攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ナチュラル・セイント・デストロイヤー

「S級探査者の見事な戦いぶりを見せていただいた後に、というのもプレッシャーのかかる話ではありますが……次は私が行きましょう。七代目聖女としての戦闘スタイルを、あなた方にお見せします」

 

 そう言って見えてきた次の部屋を前に、シャルロットさんは淡々とつぶやいた。けれど闘志が滾っている様子なのは、さきほどの愛知さんの戦いぶりに触発されたか。

 なんとなし、一人ずつ戦いぶりをまずはお手並み拝見って流れになっているね。この調子で行くなら愛知さんの次はシャルロットさん、そしたらその次に俺ちゃんが戦うって感じか。

 

 七代目聖女として正式にダンジョン聖教を率いる立場となった、シャルロットさんの戦闘スタイルはこないだの事件のなかで著しく変化した。らしい。

 前のスタイルをあまり知らないからね……その身体に刻まれていたアレクサンドラによる虐待のダメージ。それを取り除いたことで《光魔導》が進化した、それ以後のスタイルのほうが俺には印象深い。

 

 さりとてそれも覚え立てで、スタイルとしての確立はまだまだ先のことだと思っていたんだけれど。どうやら思いの外、早く整えられたみたいだな。

 そのあたり、部屋の中を確認しつつ問うてみる。

 

「なかには……あー、ガルーダが六体いますね、かなり広い部屋みたいです。特に天井が高くて空中戦を仕掛けられそうな感じになってます。シャルロットさんの戦法との、相性的にはどうですかね?」

「問題ありません、山形さん。元よりあらゆる局面、あらゆる場面を想定しているのが私の新スタイル。鳥籠を破壊して自由な進化を遂げた《光魔導》と元からの聖女殺法を組み合わせた、遠近自在の戦闘こそが新たな私の戦い方です」

「《光魔導》はともかく聖女殺法……例の、聖女にのみ引き継がれるとかいうバイオレンスアーツか。なんというか、存外にその、武闘派だな。神谷さんやアレクサンドラを見ていても思ったけれど」

 

 怖ぁ……聖女殺法のあまりの字面に愛知さんが戸惑いも仕切だ。なんなら俺も結構引いてるよ、聖女と殺法の組み合わせがギャップすぎるもの。

 なんでも二代目聖女ラウラ・ホルンさんが編み出したという格闘術らしくて、歴代聖女に受け継がれてきたという。

 

 だもんで神谷さんやアレクサンドラも当然、その聖女殺法とやらを扱えるみたいだ。実際にアレクサンドラのはミュトスとの決戦時に見たしな。

 打撃、組み技関節技。プレーローマ・アンドヴァリとしてのアレクサンドラはそんなふうに使っていたけれど、武器持ちの神谷さんの場合はまた異なる方向での戦い方なんだろう。

 翻ってはシャルロットさんもまた、前の二人と異なる聖女殺法を身につけていると見ていいな、これは。

 

「軽く説明するならば、伝承において二代目様が第二次モンスターハザードの際、初代様やチェーホワ統括理事はじめ当時の仲間達から戦闘術を叩き込まれたのが基礎となっているとされています。それらを二代目様は己独自の流派に昇華し、ダンジョン聖教を興した後の活動の武器ともしたと」

「エリスさんやソフィアさんが聞いたら苦笑いしそうな話ではありますが……錚々たる顔ぶれからの薫陶を受けた結果なんですね、その戦闘術は」

「はい。アレクサンドラも言っていたことですがその本質は千変万化の破壊術にあります。殴る、蹴る、投げる、組む、極める、折るに留まらず斬る、打つ、薙ぐ、突く、叩く、抓る、噛む、抉る、穿つ──その場その場に適応したありとあらゆる手段をもって敵を撃滅する。そのための総合力を聖女候補生は聖女教育のなかで叩き込まれます」

「えぇ……?」

「血腥いにもほどがある……」

 

 真顔で物騒極まりないことを言い出したよ、本当に怖いんですけどこの人ってかダンジョン聖教聖女様!

 千変万化の破壊術、なんておよそ世界的宗教団体の象徴的権威の身につけているようなものじゃない。もはや総合格闘技じゃん、っていうか格闘技ですらなく生存術に近いじゃん。

 

 そんなものをわざわざ聖女と呼ばれる者が代々、受け継いでなんか良いことでもあるのか? と思わず本音で思っちゃったけど、これが実際のところあるにはあったんだろうなあ。

 二代目さんは言うに及ばず、三代目も四代目も、五代目の神谷さんも六代目のアレクサンドラ、何より七代目のシャルロットさんも。

 歴代聖女は大体みんな、どういった形であれモンスターハザードに関わっては聖女殺法を駆使してきたんだろうし。

 

 そうでなくとも聖女とて探査者だ、ダンジョン探査のなかでモンスターと戦うならばそうした格闘術も身につけておいて損はないし。

 とはいえ、一般的なイメージとはかけ離れている感覚はどうしてもつきまとうよ。愛知さんと顔を見合わせる俺を尻目に、シャルロットさんは悠然とガルーダが舞う広々とした部屋のなかへと入っていった。

 

「七代目たる私もお見せしましょう。聖女殺法、新たなスキル、鳥籠を壊した《光魔導》の力と組み合わせた、これからが私の真なるスタイルです」

「キキィィィィィーッ!!」

「クアァァァァァーッ!」

 

 高らかに宣言する、シャルロットさんにさっそく縄張りを侵されたと判断したモンスターが叫び、急降下してくる!

 戦闘開始だ! 七代目聖女シャルロット・モリガナの、戦いの幕が上がった。




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