攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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中3の夏は山形くん的にガチの黒歴史です(原因:遊びすぎ)

 愛知さんとシャルロットさんとの、なんだか珍しいパーティを組んでの探査から一夜明けて、日曜。

 この日は俺ちゃんもオフでのんびりモードなわけなんだけど、それはそれとして外出はしていた。隣県へと向かうべく、朝一から出発しているのだ。

 

「へっへへへ! 公平サンのいとことの初顔合わせだぜ! 緊張するぜェ……!」

「えぇ……? いや、緊張するようなことじゃないから。別にシリアスな話をするわけじゃなし、呑気に構えときなよ」

「そうそう、シャーリヒッタ姉ちゃん。これから会う兄妹も私と兄ちゃんよろしく、ちゃらんぽらんが服着てるようなものなんだから。山形家の血筋だよねえ〜」

「あ、あははー。ちゃらんぽらんかはともかく、たしかに呑気というか楽しい兄妹でしたねー。だからシャーリヒッタも、気楽にリラックス、リラックス!」

 

 駅へと向かう道すがら、同行者のみんなと話し合う。言わずと知れた山形家のちびっ子組、優子ちゃんにリーベにシャーリヒッタだ。

 今日は俺達みんなで隣県は都市中央部へ向かう。そして俺のいとこである山形隆太郎ことリューさんと、その妹である山形春香と一緒に遊び倒すのだ。

 

 なんてったって一週間前、急に春香からメッセージが届いてそういう運びになったからね。なんでも高3で受験勉強しているリューさんの、気分転換を兼ねて俺達とも遊びたいとかってさ。

 普段は割と兄に対してもドライな春香も、なんやかや大変な時にはやっぱり心配するんだろう。俺としてもリューさんがお疲れモードだって言うならせめてもの気晴らしにでも付き合いたいし、二つ返事でOKしたわけだった。

 

 で、その際に優子やリーベのみならずシャーリヒッタをも連れて来るって話になった。リーベに続いて最近やって来たニュー山形家メンバーで、この子だけ親元の帰省時にはいなかったからね。

 いや、厳密には倶楽部事件関係で一瞬だけ受肉前の状態でシステム領域から喚んだりしたけど、まともに挨拶とかは当然できてないしね。

 

 同様に当時はまだシステム領域にいたミュトスも、今や一人暮らしウーマンながら山形家のメンバーだしと声をかけたんだけど、それはアポが取れずにまた今度となった。

 新規探査者教育を受けなきゃいけないそうだから仕方ないね。アレ本当に面倒なんだよなー俺の中学最後の春休みもまるっと潰れたし。

 未だに悔しみを感じつつも、しかしリューさんの受験勉強について想いを馳せる。

 

「しかし受験かあ。俺は進学する場合二年後だけど、優子ちゃんはもう来年だよなあ。もうどこの高校にするかとか決めてるの?」

「んー? んー……まあ、家の近くの高校が良いかなーって思ってはいるよ。ほらあるじゃん、菱山高校」

「おお、あるなあ。でもたしかあそこ、東クォーツより若干難関だったような」

「県内最強の盈々高校よりかは全然でしょ? 私ってば一応これでも学力上位だしさ、今くらいの成績なら行けそうって先生との進路相談でも言われてるんだよねー」

「そっかあ……」

 

 あっさりと答える優子ちゃんだけど、地味にすごいこと言ってるよ。菱山高校ったら俺も正直行きたかったけど、学力の問題でさすがに手が届かなかったところじゃーん。

 さすがは私生活はアレでも学校だとアイドル的存在、卒がないねー。

 

 いやーしかし思い出してきた。なんなら東クォーツでも無理した記憶があるもんな、受験勉強。

 当時はもちろんコマンドプロンプト覚醒前だったしそもそも探査者でもなけりゃアドミニストレータでもなかったし。

 

 つまりは純度100%の山形公平くんだったもんで、イコールちゃらんぽらんな陰キャ中学生全開だったわけで。勉強に精を出すわけもなく、ひたすらアニメ・マンガにゲームにネット漬けだったんだよね。

 それでも親の目もあり、受験勉強はしっかりすっべと頑張ってどうにか東クォーツに受かったわけだけど……本音を言うなら隣町の山の上にある学校よりは、家の近所にある学校のが通学的に良かったなーって思いはたしかにあったよ。

 

 もちろん、今は東クォーツに入れて良かったって思っている。入学してまだ半年だけど、大切な友達もたくさんできたし思い出も作れているし。

 中学の頃には欠片もなかった青春的な学生生活を送らせてもらってるんだ。これでなおもやっぱり菱高のほうが良かったなんて言ったらバチが当たるよ。

 

「ま、どこに行くにしても優子ならやれるよ。でも兄貴からのアドバイスだけど、家でも頑張ってる素振りくらいはたまに見せといたほうが良いぞ? 父ちゃんはともかく母ちゃん、だいぶ気にしてるからな」

「うっ……分かってるって。さすがに来年の夏休みまで今年みたいにしてたら、兄妹揃って親の前でガチ泣きする羽目になるし」

「その話はやめてください、心がとても苦しくなってしまいます」

「そ、そんなにだったんですねー公平さん。ちらほら話は聞いてますけどー……」

 

 アドバイスしようとしたら思わぬカウンターを食らってしまった。去年の夏、ゲームにかまけて受験勉強を疎かにしてたら親からガチ説教食らって泣いてしまったあの日を引き合いにだされたのだ。

 アレはマジで黒い歴史だからもう封印したいんですけど、さすがに一年ちょっとじゃ無理かぁ。なんならどうせ大学受験するならその時にも引き合いに出されるだろうし、しばらくは折に触れてぶり返される古傷なんだろうなあ。

 怖ぁ……




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