攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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探査者相手のゴシップは割とリスクまみれだから気をつけて!

 さておき探査が終わった。最奥部にてダンジョンコアを回収した後、速やかにサクーっと空間転移にて帰還。

 んでもって最寄りの全探組まで戻って報告とコアの納品をしたよ。愛知さんとシャルロットさんまでご一緒だったもんで、周囲の探査者さん達がびっくりしていたのが印象的だ。

 

「お、おい……あれ見ろよ、史上最年少S級の愛知九葉に、七代目ダンジョン聖教聖女のシャルロット・モリガナだ」

「しかもその二人を引き連れてんの、例の救世主じゃねーか」

「噂のハーレムくん、かあ。御堂さんとのつながりは知ってるけど、やっぱり人脈がすさまじいのね」

「救世主様バンザイ! 救世主様バンザイ! 救世主様バンザイ! 救世主様バンザイ! 救世主様バンザイ!」

「うわぁ! 急に発作を起こすな!」

 

 怖ぁ……案の定ゴシップ的に見られてる、っていうか急に発作を起こさないでよ信者の方! 怖いよ!

 こうなるから一応、施設の前で待っといてくださいよと言ってはみたものの。愛知さんもシャルロットさんも存外周囲の目など気にされないタイプみたいで、いやいや三人で探査したんだし三人で報告行きますけどとついてきたのが今だ。

 

 そんなお二人も、周辺の反応は理解しているみたいで苦笑いするやら呆れたように肩をすくめているやらだ。

 というか変な風評が今まさに立とうとしてるけどマジでこれ、大丈夫?

 

「あの、お二人ともやっぱりまずかったんじゃ……このままだと得体の知れないカルトのエセ救世主のハーレム要員とやらにされちゃうんですけど怖ぁ……」

「あなたはあなたで卑屈すぎないか……? 正直、外野の声などどうでもいいよ。誰が何を言おうが、それを私が私を曲げる理由にしたくはない」

「ハーレムというのがいまいち想像がつきませんが、要は山形さんの周囲にいる女性陣の一人として扱われそう、ということでしょう? であれば構いません。よく分からない、二言三言言葉を交わしただけの芸能人や政治家との間に意味不明な関係性を見いだされるよりはずっと真実と言えますしね」

「えぇ……?」

「ああ、まあ有名人にはつきものだな。その手の噂は」

 

 思いの外マイペースというか、予想以上に我が道を行くタイプらしい愛知さんにも軽い驚きだけど、シャルロットさんの愚痴にも似たゴシップへの発言にも驚いちゃうよ。

 言われるもんなんだな、この娘くらいの年でもそんなこと。いやまあ同い年の俺ちゃんも酒池肉林の未成年ハーレム救世主として100パーないことばっかり言われてるので、そりゃありえるんだろうけども。

 

 世間様はみんな、その手の話に飢えているようでそういう話題は探そうと思えば割と見つかり気味だ。

 もっとも、あんまりやり過ぎると探査者の探査活動の妨害ってことで割と厳しめにしょっぴかれるのでやはりネットで密やか程度にだけどね。

 

 強いて言うなら探査者なのに探査以外の側面を持ってると、ちょっとそういう話が多めってくらいかなー具体的に言うけど救世主とか伝道師とか使徒とか聖女とか。

 ぜんぶ宗教関係じゃねーか!!

 

「二人とも大変だな……まあ、どちらもそこまで大きな声ではないし、山形さんは何よりこれまでの功績もあってファンと言うか信者のほうが増加傾向なくらいだからね。シャルは、その」

「先日のアレクサンドラの件もあり、ダンジョン聖教そのものの権威と信頼が損なわれていますからね。我々も挽回すべくいろいろと動き回っていますが、こればかりは一朝一夕には取り戻せないでしょう」

 

 愛知さんが救世主な俺と聖女なシャルロットさんに気の毒げな視線を向けてきたけど、とりわけ今大変なのはシャルロットさんのほうだろう。

 なにしろダンジョン聖教自体がアレクサンドラの件でだいぶグラついているからね。ニュースとかでも結構批判気味に取り上げられていて、当然それを見た世間一般からもちょっとねー、みたいな目で見られているのは俺でさえ知っているところだ。

 

 もちろんシャルロットさんが当代聖女として陣頭に立って、名誉挽回と汚名返上のために精力的に動き回っているそうだから、俺としてはすぐに持ち直すだろうと思っているけれど。

 ただ、そこに至るまでのシャルロットさんの心情を思うと辛いのはたしかだ。本人はある種の達観さえしつつも前向きでいてくれてるけど、だからこそ周囲の理解とメンタルケアだって必要だろう。

 報告を終えて全探組施設を出る。好奇の視線から脱しつつも愛知さんが、シャルロットさんの肩を優しく叩いて言った。

 

「…………君は立派な聖女だ。そんな君が主として活動していけば、すぐにダンジョン聖教も立ち直れる。だから外野の声など気にするな」

「そうですよ、シャルロットさん。あなたが率いるならば必ず、あなた達はアレクサンドラの影を払拭できると俺も信じます。ですからどうか、ご無理なさらず」

「ありがとうございます九葉、山形さん。あなた方に限らず先日の件で知り合った多くの人達から、そうした応援の声をいただいています……ありがたいことです。本当に」

 

 俺からもエールを送れば、そうした声にシャルロットさんは淡く微笑んだ。

 先日の件で知り合った人達、きっと俺の仲間達もそこには含まれるんだろう。シャルロットさんの境遇と置かれた状況を知って、捨て置けるような人達ではないしな。

 

 大丈夫。シャルロットさんには多くの味方がいるし、彼女自身もそれを分かってくれている。

 何かあればすぐに相談してくれるだろう、グルチャもあるしね。だったら俺達もすぐに動ける、力になれるさ。

 改めてシャルロットさんの力になりたいと、そう願う俺だよ。




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