攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
「ゥオオオオォォォガァァァァァッ!!」
部屋に入るなり轟く咆哮。3mという、俺の倍ほどもある巨躯を誇るマキシマムオーガがこちらを視認して威嚇の雄叫びをあげたのだ。
通常のオーガよりも一回りは大きいソレが、筋骨隆々の身体に身の丈ほどもある金棒を持って振り回している。鬼めいた姿から醸し出す気迫は、紛れもなくA級モンスターのなかにあっても最強クラスだという確信を俺に抱かせていた。
「さすがにこのクラスになると、S級探査者であっても油断は禁物な領域だ。特定有害指定モンスターに比べると存在そのものが危険というわけでないにせよ、シンプルな戦闘能力の面においてはプチS級モンスターと呼ぶべきだからね」
「プチS級、ですか」
「ちなみにオーガ系には本当にS級モンスターがいたそうです。バイオレンスオーガ──第五次モンスターハザードの最終局面にて投入された、全長30mにも及ぶ超巨大オーガだったとか。当時の名だたる探査者達が総出で戦ったと、ダンジョン聖教の資料には残されています」
「怖ぁ……」
マキシマムオーガに対して、臨戦態勢を整えながらも愛知さんとシャルロットさんの軽いトリビアを聞く。
特定有害指定モンスター……前に一度見たことあるね、ベリアルダンデライオンとか。ああいう、強い弱い以前に毒性劇性を有するがゆえに別枠で扱われる超危険なモンスターと、その戦闘能力一点で張り合うってのが目の前の化物クラスなんだとか。
そりゃS級だって油断できないよな。
そして過去に本当にいたという、S級オーガことバイオレンスオーガの情報に耳を疑う。30mってなんだ、ちょっとした丘じゃん。ウーロゴスじゃあるまいに、そんなものもいたんだな。
第五次モンスターハザードにおいて名だたる探査者達に片付けられたってことは、その場にやはりヴァールやエリスさん、マリーさんもいたんだろう。どこかで話を聞いてみてもいいかもしれないね。
さておき、威嚇していたマキシマムオーガがいよいよこちらに向けて歩き出した。バイオレンスオーガの10分の1のサイズでも圧力は満点だ、生半可なA級だってこいつを前にしてはたじろぐだろうさ。
しかしここにいるのは生半可な探査者達じゃない。史上最年少S級とA級トップランカークラスと、そしてそもそもオペレータじゃなくてアドミニストレータだコレ! な俺ちゃんだ。
やってみるさ!
「条件は二つ。一つ、戦闘用の召喚であること。二つ、陽の光がないこと。以上をもって《召喚》発動! 現れよ概念存在、ガーゴイル! 私のコスト上限ギリギリ分、4体同時に喚び出す!」
「《光魔導》プリズンブレイカー・オールフリーダム。砕けし籠の光刃よ、流星となりて我が剣となり我が盾となれ」
「《誰もが安らげる世界のために》──出力はまあ、50倍くらいにしとこうかな? よしよし、やるかあ」
召喚スキルを発動し、同時に4体ものガーゴイルを周囲に喚び出す愛知さん。召喚条件達成可能数二つを、四体分でコスト上限ギリギリってことは……彼女の召喚コスト上限はやはり最大値の8つなんだな。裏が取れたよ。
さらにそこに、彼女の持っているスキル《アストラルセンス》の効果で追加コストが+1されているから合計9つか。すごいな、条件達成可能数だけ見ればマジでシステム領域のモノさえ喚び出せる領域だぞ。
まあその条件は今のところ愛知さんにはまず満たせないものだから無理だけども。
そしてシャルロットさんも《光魔導》を発動、光刃を100個周辺に飛び交わせていく。続けて俺もだ、スキルによって力を引き出す。
ガーゴイルに光刃、壮観な取り巻きに続いて地味な自バフの俺ちゃんがなんだか貧相に見えるけど仕方ない、《誰もが安らげる世界のために》を、出力50倍くらいに調節して発動する。
「ォォォオオオオグッ!?」
「っ……山形さん、さすがというべきだな。と、とてつもない出力だ」
「この世界そのものとも言える御方であれば、当然のことと理解していますが……し、しかし。これほどの方を相手に認定式では息巻いていたのかと、かつての自分の命知らずさを嘆かずにいられません。いえ、あの当時は本当に自分の生命などもうどうでもよかったのでアレですが」
「えぇ……?」
「シャルロットはシャルロットで絶妙に悲しくなることを言わないでくれ……」
召喚! 光刃! ……えっ、自バフ?
などと、鼻で笑われそうな三発目の俺ちゃんだけど。愛知さんやシャルロットさんほどの実力者になるとさすがに出力の高さを感知してきて、なんか若干ビビられてしまった感じがある。
なんならシャルロットさんなんて過去のことを振り返ってすごくしょんぼりすることを言っているけど、シレッと余命を抱えて戦うしかなかった地獄を明かさないでほしい、マジで落ち込んじゃうよ戦闘前に。
愛知さんまで悲しげな表情を浮かべてるし。つくづくアレクサンドラの罪は重いよなあ、本当。
ともあれ、このお二人をも圧倒するほどだからマキシマムオーガなんてのも当然、戦闘力50倍になった俺を前にたじろぎを見せている。
それでも戦意を喪失しないあたり、やはりモンスターだな。どうしたとて倒さなければ、その身に宿る異世界の魂の浄化も成り得ない。
だから、倒すぞ。
三人一組の大立ち振舞い。手筈通りの戦術で、俺達は動き始めた。
【お知らせ】
「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
連載中!よろしくお願いしますー
「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー
【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!
コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
pash-up!様
( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
よろしくお願いしますー!