攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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やっぱすげぇぜ……サウダーデの技!

 巨躯を誇るモンスターを前に、挑む俺と愛知さんとシャルロットさん。今回は連携を意識してということもあり、事前に打ち合わせておいたコンビネーションを仕掛ける感じだ。

 まずは手始めに、愛知さんが喚び出した概念存在・ガーゴイルを駆使して先制攻撃を仕掛けた。

 

「頼む、ガーゴイル達! 倒せずともやつを撹乱し、次の攻撃へのつなぎをしてくれ!」

「ケケェーッ! ケッケッ!! ケェーッ!!」

「ケケケ! ケーッケッケ! ケケケー!」

 

 石像が、そのまま動き出したかのようなドラゴンとも悪魔ともつかないビジュアル。概念存在としてのガーゴイルはこないだの最終決戦の時にも見たけど、なかなかに"それっぽい"見た目と鳴き声をしている。

 愛知さん曰く、ガーゴイルってのは元々西洋建築などで見られる家の守護像的な存在らしいんだけど……後付けの伝説やら、それをもって守護霊、転じて悪魔などとも見なすようになった人々のイメージなどもあってか、概念存在として成立したんだそうな。

 

 意外とこういう形での成立はありがちといえばありがちではある。人は無機物に心を見いだしがちな生き物だし、空想の果てに人々のイメージが収束されて通念化した暁には、そうした役割を帯びるモノとているんだろうさ。

 今はまだ元は守護像だって割れてるけど、これが遠い未来、元ネタさえ失われて逸話と情報だけが独り歩きしていった時には、さらに概念存在としての深化が深まっていくことさえ、あり得るかもね。

 そのうち人の言葉だって話し始めるかもだ。

 

「ケケッ! ケッケケーッ!!」

「ゥオオオオオオオオグッ!! グァァァァァアアッ!」

 

 さてそんなガーゴイル達四体は、愛知さんの指示通りにマキシマムオーガへと果敢に攻め込んでいく。

 勝てる実力差ではないものの、先制攻撃と次なる攻撃のための牽制を受けてのものだ。

 

 炎を吐いたり、爪で引っ掻いたり、はたまた噛み付いたり顔面に張り付いたり。どれもA級モンスター相手には大して効果のないものだが、鬱陶しさならば及第点だろう。

 マキシマムオーガの苛立ちに満ちた雄叫びが、ダンジョン内に木霊しているのだから。

 

 そしてその隙に次、向かうはシャルロットさん。

 《光魔導》プリズンブレイカー・オールフリーダム──100ある光刃の実に90ほどを差し向けて、優雅に片腕にて敵を指し示し叫んだ!

 

「九葉のガーゴイルに続き、参ります! スターライトリバティ・ミーティアサジタリウス!」

「ないとは思うがガーゴイルには当ててくれるなよ、シャル!」

「言われまでもありません、これで当ててしまうような制御の利かないスキルなど、コンビネーションに際して用いることはありえませんので……!」

「オォォォォォッ!? ガ、グァァァアアアッ!?」

 

 愛知さんとも、かつてからは考えられないほどに打ち解けたやりとりを交わしつつの猛連撃。

 自らのスキル制御に絶対の自信とプロとしてのプライドを持っているだけあって、驚くほど完璧に動き回るガーゴイルを避けて次々にマキシマムオーガへと刺さっていく光の刃。鳥籠の破片。

 

 これには堪らずモンスターの苦悶の叫びが響いた。分厚い肉の壁を貫通したとまではいかないけれど、割れたガラス片が身体中に降り注いだみたいなものだしな。怖ぁ……

 と、悶絶するマキシマムオーガだがこちらもやられっぱなしではない。丸太のような剛腕を振り回し、ガーゴイルと光刃を振り払って強引に前へと出てきたのだ。

 痛みを無視して攻めに来た、やる気だな!

 

「というわけでここで俺が! よいしょおっ!!」

「オオオオオオオオッ!!」

「ビーム、投げる、極める、打つ殴る──なんでもござれでちょっと迷うけど! ここはストレートに一発、ぶん殴るかぁっ!!」

 

 攻めるというのなら、前衛としてこれは当然俺が迎え撃つ。S級探査者相当の戦闘力を、バフスキルでひとまず50倍にまで引き上げた俺もまた地を蹴り宙を舞い殴りかかる。

 まず狙うは大きく振り被られた腕、その手に握る金棒だ。リーチ的にはここからでも後ろの二人に届きかねない、振り下ろされる前に殴り潰す!

 

 握り拳でタイミングを合わせる。まさに今、放たれる大打撃の射線にあえて入り込んで真正面からの殴り込みだ。

 俺の拳とマキシマムオーガの金棒──見た目的には勝負にもならないほどの差があるぶつかり合いはしかし、やはり。

 当然のように俺の拳が勝り、金棒を粉々に粉砕してへし折っていた。

 

「────オグッ!? アアアッ!?」

「砕いた! さすがだ山形さん、あの轟撃を一撃で粉砕するとは!」

「まだまだ! 右腕、取った!!」

「それだけではありませんね……即座に右手首を取って、これは……! な、投げるのですか!?」

 

 さしものモンスターも、唖然としてそれなりの秒数、硬直している。愛用の得物が、見るからに弱っちい俺ちゃんを砕くばかりか返り討ちだもんな。無理もない。

 しかしその隙、絶好だ! すぐさま俺は敵の側面に回り、あまりに太いその腕、手首を取る。

 さて、やれるか──サウダーデさんの技、合気技法!

 

「流水落花。万物の力の流れを読んで、ここに我が力と成す」

「オオオオッ……!?」

「──せぇぇぇぇぇぇいやぁっ!!」

 

 裂帛の呼気、それとともに小手を捻る。同時に全身のバネを使い、取った手首を通して敵の身体を流れる力を活かし、無理なく体勢を崩させる。

 人型に限らない。関節あるすべての物体に対して有効な、物理法則を十全に活かしての合気だ。

 

 俺は、マキシマムオーガの巨体を力任せでなく、水に流れる花のような優雅さで投げ飛ばした!




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