攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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遅れました!すみませんー!


S級や聖女から見てもやっぱり無敵チートな救世主くん

 歴代聖女のトリビアというか、微笑ましい? エピソードなんかを聞きつつ俺達は探査を進めていく。

 基本的にはローテーションを組んで部屋内のモンスターを倒していく感じで、やや変則的なソロ探査って感じにはなっているね、今のところ。

 

「連携を意識したチーム戦ってのも、せっかくですからやってみたいですけどどう思います? ……っと」

「ゔぉぉぉぉぉぉぅぅあっ!?」

「そうですね、もうそろそろ探査も中盤ですし、そういう試みも良いかと思います。ここに至るまでに各々概ね4回ほど戦って、それぞれのスタイルは粗方確認できましたし」

「私も異存はないよ。というか山形さん、さすがに圧倒的だなあ……」

 

 10階層33部屋目。マッスルゴブリンなんていう、2m近くはあるマッチョすぎるゴブリンに出くわした俺ちゃん。

 何ら問題なくその腕を取って投げ飛ばして山形くんビームで浄化しつつもぼちぼちパーティ戦とかしません? と提案したところ、シャルロットさんも愛知さんも割と乗り気味でうなずいてくれた。

 

 ほら、せっかくの機会だしね? さすがにダンジョン聖教の聖女さんやら公安エージェントもやってるS級探査者さんみたいな、御多忙極まりない方々とそう頻繁に探査できるとは思っていないし。

 そうなると今回のような機会はレアケースだもんで、できることはなるべくやってみたいってのはあるからね。

 

 A級のなかでも相当強力なほうのモンスターらしい、マッスルゴブリンを一蹴してこの部屋も探査完了だ。ようし、次からはパーティ戦だ、足並み揃えて頑張るぞう。

 というわけで次の部屋への道すがら、軽くながら三人一組で戦うにあたっての大まかな流れ、役割分担について確認しておこう。

 愛知さんがまず口火を切った。

 

「パーティ戦となると、私はやることは変わらず召喚スタイルだけど、ソロと違って基本的に大物は喚ばないことにしている。ワイバーンやガーゴイルに頼っているね」

「そうなんですか? ……そういえばこれまでにもご一緒させてもらっていた時には、そういう感じでしたね」

「神や上位悪魔を喚ぶのは、一体のコストが高すぎて手数が確保できないのと周囲の仲間ごと影響を与えてしまいかねないからね。乱戦において権能は場そのものに影響力を及ぼしすぎるから、コストが低くて何体でも用意できるほうが私としては気兼ねないんだ。だから今回もそれでお願いしたい」

「分かりました。そういうことならそれでお願いします」

 

 さすがに経験豊富なこの人は、自身の手札の何がどういったシチュエーションに適しているかをきちんと把握している。

 ことパーティ戦にあってはスレイプニルやらシナツヒコやら喚んで戦った場合、他の仲間達をも巻き込みかねない危険性が彼女には付きまとうからね。

 

 コストの高い大物系は、そういう懸念もあるんだ……そのモノ達が悪いわけでもなく、どうしても権能や存在の格が大きすぎて周囲の敵味方関係なくなっちゃうんだな。

 そこを鑑みてガーゴイルやワイバーンの複数召喚に戦法を変えるというのは、俺としてもありがたいことだし勉強になると思うよ。

 

「私は変わらず、《光魔導》の行使がメインですね。攻撃や牽制に3割、味方全体の防御に5割、そして私自身の周囲に2割程度、光刃を配置して運用しましょう」

「お願いします。ええと、シャルロットさんももしかして前線に?」

「無論です。先ほどお見せした通り、光刃は束ねて武器へと変じさせることも可能。であれば我が聖女殺法の武芸百般にも、大きく寄与させるのは必然の理」

「スキルを使って場の状況全体を意識した動きをしつつ、自らは前線で剣を振るう……こう言うとなんだがシャルロット、君の戦闘スタイルはどこか私にも通じるところがあるな」

「基本的に私もあなたもオールラウンダー、一人でなんでもやれるタイプということでしょうね」

 

 シャルロットさんはシャルロットさんで、今回の探査で通しでずっと見せてきたスタイルを崩すわけでもない。《光魔導》と聖女殺法の二枚看板でもって、戦場を縦横無尽に駆け抜けるつもりのようだ。

 うーむ、愛知さんとの会話もうなずけるほどに、このお二人はそれぞれ単独でまとまった完成度を誇るオールラウンダーだね。愛知さんは召喚、シャルロットさんは光刃という違いはあれど立ち回り方は結構似通うところがある。

 

 この手の全距離対応型の探査者って実のところ、少ないんだよなあ。大体近距離か遠距離かどちらかに偏らせて、それに対応した自らなりのスタイルを確立する人が多いから。

 両立させるにはそれ相応のスキルなり武器なりが必要だもんで、地味にハードルが高いわけだね。

 そんな天才的なお二人はしかし、見えてきた部屋を前に立ち止まって俺を見た。息を呑むほどに美しい二人の美少女からの凝視だ、怖ぁ……なんです?

 

「……本当の意味でなんでもこなせる方の前で、オールラウンダーを気取るのもなんだか恥ずかしい話ではあるなあ」

「山形さんはもはやオールラウンダーどころか全知全能と言って差し支えないでしょう。スキルだけでも何でもありに近い上、御自身の権能もあるのですから。無敵チートというのはこういうことを言うのですね」

「えぇ……?」

 

 悲報、シャイニング山形くんチーターだった。いや違うし、チート違うし。

 たしかに、スキルのラインナップ的に俺もオールラウンダーだし、因果操作で大概のことはどうとでもできるけど……全知全能はさすがに過大評価だよ。

 

 それに納得してうなずく愛知さんも愛知さんだ。

 なんだか釈然としないものを感じつつ、俺達はそして次なる部屋へと臨んだ。




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