攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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敵が弱いんじゃなくて味方が強すぎるだけなんだよね

 3mの巨体を投げ飛ばす。そこに力任せの感覚はなく、むしろ流れる水に浮かぶ花のような優雅さでの、極めて自然な形の動きだ。

 サウダーデさんの合気道を見て覚えたこの技の、俺にとってはある種の到達点と言えるだろう……あの人はさらに高度な技法をも扱えるだろうけど、所詮見様見真似の俺ではここが高止まりだからね。

 

 しかして効果は絶大だ、マキシマムオーガでさえも地に叩きつけられたのだから。

 轟音とともに背中から勢いよく倒れ込まされるモンスターの、怒りと混乱、そして苦悶の叫びを耳にする。武器を砕いて投げさえした、俺の出番はひとまずここまでだ!

 その場から素早く離脱し、仲間へと呼びかける。

 

「ォォオグッ!? ──オグァァァァァァッ!!」

「愛知さん、シャルロットさん、後は頼みます!」

「任せてくれ! 最高の仕事だ、やり甲斐がある──《銃術》! 陰陽五行・かぜのよつつじ!」

 

 愛知さんが《召喚》で牽制し、その隙にシャルロットさんが《光魔導》で攻撃し体勢を崩し、俺が間隙を突いて武器の破壊と投げ飛ばして身動きを一旦止める。

 ここまでは手筈通りだ、ならばここからも手筈通り。愛知さん、シャルロットさんによるさらなる連撃へと移行する。

 

 まずは愛知さんが懐から銃を取り出した。剣に続いて銃も関連スキルをお持ちとは、やはり引き出しが多いな!

 しかも先程にも見せた陰陽師の友人からもらったという札を利用しているらしく、何やら不可思議な風を纏いつつ引き金を引いたのだ。

 

 ──同時にマキシマムオーガの胸元に、大きな風穴が空いた。銃弾がまとう風がドリルのように錐揉み状の回転をしながら、すさまじいスピードで突き抜けていったのである。

 視認できるほどの暴風を、銃弾に付与しての銃撃! 炎を絡めた剣の斬撃といい、陰陽術を用いる時の彼女は基本、様々な自然現象の力を借りて行うみたいだな。

 

 この時点でマキシマムオーガのダメージは割と決定的なものだが、さすがにA級モンスターのなかでもトップクラスらしいだけはあってタフだ、なおも身を起こして反撃しようとしている。

 だがしかし、こちらにも攻撃準備を整えている方がもう一人いるのだ。光刃をいくつも束ねて形成した光の剣を手に、空中へと躍り出た七代目聖女がな!

 

「我が光刃、我が信仰の剣にて祓われよモンスター」

「グ、グギッ……!? グ、グォォォォオオオオガッ!!」

「聖女殺法──聖王剣・奥義! 神雷光一閃ッ!!」

 

 やはり三代目聖女から引き継がれた剣技・聖王剣を披露するシャルロットさん。しかも奥義と来たか、これは。

 天高く飛んだ彼女が、身を翻して天井を蹴った。自由落下ではなく勢いづいての、まさしく稲妻めいた急速急降下──光の剣の輝きが軌跡を描いて、まさしく神の雷をも思わせる!

 

 ソニックブームさえ起こすほどの速度で、そしてシャルロットさんは突き抜けていく。目がけるは身を半分起こしたマキシマムオーガの顔面、眉間ド真ん中。

 俺と愛知さんが見守るなか、彼女が寸分違わぬ精確さで狙った場所を打ち貫いた。

 

 後に残るは貫かれたマキシマムオーガと、その先にて着地し残心に努めるシャルロットさん。

 少しばかりの余韻。そして響くは、モンスターの断末魔の叫びだった。

 

「グガッハ!?」

「神の裁きの一閃……これにて神罰完了」

「ガッハ……! オ、オォォォォガァァァ────!!」

 

 光の粒子となっていくマキシマムオーガ。

 かなりタフなモンスターだったけど、さすがに俺と愛知さんとシャルロットさんのトリプルコンビネーションを前にしては相手が悪すぎたな。

 

 戦った感じ、たしかにA級モンスターのなかでも相当な強さだとは思ったよ。

 アンジェさんやランレイさんなら問題なく倒せると思うけれど、そうだな……葵さんとか、香苗さんのパーティメンバーである横山さんや御陵さん、鈴木さん達だと相当な長期戦を強いられたように思う。

 

 あの人達も当然A級探査者だけあってものすごい実力者なので、つまりそういうことだ。恐るべきモンスターだったと、これは誤解なく言わねばならないだろうさ。

 ともあれそんな化物を相手に見事、フィニッシャーをしてみせたシャルロットさんの元へと俺と愛知さんが駆け寄る。

 

「シャルロット! さすがだ、見事なトドメだった!」

「お見事でした! 愛知さんもですけど、さすがの腕前ですね」

「ありがとうございます山形さん、九葉。お二人も素晴らしい動きでした。それに、そちらのガーゴイル達も」

「ケケ? ……ケケケ! ケケーッ!!」

「ケーッケッケ! ケケーッケッケ! ケーッ!!」

 

 三者三様に褒め合う。シャルロットさんは愛知さんが召喚したガーゴイルにさえもその健闘を称えている。

 たしかに、彼らもきっちり仕事をしてくれたからね。俺からも感謝の念を向ければ、石造りの守護霊達は、どこか照れたように高笑いして周囲を飛び交いながら消えていく。

 

 戦闘が終わったので、《召喚》の仕様としての概念領域への帰還だね。

 喚び出すタイミングは割と自由で事前の喚び出しもできるけど、消えていくタイミングはほぼ一律で戦闘終了がトリガー。これは召喚系スキルに共通する効果なのだ。

 

 つまりは今回の戦いは、完全に終了したことになる。

 うん……特に問題のない、即席ながら素晴らしいコンビネーションだった!




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