攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
駅についていつものごとく切符を買って、新快速に乗って一路隣県の都市中央部の駅へ。ものの20分とかけず行けるから早くて良いね。
日曜の朝だけあって行楽なり観光なりにお出かけの方々で電車内も結構賑わっていたけど、さりとて満員電車ってほどでもない。特にストレスなく、スムーズにたどり着くことができたよ。
そんでもって到達しました隣県。たしか中央改札口とやらで春香やリューさんと待ち合わせてるんだけど……えーっと。
とりあえずホームから最寄りの階段を伝って地下へ。この駅は地上1階に三つ、2階に一つ、そして地下1階にも一つとそれぞれ改札がある。
あるんだけど……えーっと。
「…………中央改札口ってどこだ? どっちだ? どれだ?」
「広い上に立体的な構造だから迷うぜェ……」
「前に来たことあるんだけど、えーっと、えーっと」
「3人とも、お上りさん以前に迷子さんですねー」
上記の通りやたら出入り口があるもんで、滅多にこっちに来ない俺ちゃんとしては何が何やらだ。見れば同じくほぼ初見のシャーリヒッタや優子ちゃんも首を傾げている。
いやはや優子ちゃんなんてちょくちょく友達やら、あるいはリーベやらとこっちにまで遊びに行ってるだろうに。本来はリーベと同じで迷子の俺とシャーリヒッタを眺めている側なのに一緒になって迷子とは。
そう、さすがのリーベ大先生だけはこうした状況下で特に焦る素振りを見せていない。呆れとも微笑ましげともつかない笑顔で俺達を見ているばかりだ。
受肉して半年足らずだけど、なんどか妹ちゃんとこのあたりをうろついているこの子だから、すでに構造を理解しているのだろうね。精霊知能だけあって、記憶力は抜群だよ。
「こんな感じになるだろうとは予測してましたしー、ここはかわいいかわいいリーベちゃんがコンダクターを務めますねー。こっちですー」
「おお、ステーションコンダクター・リーベちゃん……ありがたやありがたや」
「というかシャーリヒッタは仕方ないにしろ、公平さんと優子ちゃんはここがお初なわけでもないでしょうにー。なんで二人して覚えてないんですかー」
「ううっ、ぐうの音も出ない正論!」
ぶっ刺さる忌憚ない正論に兄妹二人、胸を押さえて呻く。たしかにシャーリヒッタはともかく俺と優子ちゃんはそれこそ何回ここ来た、何年生きてるって話ではある。
俺にしたって少なくともシャーリヒッタよりはここに来た回数多いし、直近で言えば倶楽部事件やサークル騒動の際にも通過しているからね、この駅。
じゃあなんで覚えてないかと言うと、ズバリ通過しかしてない場合が多いのと同行者についていくだけのちゃらんぽらんムーヴ全開だったからだ。
このへん山形家のアホの子の血が発揮されていて、なんか一緒の人がいるならその人についてこーって精神が発露しちゃったんだね。
それは優子ちゃんも同様で、おそらくこれ以前に訪れた時にも同行者だったろう友達やリーベやらについていっただけだからまともに構造を把握していないものと思われる。
ちなみに俺は仮にもコマンドプロンプトだかんね、構造自体はキッチリ把握してるよ避難経路や消火器やらの場所やら含めて。改札口の場所自体もバッチリだ。
ただ改札口の場所を具体名で問われると、そこは紐づくほど記憶できてないのでアレぇ? ドレぇ? ってなるだけだね。
ともあれそろそろ待ち合わせ時刻だ、迷ってる間もありはしないのでリーベ大先生についていくよ。
えーっと地下をまっすぐ繁華街のほうへ進んでー……あっ、改札口見えてきた、けどそっちには行かずー? あ、エスカレーターで地上に出るのか。
地上1階に出たらそのまま進んで右手にー? 見えてきた改札口? あっ、これ?
「とうちゃーくー! リーベちゃん観光のまたのご利用をお願いいたしますー!」
「ここが中央改札口かァ? 思ったより近かったぜェ」
「そもそもこの駅自体、構内はそう複雑な形状してないですしねー。優子ちゃんはともかく公平さんも、単に改札口の場所ごとの名前と実際の位置が紐づいてなかっただけですよねー」
「まあ、それはな。ふむふむ、ここが中央改札口か。となると他は……」
俺の記憶状況まで読み切っていたリーベちゃんはやはり、アドミニストレータとしての俺の相棒だったことはある。さすがの理解度だよ。
中央改札口──ついに到着した、目の前にある改札口の地点をしっかり記憶する。これなら他の改札口も十分推測可能だな。
つまり俺はこれでこの駅で迷子になる可能性はなくなったと言えるだろう。これがコマンドプロンプトの演算能力だ、どやー!
まあ、優子ちゃんは未だに構造の把握もできてないみたいでうんうん唸っているけども。それはもう今後、繰り返し反復してこのへんに遊びに来るなかで覚えていくしかないだろう。
と、いうわけで改札を出ていよいよ隣県へ。さてさて、お目当ての兄妹はいるかな?
「えーっと、リューさんに春香ーっと」
「────あっ、来た来た。さすがに時間通りに来るんだ、公平」
「そりゃー今や探査者だしな。親元で毎度寝坊助だったころとは違うだろ、春香よう」
「あっ、いた! おーい!」
改札前で待ち合わせなだけあって、すぐにその二人見つけて俺は手を振った。夏頃に会ったのと変わらない姿で、ただし季節が変わったこともあり見慣れない冬コーデなんかしているね。
茶髪でちょっとロングヘア気味の、チャラ男感溢れるリューさん。前髪をヘアピンで左右に分けた、知的だけど案外パワフルな春香。
毎年お盆の頃にしか会わない親戚の兄妹と、今年はまさかのこの季節に再会だ。
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