攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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伝道師からは別の意味のありがたみを感じるな……(信者)

 S級探査者でなくとも、A級探査者ともなれば有名になる確率も高くなってくるし、そうなると必然的に探査以外でのお仕事ってのも増えてくる傾向にある。

 たとえば探査者向け雑誌やネット記事の執筆とか、あるいは探査者イベントでの講演とか。場合によっては握手会とかサイン会なんかもやってることもあるかもしれない。

 

 まあ、そこまで行くとさすがにタレントもやってるような探査者なんだけどね。

 ともあれ探査業界のメインストリームたるA級で、ある程度以上に目立つとそういう依頼が来たりして、半ば芸能人みたいな扱いを受けることさえあるわけだ。

 

「……ただ、それもS級になると途端に落ち着いてくる。御堂さんはまだトップランカーからの昇級が間もないのと、御本人のキャラクターが探査者以外のところでバズっているから仕事が減っていないんだけど、普通はS級になると一旦、メインストリームから外れる傾向にあるんだ」

「ソフィアさんやマリーさんからも聞いたことがありますね。S級はいわば探査者達の頂点として、隔絶した位置に据えることで神秘性を確保して業界内の目標としての象徴的立場になってもらうとかなんとか」

「まさにそこだね。現状世界でも50人と少ししかいないS級は、その下にいる何千万という探査者達にとっての憧れたるべきで……その憧れがせかせかと毎日スピーチだサイン会だとしていたら、正直ありがたみが薄れるだろう? 私もミアさん……リスティさんの師匠にあたる元S級、ミア・ハーウェイさんからそう聞いたよ」

「リアリスティー・トップスピードの師匠……"ウルトラスナイパー"ミア・ハーウェイ氏ですね。専用のスナイパーライフルで300km先の標的をも撃ち抜いたとか」

「300km……」

 

 とんでもなく非現実的な数値がお出しされた。300km先の標的って見えないだろさすがに、そして届かないだろ銃弾も。

 ……と、普通なら考えるんだけどS級だからなあ。スキルやレベルの恩恵もあれば、スナイパーライフルもモンスターの素材をふんだんに使ったものなんだろう。であれば可能性は十分にある。

 それでも桁違いすぎるんだけどね。さすがS級、規格外だぜ。

 

 で、そんなハーウェイさんも愛知さんに仰ったとおり、とにかくS級になると世間から一気に遠ざかる。探査活動を通した社会貢献は変わらずとしても、どこか世間に対しては一歩引いた立場になるんだ。半ば仙人めいた暮らしの人もいるって話だよ。

 だから香苗さんや愛知さんも、そうなっていくんだろうかと俺も思ってたんだけど。このお二人の場合、S級のなかでも特殊だからね。片や伝道師、片や史上最年少だもの。

 

 前者は率先して世間に自分ってか例のアレをアピールしていってるし、後者はネームバリューが強すぎてお仕事から逃げられない。

 さらには御自身の事情もあるそうで、だから公安警察やひいては日本政府とも組んでいたんだね。

 そろそろ一部屋目が見えてきた。なかには鋭い剣を持った狼人間、その名もソリッド狼人間が3体いてすでに待ち構えている。

 

「だっていうのに私ばかり、なぜだかひたすらに扱き使われているんだ。参る話だよ……ここは行かせてもらうよ二人とも。私の戦闘スタイルを、山形さんに改めて見てもらいたいからね」

「おや。私の《光魔導》も山形さんにご指導ご鞭撻いただきたかったですが仕方ありませんね。先にお譲りしましょう、九葉」

「シャルロットさんにも愛知さんにも、別に俺から特に言うようなこともないと思うんですが。まあ、そういうことなら勉強させてもらいます」

「気が抜けるくらいに謙虚だなあ、この世の因果の紡ぎ手たる御方が。まあ、そういうほうが私としても取っつきやすくて助かります」

 

 愚痴りながらも一人、部屋の入り口近くに踏み出す愛知さん。どうやら初戦は彼女が受け持つらしい。

 未だメインスキルだろう《召喚》を、使っていないにも関わらずだ……他にも手札があるんだろう。そこまで含めた総合的な実力を今から披露すると、そういうことだね。

 

 シャルロットさんもシャルロットさんで、こないだの事件のなかで新生した自らのスキルを俺に見せたいご様子。

 二人とも、実力は普通にS級だし俺がとやかく言える範疇にはもういないと思うんだけどなあ。まあ、システム側からの意見なんて早々聞けるもんじゃないし、それが叶う立場となったからには一度くらいは聞いてみたいと思うものなのかもしれない。

 

 とにかく、ここは彼女が受け持つ。

 一歩踏み出した途端、ソリッド狼人間達は持ち前の脚力で即座に斬り掛かってきた! 型も何もないガムシャラ剣法だけど、力にスピードも乗った一撃必殺の斬撃が3方向から同時に迫る!

 

「ウオォォォォォォンッ!!」

「グルルルルァァァァァッ!!」

「さて、やろうか……《精霊憑依》」

「っ! スキルか、しかも召喚系の派生スキル!」

 

 しかして冷静沈着に、愛知さんはスキルを発動させた。

 《精霊憑依》……当然知ってはいるものの、意外なスキルだ。以前認定式の際に見せてもらった彼女の探査者証明書には、こんなスキルは記載されていなかった。

 

 思わず口走ってしまうほどにはレアなスキルだ。そもそもからレアな《召喚》のさらに派生だもの。

 効果は至ってシンプルだ。概念存在の一種たる精霊と交信し、その力だけを五体に宿す。

 召喚系にしては珍しい、直接戦闘系のスキルだ!




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