攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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現世と概念存在のパワーバランスぐちゃぐちゃすぎ問題……

 概念存在にもいろいろ種類や格の高低はあるけど、実のところ、総じて言えるのは戦闘能力の上限がそう高くないってところだ。

 ああ、これは探査者と比較しての話ね。非能力者からしてみれば概念存在はどこまでいっても脅威であり、あるいは天佑だ。

 そうであるように設定されたもの、それこそが彼らなんだから。

 

「うぐるぉぉぉおおああああっ!!」

『まったく……吾とてそう低位の神でもないはずなのだがな!』

 

 相手が神だろうがなんだろうが構いなく、容赦なしに斬り掛かってくるソリッド狼人間へとシナツヒコが腕を振るう。途端、巻き起こる刃と化した暴風。

 非能力者、あるいはレベルの低い能力者ならばたちまちズタズタにされているだろう威力のそれが、しかしモンスター相手にはなかなか効き目がない。多少のダメージを与えているものの、どうにも一撃必殺とまではいかないのだ。

 

 怯まずに手にした剣で斬撃を放つ敵を、華麗に空中へと飛んで避ける神。

 召喚スキルによって喚び出された以上、現世に干渉できる分、干渉もされるからね。つまり斬られたらダメージは受けるし、致命傷なんて受けたら死にはしないものの召喚が解除される。

 そもそも痛いのは誰だって嫌なので、シナツヒコも当然避けたのだ……ギリギリのタイミングを、多少の必死さで。

 

「ふむ。察するに日本神話における、かなり上位の神なのでしょう。しかしB級モンスターと同等程度というのは、つまり戦いを司るような類ではないのでしょうね。風の神と自ら仰っていましたし」

「ですね。まあ、どうも概念存在の戦闘能力自体が探査者基準で言うとそこまで高くないっぽいですから。最高神や戦神クラスでどうにかA級ないしB級相当、それ以上になると各神話圏における最強と謳われる存在か、もしくは創造神クラスになる感じでしょうね」

「それは……神々が弱いというよりはむしろ、探査者とモンスターが強すぎるということでしょうね。この時代の真実を考えるに」

「ええ。イレギュラーなのはむしろ俺達側なんです。この点において概念存在達にはなんら瑕疵などあり得ません」

 

 考察するシャルロットさんに、システム側からの視点で伝える。概念存在と人間の関係性……本来ならば絶対的存在であり、しかし最後には乗り越えられていって巣立ちを見送るべき彼らの在り方。

 そこから限りなく逸脱してしまっているイレギュラーこそがオペレータとモンスターなのだ。

 

 現状、織田のような各神話圏における最高神でようやくA級探査者と同等の戦闘能力を保持しているってところだろう。

 それも中堅くらいまでが精々でトップランカークラス、今で言うとアンジェさんやランレイさん、シャルロットさんやリンちゃん級にはおそらく及ばないって感じかな。織田との会話からの推測とか、実際に直接いろいろと見た感じで言うと。

 

 さらにその上のS級探査者なんて領域になると、それこそ神話とか伝承において明確な形で最高神より上だと記載されているような存在が比較対象になるようだ。

 創造神とか、あるいは戦闘力に限り最強みたいな扱いされている類のモノとか。どこの神話にも大体いるよね、最高神でも手を焼くような化物。ああいうのの枠かな。

 

 で、そうなると最高神より位の低い神々は概ねB級以下相当に収まってくることになる。

 どこにでも例外ってのはいるだろうから、あくまで基本的な話でだけどね。今目の前にて風の鉈を振るうシナツヒコも、まさにB級モンスターないしB級探査者とどっこいってくらいの強さだと言えた。

 

「ちなみに悪魔とか妖怪も、大体位格の高さ低さで実力の高低差がありますが概ね神々と同様です。まあ妖怪は神や悪魔と比べると一段、強さの上限が落ちる感じですかね」

「なるほど。どうあれA級やS級の領域になると、ほとんどの概念存在が探査者達に手出しできなくなるのですね」

「単純な強さでは、ね。裏腹に彼らには、事実上の不滅と権能があります。権能については格の高低で振るえる力に程度の差がありますけど、できることの幅は明らかにスキルより広いですし」

「仮に現世にて概念存在を打倒しても、概念領域に戻るだけなので事実上不滅、ですか。なんと言いますか、割とバランスが取れているんですね」

 

 軽く吐息混じりに、感嘆とも呆れともつかない言葉を漏らすシャルロットさん。

 現状、なんだかんだ案外釣り合いが取れていると言える概念存在と探査者、モンスターのパワーバランスを受けての吐露だね。

 

 戦闘特化のオペレータ。そしてオペレータが相手をするモンスター。

 それらと比較して戦闘力では劣るものの、権能によりできることの幅が広く、そして自ら役割を放棄するでもなければ基本的に滅びることのない概念存在。

 総合的に見た時、両者は割と長短それぞれで均衡が取れていると言えなくもない。正直、探査者側が想定以上に強くなってる気もするけどもね。

 

 ただ、このくらいの程よい塩梅もそう長くは保たないんじゃないかな? 精々100年か200年くらいか。

 その後はさらに探査者側が概念存在をも超えて、青天井にその力を伸ばしていくことだろう。わずか100年で創造神並の強さを持つ人間が出てきているんだ、頭打ちでもしない限りはどうしたってそうなる。

 

 ……あるいはそうなった時にこそ、今の一連の騒動は起きるべきだったのかもしれんがな。コマンドプロンプトとしての私としては、そうした思いをも抱く。

 とはいえそこは考えても詮無い。どうあれ、巣立ちにおいて単純な強さなど一つのファクター、フラグに過ぎないのだから。




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