
最近、人と知り合い話すことが増えたから改めて思うけど、コミュニケーションって気力を使うからね。自分でない誰かと言葉を交わし合うんだから当然だけど、陰キャ的には新鮮な楽しさや学べることが多くありつつも、それと同様にゴリッゴリに疲れるのだ。
俺の場合はこの半年での探査者生活のなかで、自然と知り合えた仲間のみなさんとの縁がそれにあたるけど……陰キャのぼっちはあれはあれで、ひっそり静かに生きる静寂な平和があったのだと気づく今日この頃。
それを思えば、積極的に世界へと打って出ようとする関口くんの姿勢は、本当の本気で尊敬に値するものだと思うわけ。
まあ、そんな内心を伝えるのも小っ恥ずかしいから伝えはしないけども。
ともかくスゲー陽キャな関口くんは、俺の反応を受けてさらに言葉を重ねていった。
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