攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
「そう言えば今回、御堂さんはいないのか。こう言うとなんだけど、いつも一緒というイメージがなんだか強いんだけれど」
ダンジョンを降りてすぐ、一部屋目に辿り着いてもいない土塊の通路を歩く傍ら。愛知さんが唐突にそんなことを尋ねてきた。
別に、他意のない雑談程度の声色と表情だ。見ればシャルロットさんも気になっていたようで、微かにうなずいている。
いつも一緒……まあ、大体一緒、なのか。
少なくとも世間様には昨今ではすっかりと、シャイニング山形と御堂香苗は結構セットみたいに扱われつつあるって認識は俺にもある。
探査者方面での由来でなく、やはり例のカルト宗教絡みでのイメージが由来だけどね。
ただそれとは別に、実際探査活動のなかでもかなり一緒に探査しているというのも否定するつもりのない事実だろう。
何しろ俺からしてほぼ毎日探査しているし。そこにほぼ毎回ついてきては、カメラを回しているのが香苗さんだからね。
じゃあなんでそんな人が今回は不在なのか? そうした質問に答えていく。
「たまたま、香苗さんのほうに別の用事があったからですね。本人は当然、今回の探査に来たがっていましたよ。新進気鋭の若き天才S級とダンジョン聖教七代目聖女と救世主のトリオをぜひ撮影したかったとかなんとか。句読点がギアナ高地に行ってましたねー」
「ギアナ? ……そ、そうなのか。正直あのトーンでの宗教勧誘は対応に困るというか、反応しづらいところがあるのでこちらとしては、助かる話だけれど。あ、御堂さんが嫌いだとか苦手だとかではないからそこは誤解しないでほしい」
「分かってますよ。ちなみに、ここ半月ほど毎回探査に同行しては後ろから撮影されまくってたので、俺としてもそろそろ一服入れてほしかったところはありましたからね。いろいろ間が良かったということでひとつ」
「いや、それはそれで高すぎないだろうか頻度!? あの人自身の探査活動はどうなってるんだろう、それ」
首を傾げる愛知さんに、俺も首がもげるほどうなずきたい気分だ。あの人、ほぼ毎日俺とダンジョンに出向いた上で空いた時間で諸々のお仕事や本来の仲間達との探査活動をも行っているんだよ。
どんなスケジューリングと自己管理能力だよ、控えめに言って超人すぎる。
現在、俺の探査活動のペースは一時期に比べちょっぴり落ち着いたところはある。週に二日はお休み入れてるし、一日に三つも四つも踏破しているわけでもないし。
ただ、それに付き合いながら自分事をも同時並行的にこなしているのは並大抵のことじゃない。さすがに無理しすぎだよと言ったんだけれど、本人はむしろ輝かんばかりの良い笑顔で、
『何を仰るやら無理などとんでもない話ですたしかに我らが救世主山形公平様のダンジョン探査ペースは一時期より減少してもなお一般平均よりはるかに高いのは事実ですがそれを苦にしたことなど不肖伝道師ことこの御堂香苗にはただの一瞬たりとてありはしません同時に自身の探査活動やS級探査者としての各種業務やインタビュー講演等の仕事もありますがはっきり言ってそれらはA級トップランカーだった頃からすっかり手法を確立させているものなので今さら苦にもならないのです御身が私のような一般伝道師の身体さえお気遣いくださること感謝感動感激しきりでそれだけでも私の信仰力が極限さえ超えた無限大に高まりなんでもフルパワーで行える思いですがどうぞご心配なくそんなことより救世主様の御活躍をこのカメラとこの目と耳と五体五感ばかりか直感霊感第六感のすべてでもって見届け余すことなく世間へとお届けするという我が至高の活動を続けて参りましょう救世主様バンザーイ!!』
などと伝道してくる始末だ。怖ぁ……信仰が極まってる。
とにかくそんなわけで、あの人もあの人で大概ヤベーんすよという話をすれば愛知さんは顔を引き攣らせ、シャルロットさんは感心とも呆れともつかない顔を浮かべたりしていたのだ。
「……私も立場柄、過激派とまではいかずとも妄信的な信徒を目にする機会はいくらかありますが。御堂さんほどにまで極まった人にはお目にかかったこともありませんね。さすがです」
「もはやそこまでいくと、尊敬の念さえ湧いてくるな……特にS級としてのコラムや記事作成なんて、私はついついサボり気味になってしまっているから身につまされる思いだ」
「あ、やっぱりそういうお仕事あるんですね」
「まあ、ノルマ的に少しだけね。他のS級の方々はその手のことはまるでしてないけど、ほら、私も史上最年少だとか言ってマスコミが囃したから。アレコレと全探組や日本政府から催促されたりするんだ」
「えぇ……?」
香苗さんの仕事鉄人っぷりもさることながら、愛知さんも大概お忙しいんだな、やっぱ。
S級探査者ともなると、その手のスピーチやらコラム作成やらって仕事からは逃れられると聞いていたんだけど、この人の場合は特殊な来歴もあってちらほら残っているみたいだ。
そして香苗さんの場合は、A級トップランカーの頃からそうなので慣れっこ、ゆえにS級になったとて業務処理速度があるみたいなんだけれど……
これが意外な話、愛知さんはそういうのが苦手らしいということだった。
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