攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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あとがきにて2025年最後の更新ということでご挨拶がありますー


やはりあからさまに匂わせてくるやん、この人……

 ソリッド狼人間三体を相手に、様々な戦法を披露しつつも難なく倒してみせた愛知さん。

 同行している俺やシャルロットさんに対しての、自身の戦法のデモンストレーションも兼ねての戦いだったこともあっていろいろ、手札を切っていたように思えるけれど……実際、そういうのを抜きにすれば普通に《召喚》なり《剣術》なりでサクッと終わらせていたんだろうな。

 

『やれやれ。九葉よ、今度はもう少し自然の風が吹く場所で喚べ。さすれば吾もテンションが上がる。それはもう大変に上がる』

「善処します、シナツヒコ神……ご助力ありがとうございました。アメノマヒトツ神も」

『また素材くれ。そのうちな』

 

 二体の概念存在を相手に物怖じなく、しかし敬意を忘れずに接する彼女。アメさんを見ていても思うけど、やはり召喚者に何より優先して必要なのはこうした畏怖と畏敬の態度だろう。

 特に神々はどこであれ気難しいのが多いからね。今回現れたシナツヒコやアメノマヒトツも、本質的に気の良い方々だけどそこを間違えると大変なことになるのは間違いないだろうし。

 

 さておき、そうして還っていく神々を見送ってから愛知さんは俺達の元に戻ってきた。

 いろいろ、素晴らしいものを見せてもらったと俺とシャルロットさんも拍手さえ交えて彼女の手際を讃える。

 

「お疲れ様です、お見事でした愛知さん」

「さすがはS級ですね、何より引き出しの多さに驚かされましたが……ちなみに最後の剣術、あの炎は?」

「ああ、ありがとうお疲れ様……最後のは陰陽五行剣だな。仕組みは単純で、陰陽道にて用いられる火の力を宿した符を利用した手品みたいなものだよ。ほら」

 

 俺も気になっていた、最後の剣技──スキルに依らない発火現象を、見るからに能動的に引き起こした技について尋ねるシャルロットさん。

 それに対して愛知さんはこともなげに答え、そしてライダースーツのファスナーを大きく開いて胸元、裏地を見せてきた。

 そこに貼り付けられているのは、何やら力の波動を放つ御札。

 

 陰陽道。そういうからにはオカルト方面の力に由来するものなのだろう、さっきの現象は。

 神の作った剣と、スピリチュアルパワーである陰陽術。相性としては抜群だろうから、ああした使い方もできるものなんだろうけど、まさか探査者がモンスターとの戦いのなかでそういう方面にも手を伸ばすとは思ってなかったな。

 目を丸くしていると、愛知さんはファスナーを戻しつつ説明してくれた。ちなみにスーツの下はちゃんとインナー的なTシャツだったよ、念のため。

 

「知り合いに陰陽師がいて、その人から買っている符をいくつか使用して探査に利用しているんだ。基本的に《召喚》とその派生スキルに頼りがちなスタイルにあって、私自身も攻撃力を高めるべきだと思ったからね」

「なるほど。ですが珍しい印象はありますね、モンスターとの戦いでそうした、スキルに依らない力を駆使する探査者は。もちろん、そういうのもあって良いと思いますけど」

「シンプルに畑違いだからね……こうした符に、霊的な力を込めて超自然的パワーを発現させられる能力は探査にも活かせるかもと思ったのは完全に私の思いつきだよ。ゆえあってその陰陽師さんの仕事の助手をすることも多いからね、そこからの着想さ」

「あなたは、いろいろな側面を持っていますね……」

 

 ちょっと副業でー、くらいに陰陽師の助手なんてとんでもないワードをぶっ込んできたよ。

 この人、公安エージェントだったり陰陽師の助手だったりと探査者以外の方面にも手を伸ばしまくってるな!

 

 これにはさしものシャルロットさんも呆れ気味だ。端正な顔立ちに、戸惑いと困惑を隠しきれていない。

 まあ、別に法律的には問題ないんだろう──公安は探査者としての契約に基づくものだろうし、陰陽師云々はそもそも助手程度で規制に引っかかるほどでもないだろうし──けど、そもそもハードワークの印象を受けるよ。

 俺も、正直反応に困りつつも率直な感想を申し上げることにした。

 

「えーっと。そもそも、愛知さんって陰陽師さんとかともお付き合いあるんですね。お恥ずかしいんですが俺、最近になるまでそうしたスピリチュアルなお仕事がガチであるなんて知らなくて」

「まあ、科学全盛の時代にあっては目立つことのない分野だからね。私も知り合ったのは偶然だよ。事情があってね、すこしばかりの探し物をしている最中なんだ。陰陽師との付き合いも公安警察との契約も、あるいはS級にまで成り上がったのもその探し物を探すための足がかりにすぎない」

「探し物……?」

「うん。委員会が暗躍している今、山形さんにわざわざ聞かせることでもないと思っているから詳しくは話さないけれど。もしかしたらこの先、あなたにお力添えいただくこともあるかもしれないから……だからまあ、このくらいだけは聞いといてほしい」

 

 あからさまに匂わせるようなことを言ってくる愛知さん。探し物……それが愛知さんが抱える事情なのか。

 公安警察のエージェントになってまで、陰陽師との付き合いを構築してまで追い求めている、ナニカ。

 

 今は俺にも何も、話すつもりはないみたいだけど。いつか、そうだな。

 俺のほうに一段落がついて、彼女の身の回りで事態が動いた時。その時にこそ、いろいろとそのあたりが明らかになる日が来る、こともあるのかもしれないね。




今回のお話が2025年最後の投稿となりますー、みなさま今年もありがとうございましたー!
来年もどうぞよろしくお願いしますー

加えて2026/1/1の0時から本作スピンオフ
「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
がスタートしますー!こちらも毎日0時更新になりますー
本作にも出てくるソフィア、ヴァール、そしてエリスの若き日の活躍もどうぞお楽しみいただけると幸いですー
よろしくお願いしますー

それでは、改めて今年もお世話になりました!
来年もよろしくお願いしますー
良いお年をー!
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