攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ちなみに冬でも日焼けはするから気をつけて!

 関口くんとの語らいもそこそこに、応援疲れも収まってきたのでまたクラスの皆の奮闘にエールを送ることにする。

 玉入れと綱引きは終わって、次は騎馬戦だ。各クラスで男女それぞれ一組ずつ騎馬を組んで、鉢巻きを取り合うやつだね。

 

 うちのクラスからは男子は関口くんの属するパリピ陽キャグループの一員、チャラ男の伊藤くんが騎手を務める。

 一方で女子のほうからはなんと我らがギャルこと梨沙さんが騎手を務め、熾烈な鉢巻き奪い合い合戦に挑もうとしていた。

 

「っしゃー! やったるぜ13組、俺らでテッペン取ったろーじゃーん!」

「ウオオオ伊藤がんばれー! 夏が終わってもまだ日焼けしてる伊藤がんばれー!!」

「ぶっちゃけ言うけど夏に焼きすぎたろお前! アロハしか勝たんみたいなノリでこのまま冬に突入する気か伊藤がんばれ!」

「応援どーも! 日焼けについてはやりすぎたのわかってるっつーの、このままだと冬でも浮かれ気分だっつーの!」

「えぇ……?」

「伊藤はいつも陽気というか、お調子者だなあ」

 

 もう秋どころか冬に至ろうって頃合いなのに、夏に日焼けしすぎたのかぜんぜんまだまだサマーバケーションな姿の伊藤くん。学生服なのになんだかトロピカルさを想起させるんだよね。

 そんな彼は関口くんの友達であることからも分かる通り相当な陽キャパリピだ。しかも見た目も結構攻めているというか、陰キャ的には地元で見かけたらあんまり目を合わせたくないファッションだったりもするんだけど……実はこれで相当人懐こい少年ハートの持ち主だったりする。

 

 何しろ夏休みにやってたらしいこと"最高の御当地ソフトクリームを探して日本縦断"って話だもの。食いしん坊の金持ちか?

 よっぽどソフトクリームが食べたかったんだろうけど、それにしたって日本津々浦々を回ったのはシンプルにすごい。

 

 なんなら香苗さんの認定式の日なんて、その都合もあって首都近くにいたんだとか。

 ウーロゴスを相手に空飛び光る俺を肉眼で見れねえかなーとかホテルから眺めつつ、自分は御当地ソフトクリームを食べてたって二学期の初め頃、そんなことを言ったりしてたよ。

 

 ともあれそんな伊藤くんだもんで、見た目いかつい陽キャパリピだけどクラス内の人気は関口くん並に高い。

 だから野次めいた声援も受けてるんだね。改めてだけどこのクラス、みんな仲いいなあ空気おいしい。

 

「梨沙ー、頑張ってー!」

「無理しないでね、梨沙ちー!」

「佐山も運動神経良いもんな、勝てるだろ」

「ってか体操服姿の女子良いよなあ。佐山さんだけじゃなくて馬役の子達も。眼福」

「おっさんか!? ……まあ分かるけどあんま言うなよそういうこと。中野扱いされるぞ」

「アイツいいヤツなんだけどね、それはやだな……」

 

 一方で梨沙さんにも相応にエールが送られてるね、こっちは伊藤くんみたいな感じのものでなく至極普通の声援だ。

 あといくらか、隣のクラスの男子達がひっそりとマニアックな話をしてもいる。でもその嗜好はともかくとして、中野くんと同じ扱いされるの嫌なんだな……まあ、彼はあけすけだものな。

 

 さてそんな梨沙さんはリラックスした様子で、馬役の子達に担がれつつも闘志を漲らせている。

 いつものギャルギャルしい感じの格好でなく体操服で、長いロングヘアも後ろに結っているのがまた、違った印象を与えてくるね。

 率直に言えば隣のクラスの男子達じゃないけど、非常に可愛くて魅力的だよ。俺も聞こえるかどうか分からないけど、エールを送る。

 

「梨沙さん、ファイトー!」

「あ、公平くん! 応援ありがとー! 公平くんの分まで頑張ってくるから、私のこと見ててね!」

「もちろんー! でも無理はしないでねー! 怪我したりしたら、大変だからねー!」

「はーい! ……えっへへへ、よーし! なんかすごく、今ならなんでもできそうな気がしてきた!」

 

 耳聡い子というべきかな、俺の声を聞き慣れてるのかすぐに反応を返してくれた。

 何やら気合十分みたいだけれど、あまり前のめりになりすぎて転落とかしないように気をつけてほしいよ。

 

 もちろん、そんなことになったらまた世界を停めてでもどうにかするけど。梨沙さんだけでなく他のみんなもそうだ、楽しいイベントにそういうのは良くないからね。

 

 見学しかできない身の上だし、もしもの時にはそのくらいのことはさせてもらうよ。

 そう考えつつのやりとり。しかし何やら馬役の女の子達が、ニヤニヤ笑ってキャーキャー騒いでいる? なんぞや?

 

「青春ですなぁ〜」

「青春でござるなぁ〜! いやあ、さしもの梨沙ちゃんもこうなるとデレッデレだねえ。よそのクラスの男子が地味に悔しがってるし」

「13組内だとみんな仲いいのもあるし普段から見せつけられてるのもあって慣れっこだけど、他のクラスや学年の人達からはねー……ま、トラブルとかにはならないだろうけど。だって山形くんだし」

「さすがに山形くん相手に喧嘩売るような真似、するやつなんていないもんね。梨沙ってば人を見る目、あるよねえ」

「もー、からかわないでよ! ほら、そろそろ始まるんだから準備準備!」

 

 どうやら珍しくも、梨沙さんがからかわれているみたいで彼女がほんのり顔を赤く染めている。

 たしかに……見れば他の学年やクラスの男子とか一部の女子が、どこか面白くなさそうに俺と梨沙さんを見比べているけど。まあ、学校レベルの人気美少女が陰キャと仲良くお喋りしてたらそりゃ、そうなるものか。

 

 それでもそのへんは一切気にしないでいてくれる梨沙さんは、やはり誰にでも分け隔てない素敵な子だと思うよ。

 そろそろ騎馬戦が始まる。照れた様子の彼女が、唇を尖らせて準備を促していた。




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