攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
上空より迫りくるガルーダ達。六匹同時ではなく時間差で仕掛けてきているのは、それらを一人で迎え撃つことになるシャルロットさんからしてすると不都合だろう。
しかし彼女は臆することなく、むしろ当然だと言わんばかりにそれらを前に仁王立ちした。完全迎撃の構えだ。
「《光魔導》、プリズンブレイカー・オールフリーダム」
「くけけけけけぇぇぇぇぁっ!!」
まずは一匹目が飛来する、すんでのところでスキルが放たれた。《光魔導》……顕現する鳥籠が彼女とガルーダの間に障害物のように発生し、行く手を阻む。
だがここからだ、次の瞬間鳥籠が砕け散った。アレクサンドラから解き放たれたシャルロットさんの心象風景を映し出すかのように、彼女を閉じ込めていた牢獄が爆散したのだ。
そしてその破片が、無数の光刃と化してシャルロットさんの周囲を飛び交う。
これこそプリズンブレイカー、まさしくオールフリーダム。彼女の意志によって自在に動く、自由の空を駆け抜ける流星である。
怯んだモンスター達へと、その星々を向かわせる!
「舞え、風に乗ってどこまでも。飛べ、思うがままにいつまでも──スターライトリバティ・ミーティアサジタリウス!」
「くけ、くかかーっ!?」
「ぴぃひぃぃぃぃっ!!」
鋭い声とともに差し向けられる《光魔導》の光刃。およそ100ほどあるうちの半分ほどが上空へと飛び行き、ガルーダの列の前から順に突き刺さっていく。
一発一発の威力もかなりのものだ、あの流星……! 瞬く間に一匹、二匹と仕留めて光の粒子に返した。その様子を見て俺は内心、シャルロットさんの実力について考える。
率直に言うならば、単純な戦闘能力だけなら彼女はすでにS級だ。先ほどの愛知さんとそう変わらない手際と攻撃力を見せつけているのだから、客観的に見て納得するしかない。
とにかく《光魔導》による無数の光刃が強すぎる。自在に動き回り遠近関係なしに操れる武器防具がざっと100ほど、ノーリスクかつ発動から発現、操作までほぼタイムラグなしで行われているのだから、相手からすればインチキ性能もいいところだろう。
普通、その手の技となると裏腹に一発一発の威力は軽い、弱いってのがセオリーなんだけど、アレに限っては特にそんなこともないみたいだし。
愛知さんが《召喚》とそれに派生するスキル群による引き出しの多さを武器とするならば、シャルロットさんは《光魔導》一本による超性能をもって武器とする。そんな塩梅だと言えるだろう。
隣で愛知さんも、感心しきりにうなずいているね。
「とんでもないな、シャルロット……ないと思うけど仮に今、敵としてかち合えば負けるつもりはないにせよ相当な苦戦を強いられるのは間違いない。山形さん的にはどうだろう? たとえば同じ《光魔導》の使い手たる御堂さんと比較して、シャルロットはどのくらいの位置にいるだろうか」
「ん……そうですね。正直に言うならまだ、香苗さんのほうが総合的には強いと思いますよ。スキルは同じですが威力についてはさすがに、あの人の出力は桁違いですから」
「そんなになのか。まあ、たしかに認定式などで見たあの光の巨人はすさまじかったけれど。その、いろいろな意味で」
「えぇ……?」
香苗さんから連想するのがよりによってエヴァンジェリスターかよ! アレの元ネタとして正直触れて欲しくないところなんですけど!
と、叫びたくなるのをぐっとこらえて瞑想。ふー、落ち着く。
そりゃあたしかにこの人、香苗さんの《光魔導》についてはあまり見たこともないだろうから一番インパクトの強いアレを思い浮かべるのは仕方ないことだ。
実際すさまじいからね、見た目はもちろん出力も制御力も。それこそシャルロットさんをもゆうに凌ぐほどに、カルトの伝道師だけどやっぱりあの人もS級探査者なんだよ。
システム領域の想定するレベルをも超えた、本来魔導シリーズでは不可能なはずの現象を引き起こすほどの制御力。それは翻って技の威力、規模の出力をも自在に操れることを意味する。
無駄な部分を削り、その分をさらに火力ないし範囲に上乗せすることができるのだ……エヴァンジェリスターは範囲に極振りしたような感じだけど、威力に極振りしたのがアークディザスターやアークキャリバーだ。
「はっきり言って最大パワーの香苗さんの《光魔導》は、あのベナウィさんの《極限極光魔法》にも匹敵します。さすがに彼ほど無造作に息するように連発してダンジョンを更地にしたりするのは難しいですけど、注力すれば同じ結果を出すことは十分に可能なはずです」
「S級のなかでも最上位の破壊力を誇るコーデリアさん並か。それはすごいな……そういう意味ではシャルロットはまだまだ、伸びしろがある感じかな」
「それはもちろん。香苗さんにも言えますけど、今の評価ってやっぱりスキルに限ってのものですから。これが総合的な評価となると、二人ともまとめてこれから伸びる方々だと思いますよ、俺的には」
当たり前だけど戦闘において、スキルのみの強さは実力の高さとイコールになるわけではない。
今挙げた香苗さんとベナウィさんだって、あくまでスキルの出力面ではトントンくらいって話であって、総合面で比較したら経験の差や他の要素の差もあり、やはりベナウィさんに一方的な軍配が上がるように俺は見ている。
サウダーデさんの弟子だけあって、ベナウィさんの体術関係も相当レベル高いからね。それを披露するまでもないほどに《極限極光魔法》が圧倒的すぎるから、普段使用していないだけだし。
同じことは香苗さんにも言えて、青樹さん直伝の無想無念法を駆使したアサシンスタイルは別方向での彼女の武器だけれど……今後S級としてやっていくなら、そっちも伸ばしていく必要はあるのかもしれないね。
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