攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
六匹ものガルーダを相手に、圧倒的な立ち回りをもって粉砕してみせたシャルロットさんが、悠然とこちらに戻ってくる。
《光魔導》プリズンブレイカー・オールフリーダムの利便性については前から知っていたものの、改めて見るとその制御力の高さや変幻自在の運用法の幅広さに驚かされたよ。
さらに言うならシャルロットさん自身の肉弾戦の熟れ方も驚くべきものだった。聖女殺法、アレクサンドラの例から見ても分かる通り相当な威力だよ。
加えて最後に見せた、あの剣技──聖王剣とかいうアレは、一体?
「お疲れ様です。あなた方にお見せするには、いろいろと力不足も目立ったかとは思いますが……これが私の現状の実力です。いかがでしたか?」
「素晴らしかったの一言ですよ、シャルロットさん。お見事でした、スキルの使い方も近接戦闘もバッチリでした。お疲れ様です」
「やはり今の君は、どう控えめに言ってもS級クラスの戦闘力があると見ていいな。とはいえ不足というか伸び代も感じた部分はたしかにある。総合的な実力としてはやはり、A級トップランカー付近という感じを受けたよ、シャルロット」
「でしょうね……いえ、トップランカークラスというのも過分な評価ですが。アンジェリーナやランレイさんのような本物のトップランカー達には、やはり一歩ばかりか三歩ほど譲るのが現状だという自覚はあります」
疑問はどうあれ、戻ってきたシャルロットさんを愛知さんと二人で労い讃える。
俺達の目から見ても、確実にこの人の戦闘力はS級クラスにある。ただ、実戦時の判断力とか機転とか、カタログスペック以外の部分も加味すると総合的にはA級の上澄みトップ付近かな? ってのは、愛知さんの仰るとおりだとも思う。
それこそシャルロットさん本人が言うように、アンジェさんやランレイさんと比較したら分かりやすいと思う。
正直な話、スキルの出力だけで見るならシャルロットさんが圧倒的だ。だけど戦闘経験や立ち回りの上手さ、何より培ってきた剣技や星界拳などの技術面をも加味して考えると、今現状だとやはりあちらのコンビのほうが強いと言えるんだね。
このへんは今後、シャルロットさん自身の探査活動のなかで差を埋めていくところだろう。逆に言うとそこさえ補えてしまえばもはや、この人のS級昇級だって目と鼻の先になるんだろうし。
A級トップランカー……あるいは香苗さんの後継の座。彼女がS級になったことで空いたそのポジションに誰が座るか、今やトップ付近の探査者達の群雄割拠だとか探査者業界誌とかニュースでは取り沙汰されている。
そこに、シャルロットさんというダークホースが殴り込みをかけることになるわけだ。
なんだかワクワクするよね、無関係ゾーンから野次馬的に眺めているだけでも。
「ただでさえ探査業界のメインストリームなA級が、これでさらに盛り上がるでしょうね。トップランカーを巡っての探査者達の切磋琢磨、すなわちオペレータのさらなる実力向上につながるわけですから、これはシステム領域としてもありがたい話です」
「山形さんはナチュラルに視座が高いですね。さすがは真なる造物主の片割れと言うべきですか……ご期待に添えるよう、これからも精進します」
「無理はしないでくださいね? あなたはあなたの人生を最優先にするべきなんですから。ですが、同時に御心遣いには感謝しますよ……ところで最後のあの、聖王剣ってのは?」
システム・コマンドプロンプトとしてもオペレータの力が、彼ら自身の健全な切磋琢磨によってさらに磨き抜かれていくのはありがたいし頼もしい。
本音を吐露するとシャルロットさんは、そうしたある種の一方的な期待にも応えられるよう奮励努力する姿勢を見せてくれた。やっぱりこの人の本質は聖女らしく健気というか、すごく真面目で勤勉な努力家なんだなあ。
とにかく無理はしないように、各々の人生を楽しみながらでいいから。そう言い含めつつも、いよいよ気になったところである聖王剣について質問する。
いきなり聖女殺法ならぬ聖王剣なる技を披露されて、しかも今までに見せたことのない剣技だったんだから気にならないわけもないよね。
愛知さんも興味津々の様子でシャルロットさんを見るなか、問われた当人が淡々と、何でもないことのように打ち明けてくれた。
「ああ……アレは、アレも聖女殺法の一つと言いますか。三代目様が編み出した、分派の技ですね」
「三代目。ええと、マルティナ・アーデルハイドさんが編み出した分派、ですか」
「はい。かの御方は稀代の剣豪でもあり、聖女候補生の頃から剣技にかけては天才的だったと言われています。何しろ三代目聖女就任と同時にダンジョン聖教騎士団を設立、自らがその初代団長に就任し、件の聖王剣を編み出して騎士団内にて広めたのですから」
「ダンジョン聖教騎士団の、初代騎士団長……ああ、そういえば私も聞いたことがあるな。三代目聖女はあのマリアベール・フランソワさんにも匹敵するほどの剣技の使い手だったとかなんとか。あまり歴史には詳しくないから、それが本当なのかどうかも分からないけれど」
「マリーさんと肩を並べるほど!? そんなに!?」
怖ぁ……思っていたのを超えるレベルでとんでもない情報が出てきた。
聖王剣こそは三代目聖女マルティナ・アーデルハイドさんの編み出した聖女殺法の流派にして、初代騎士団長たるその人が騎士団内にも伝播させた剣技という。
そしてなんと、そのアーデルハイドさんはあのマリーさんとも比較されるほどの剣士だったのだと言うのだ。
愛知さんも耳にしたことがあるらしいから、ダンジョン聖教内だけの評価ってわけでもないんだろう。
俺の知る限り世界最強の剣士だった、マリーさんと同列の剣士。それがまさか、三代目聖女として歴史に名を残すような人だったなんてなあ。
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