攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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不自由という自由、自由という不自由。どちらもお大事に!

 騎馬戦もその後、2年生3年生のぶんもやって。そうして最後には創作ダンスとかも披露されて体育祭のプログラムがすべて終わった。

 クラスのみんな、精一杯頑張ったから汗にまみれた良い顔をしているよ……一丸となって取り組んだからか、成績も1年生ではトップ、学校全体でも4位と大健闘したしね。

 これには応援しかしてなかった俺と関口くんもついつい、後方応援者面しちゃうってなもんだよ。

 

「すごいねえ、みんな。応援しかできなかったけど、本当にすごかったよ」

「だな。ていうかやっぱりこのクラス、他のクラスに比べてもみんな仲良いよなあ。普通もっとこう、グループごとで距離感ありそうなものなんだけど」

「そう、なんだ? ……そうなんだあ」

「なんだその歯切れの悪さは……」

 

 そう言われてもと、関口くんの言葉に頭を搔く。うちのクラスのみんなが、グループの垣根とかを超えて一致団結できるくらいには仲が良いってのは俺も見てて思うんだけど……

 これが普通なのかそうでないのかの判別はちょっと分からないかもだ。何しろ俺ちゃん、このクラスに来るまでは一向にぼっちだったし。

 

 幼稚園の頃もそうだったし、小学校ももちろんのこと。栗律中学校においても、俺は大体いつも一人ぽつねんと暮らしていた。

 無論、いじめとか無視されてたとかって話ではなく。時折話すクラスメイトとかもいたものの、特定のグループに属したり深く話し込んだりする、近しい距離の人が一人もいなかったのだ。

 

 精々が中学の時の学校のマドンナ、桜井って子が時折ちょっかいかけに来てくれたくらいかな。

 それもつまるところは向こうの気分というか、わざわざ他のクラスメイトがいるのに率先して俺のところに来るってほどでもなかったし。

 

 そして俺も、別に一人で居るのは嫌いじゃなかったからね。

 そこは勘違いされても困るんだけど、ぼっちというのもそれはそれで自由なものなのだ。

 

 いやー、こういうところにこそ諸々の原因があるのかもしれない自覚はあるけどね。

 でも良いじゃん一人で音楽聴いてゲームして読書してネットしてってのも。それで満足感があるならそれもまた一つの正解だと胸を張って言いたいところだよ。

 

 まあ、というかこういう感性も突き詰めると、アドミニストレータ計画に都合の良い人格に仕立てようとしたコマンドプロンプトの仕込みだったりするけどさ。

 山形公平は結局、最初から最期までそのためだけに生まれて生きて死んだんだから。

 邪悪なる思念を追い詰めて、最後の最期にコマンドプロンプトへとバトンを繋げるために用意された生贄用の疑似人格……それが本来"私"が想定していた"俺"なんだものね。

 

 

『それが土壇場の、文字通りの《奇跡》ってやつで今のそれか。君も大概その場のノリと勢いだけだね、人のこと言えたものじゃない。夢見るワールドプロセッサに、出たとこ勝負のコマンドプロンプト。ある意味お似合いなのかね、まったく』

 

 

 脳内でアルマが腐す通り、そうしたコマンドプロンプトたる私の前提は、その最後の最期さえ乗り越える奇跡の発現によって崩された。

 私と俺とが混ざり合い、新しい俺へと新生して──そうして大ダンジョン時代はこうして継続しているのだ。

 すべてなかったことにするのでなく、起きたことをも受け入れて前へと進む。他ならぬ山形公平の人生が、そこで培った因果が世界をそれでも続かせたんだ。

 

 まさしく人生万事塞翁が馬ってやつだ。こういうことがあるから、人生ってのは素晴らしいのかもね。

 精一杯に生を謳歌してそれを示すかのような、梨沙さんや松田くん達が俺のところまでやって来つつもそう思えた。

 

「公平くん公平くん! お疲れ様ー!」

「山形ぁ、頑張ったぜ俺達ーお疲れー」

「お疲れ様みんな! いやー応援してただけで疲れてはないけどね俺は。みんな本当にすごかったよ!」

「えっへへへ! 騎馬戦とかもう大変だったよ、なんか喧嘩が始まってるしさー」

 

 良い笑顔で集う、俺の友人達。特に梨沙さんは騎馬戦で素晴らしい活躍をしてくれたこともあり、クラス内でもMVPみたいな扱いだ。

 本当にすごかったよね、騎馬戦……っていうか弟くん争奪戦。あの後、例の二人は先生に呼び出し食らって説教されてたみたいだけど、観客からしてみれば盛り上がる試合だったとは思うよ。

 

 木下さんや片岡くん、遠野さんも寄ってきていつものグループでまとまりつつクラスへと戻る。関口くんもいつものリア充陽キャパリピ軍団へと戻ってるし、はーこれで体育祭も終わりか。

 こうなるといよいよ冬が到来するな。期末テストももうすぐだし、それが終われば年末進行ってことでいよいよ冬休みと盆と正月に向けた流れになっていく。

 

 いろいろ怒涛の一年だったけど、それももうすぐ終わるんだ。

 来年がどんな年になるにしても……まずは今を一歩一歩、抱きしめるように噛み締めて生きていかないとね。

 

「あーお腹空いたー!! ねえ帰りに商店街でおやつ食べよ! ハンバーガーショップで食い倒れ大会!」

「食い倒れるまで食べるのはさすがに真知子くらいじゃない? でもお腹はたしかに空いたし、どっか寄るのは賛成ー」

「おう、良いじゃん良いじゃん! じゃあ今日の放課後は商店街で決まりな! 山形はどうする? 探査するのか、今日も?」

「うん? いやいや、今日はみんなと過ごすよ。体育祭のアレコレ、話したいしね」

 

 例によってフードファイター遠野さんが空腹を訴え、食い倒れ宣言をナチュラルにしている。これには脳内のアルマさんもニッコリですね怖ぁ……

 松田くん達も動いた後なのでエネルギー補給は必要だし乗り気のようだ。俺もさすがに催事の後でダンジョン探査をする気もないし、ご一緒させてもらおうかな。

 

 そうして放課後、俺達は商店街へ向かい、ハンバーガーショップにて屯し。

 みな思い思いに存分な量、ジャンクフードに舌鼓を打ったのであった。




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