攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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突き放すのも良くないし、入れ込みすぎても良くないし……

 珍しい三人組でのダンジョン探査も、割とサクサク進んで踏破目前だ。

 時にそれぞれが単独で、時に二人あるいは全員で連携を試しつつモンスターを倒していけば、予想以上に早めに探査が終わろうとしていたのだ。

 

 やはりS級やそれに近いレベルの探査者は、一緒の探査が非常にやりやすいというか楽だな、これは。

 当たり前ながらこの界隈におけるトップ層の人達ともなると、自分の思う通りに動いてしかもそれが最適解って感じで迷いなく最短一直線でやり遂げてくれる。

 つまり特にお互い指示を投げ合わなくても、各自やるべきことを把握してるからスムーズかつサイレントな連携が可能なんだね。

 

 もっとも、そういうところが完璧なのは愛知さんのほうで、シャルロットさんはちょくちょく独断専行というか先走る場面も見られたけれど。

 本人的には連携しようとしてタイミングをトチってしまっているようで、悩みのタネになっているみたいだ。最奥の一つ手前の部屋、モンスターを片付けた後に心構えを聞かれた愛知さんによるお話が今、俺達を相手に行われている。

 

「A級以上の探査者ともなれば、自分勝手に動くにしても常に周囲周辺のことは気にかける。目的がモンスターを倒しダンジョンコアを持ち帰ることなんだから当然なんだけどね、自ずと仲間と合わせる動きができなきゃメインストリームのなかではやっていけないんだよ」

「そうですね。私も探査の時は、基本的には騎士団を連れて行っていますが……時折手抜かりをして、オールストレム騎士団長や他の騎士達から窘められることもあります。そのあたり、正直なところ苦手です」

「シャルロットさんも大概、一人でなんでもなんとかできちゃいそうな実力ですからねえ。まあ、それは俺も他人事じゃなくてアレなんですけど」

 

 S級に至った者としての体験談から、A級探査者になった時に備えておきたい意識を語ってくれる愛知さんに、シャルロットさんが少し困ったように吐露した。

 すなわち普段の探査時、仲間たる騎士団の人達を考えた連携に少しばかり手こずっているという悩みだ。

 

 これは真面目な話、俺にも通ずる悩みというか不安だ。根本的に俺もシャルロットさんもワンマンアーミー的というか、手札の種類と数的になんでも一人でやろうと思うとできちゃう万能性がある探査者だからね。

 そしてそれは愛知さんも一緒のはずなんだけれど、そこはさすがに年季と経験の差か。今回の探査のなかで連携する際にはいつも、こちらのフォローをしてくださっていたように思うよ。

 

「私が見るに、山形さんもシャルも自分で言うほど連携が取れていないわけではないと思う。そもそもちゃんと周囲を見て、仲間を見ている時点で後は経験の話でしかないと思うよ。ただでさえ二人ともできることの幅と深度が桁違いなんだから、慣れればすぐに問題なくなる」

「そんなもんですか……頑張ります」

「……というかむしろ、山形さんについては私が何か言える立場でもないよ。サークル戦やアレクサンドラとの最終決戦時の動きを見ていても思ったけれど、御身はすでに連携を取る側でなく取らせる側、指揮する側にも思えるんだけれど」

「ああ、それは私も思いますね。未だ修行中の私はともかく、山形さんは能力や来歴を考えればすでに完成されていると言っていいはず。まして立場をも加味すれば、あなたがいる戦場はあなたが音頭を取るべきようにも思うのですが」

「えぇ……?」

 

 独自の見解を述べられる愛知さんのお言葉は、含蓄に富んでいて俺も精進しなきゃなーってなったんだけれど。

 直後にそもそも俺にそんなもん要る? 的な根本論を言い出してさすがに困惑だよ。なぜかシャルロットさんまで同意してるし。

 

 たぶん、俺がアドミニストレータかつコマンドプロンプトなこととか、事実上システム領域サイドのトップであることとかを示唆しての発言だろうけど……いやあ、それとこれとは話が別だと思うんだよね。

 毎度毎回、関わる度に主導権を握ってくるような俺ちゃんは俺自身が嫌だ。何が悲しくてそんなしゃしゃり出なきゃいけないんだってなもんだし、そもそもシステム領域の立ち位置からしてそれは筋違いだし。

 

 まあ、このお二人にはそのへんのスタンスを話してなかったのもあるしね。

 というわけでこの際だもんで、前から仲間内には語ってある俺以下、システム領域サイドの基本スタンス──するのは助力と協力のみ、メインで頑張るべきはやはり現世のあなた方──について説明することにした。

 

「かくかくしかじかぱらいそさいくだ────ってな感じでして。性格的にも立ち位置的にも、俺達はどこまでいっても協力者であるべきだというスタンスなんですよねー」

「……それは失礼しました。たしかに、あなた方は事実上概念存在よりもはるか高位にある方々。であれば妄りに現世に干渉するのでなく、請われれば手を差し伸べるくらいでいなくては世が立ち行かないというのは当然のご判断ですね」

「現世のことは、現世を生きる私達が主として行うべきこと。言われてみれば当然のことですね。ただ、それはそれとして山形さん達も立場はどうあれ今は現世で過ごしているのです。あまり自分達を蚊帳の外に置きすぎてしまうのも、俗世離れではないかと思ってしまいますが」

「そこは、今も俺達にとっての考えどころですね。あなた方との適切な距離はいつも考えています……寄り添いすぎるのも、突き放しすぎるのも良くないんじゃないかって。それをシステム領域側で考えるためのインターフェイサーでもあるとご理解ください」

 

 難しいところだよ、実際。シャルロットさんが言うように、第三者目線でいすぎるのも冷たい感じがするし。かといって入れ込みすぎても現世のためにはまずならないし。

 そういう意味でも、システム領域の今後の現世へのスタンスを決める試金石的なものでもあるのがインターフェイサーだろう。

 俺達は俺達で、いろいろ考えていかなきゃいけないわけだね。




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