攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
今年もよろしくお願いしますー
愛知さんが抱える事情についてはひとまず、委員会絡みのアレコレが片付いてからお話しいただく機会があったりなかったりラジバンダリするかも? というお話はさておいて。
初戦から見事な戦いぶりを披露してくださった彼女を道すがら、俺とシャルロットさんで讃えつつ詳細な分析などをしたりしている。
何しろ、いろいろと手札を曝け出してもらった形になるからね。お見事でしたと終わらせるのももったいない。
立場柄、召喚スキルについても知識がある俺ちゃんが主体となって、彼女の召喚戦法についてシャルロットさんに説明していた。
「まずは《精霊憑依》にて彼女は初手、風の精霊の力を身体に宿しました。これは召喚のなかでも、喚び出したモノの力だけを取り出して憑依させるスキルでして。対象によっては様々な力を借り受けることができるのですが、それだけに使用難易度も高いスキルになっています」
「概念存在も割と力を与えたがりが多いから、成功率は高いんだが……反面、神や悪魔となると代価を要求してくるモノも多い。自然現象の化身としての精霊や、気まぐれな妖精になると出力は落ちるがローコストだから、主にそちらを対象に使っているよ」
「代価。サークル構成員に悪魔が力を貸し与えていたのと似たようなものですか。精霊や妖精から力を借りる場合には、そうしたものもあまり必要がないと」
神や悪魔、精霊や妖精。概念存在にもいろいろあるけど、前者二つと後者二つには明確な差がある。代価の多寡だ。
いずれも現世からすれば上位存在なのには変わりないけど、神や悪魔は特にイメージもあってそのへんを意識しており、ゆえに現世に何かするにしても必ず代価を必要としている。
だけど反面、精霊や妖精は自然そのもののアバターのようなものであるため、そうした代価を要求しては来ないのだ。
もっともその分、精霊や妖精のほうがあからさまに出力は低いんだけどね。ここは神や悪魔との関係性が露骨に反映されていると見ていいだろう。
神や悪魔のなかにも自然現象を司るモノは当然いるけど、それそのものじゃない。自然現象をも操るさらなる上位者としてのロールを得ている分、権能の出力も当然高いのだ。
たとえば先ほどのシナツヒコで言うなら、かの神は風神ではあるけど風そのものではないからね。
風に纏わるイメージも受けつつ、しかし基本的には日本神話圏におけるシナツヒコのイメージの影響と権能を優先的に保持している形になる。
各地の神話の風神も同じで、扱う現象は風だけど格や権能はあくまでそれぞれの神個人のモノということになるわけだ。
反面、精霊や妖精は風そのものの化身だ。風の化身であればそれ以上でもそれ以下でもなく、権能も風という現象に関連する事項の範囲でしか使えない。
意志も曖昧というか、個体というよりは群体の性質に近い在り方をしているからね。個人名を持つ精霊や妖精が少ないのはそのためだし、名を持てばその時点で神や悪魔側のカテゴリへと移籍するパターンのほうが多いだろう。
「──なので神や悪魔の力を一部借りるよりは、精霊の力を借りるほうが出力が弱いなりにコストも低いんです。もっと言うとその分、力の扱いも難しくはなりますが」
「ある意味、神の権能で制御している部分をも使用者側で担うことになるからですね? 精霊や妖精、興味深い存在です」
「ええ。愛知さんはそしてその力を駆使し、さらなる召喚につなげました。《憑依顕現》で身に宿した精霊の力を外部へと行使し、巻き起こした風を媒介に《連鎖顕現》でシナツヒコを喚び出した。見事なトリプルコンビネーションです」
《精霊憑依》だけでも特筆すべき愛知さんの実力だが、先ほどの動きはそれに留まらなかった。続けて《憑依顕現》、《連鎖顕現》のコンビネーションによって精霊の力をさらに行使し、そこからシナツヒコ召喚へとスムーズにつなげたのだ。
《憑依顕現》は《精霊憑依》からの派生スキルで、憑依させた精霊の力を現世に召喚する、すなわち自然現象を外部へと出力する効果を持つ。
ごく限定的にだけれど、神の権能行使に近いことを行うんだね。それでもって彼女は、ソリッド狼人間を阻む風を生み出したのだ。
そしてその風を使っての《連鎖顕現》。選んだ対象と関連する要素を持つ概念存在を、その条件を二つ無視して召喚できるスキルを用いてシナツヒコを喚び出した。
風を対象にしたのだから、喚び出すのはそりゃ風神だよね……当のシナツヒコ的には面白くなさそうな段取りでの召喚ではあったものの、それでも協力してくれたんだから愛知さんとの付き合いも長そうだったなあ。
「その先、さらにシナツヒコと同条件を持つアメノマヒトツを喚び出した《二重召喚》についても言えることですが、召喚系派生スキルは割と"召喚条件を踏み倒す"効果が多いんですよね。まともに正規手順で喚び出そうとすると、大物になると二体も三体も喚び出すなんて非現実的ですから」
「まあね……私としてもこういったやり方は、概念存在側に悪いとは思いつつも重宝しているよ。まさか一体ずつ毎回召喚を切り替えて状況に対処するわけにもいかないし、元より複数喚び出せるモノは数がいる分、あまり強くはないから」
「召喚スキルも善し悪しですか。勉強になります」
俺と愛知さんの説明に感心するシャルロットさん。
召喚スキルは一見すると強力だけど、その真髄はどちらかと言うと派生スキルをも組み合わせたコンビネーションにもあるんだね。
大物を連鎖して喚び出し、盤面を圧倒的にこちら有利にする──そうした豪快な戦法を一人でこなせる、それも召喚スキル保持者の強みなわけなのだ。
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