攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
さてさて、無事にリューさんや春香と合流できたわけなんだけども。合流時間が朝の9時ということでいささか早すぎるのも事実ではある。
今回、遊びに行こうって話になってる商業施設は開館が10時だからね。あと一時間ほどもあるため、適当なところで時間を潰すかって話になるのは当然の成り行きだった。
「たしか施設にある喫茶店はもう開いてるはずだから、そこで時間つぶすかあ。秋の新作ケーキとかも食べたいしなー」
「兄貴も大概甘い物好きよね。まあ私もだけど。言っとくけどお昼ご飯食べられないくらいガッツリいったらやばいからね」
「分かってるよ。特にあの喫茶店、やたらめったらボリュームたっぷりだもんな。迂闊にサンドイッチとか頼んだらもう朝昼兼用みたいになっちまうぜ」
「そうなんですねー」
連れ立って歩きつつ、とりあえず施設最寄りの喫茶店で過ごすつもりらしい。リューさんと春香が勝手知ったるとばかりに話すのを、リーベが相槌打ったりしているね。
季節はそろそろ冬が近いわけだけど、一応秋真っ盛りだもんで限定スイーツなんかが巷を賑わす食欲の季節が未だ継続中だ。
コンビニなんかでもモンブランとかのマロン系統が特に新作限定品が多いかな?
俺ちゃんとしてもそういうのは好きだから、これから行く店の新作ケーキとか言われるとなんだか心が弾んじゃうよ。
『新作! そして季節限定! だったら僕らも行くしかないだろうさ、分かってるな公平、ケーキは無論のことやたらボリュームたっぷりらしいサンドイッチも頼めよ! 何、昼が食べられなくなる? いやそういうの良いから。ダンジョン潜ってモンスターの相手してるんだから多少食べすぎたってすぐに消費できるだろ、食べろ!』
脳内の食いしん坊が案の定、新作だの季節限定だのの文言につられている。加えてなんかボリュームすごいらしい軽食にも興味津々で、さっそく俺に一人フードファイトを求めてきている。
ケーキは俺も気になるから頼むと思うけどサンドイッチまでなんて食べるか馬鹿野郎! たしかにダンジョン探査は普通にカロリーを消費するからトータルで見たら問題ないっちゃないけど、どうあれこのタイミングでそこまで食ったら昼食えなくなるのは探査関係ないだろ!
馬鹿の馬鹿な提案をバッサリ斬りつつ歩く。件の施設は駅から出て歩くこと10分ほどのところにあるため、割とすぐに見えてきたよ。
いわゆる大型商業施設で、本館と別館に分かれておりそれらをつなぐ連結通路が各階層ごとに道路をまたぐ形で設けられているのが特徴的だ。
映画館なんかもあるみたいで、そこは今もうすでに開いているのか直通エレベーターに乗っていく人がチラホラ見えるね。
「おおー、ここかァ。同じ系列の店は山形家の近くにもありますけど、やっぱデカいですね公平サン」
「近く……徒歩で一時間くらいするけどまあ、近くか。そうだなあ、こういう商業施設ってなんかこう、そもそもの外観のデカさに圧倒されるよな」
「特にこっちは大都会だから余計にねー。入ってる店とかも違うのかな、見て回ろうーっと」
施設近くまで来て改めて見上げればその威容というか、シンプルにデカくてビビる。シャーリヒッタや優子ちゃんも興味津々の様子だ。
うちの家から歩くこと一時間ほど、最寄り駅から出ているバスで30分ほどのところにも同じ系列の商業施設があるんだけど、それ以上にも見えかねない規模だよ。
今日はここをたっぷり楽しむことになるのかあ。お上りさん山形くん的にはもうすでにテンション高めなんだけど、実際に見て回る段となるとさらに楽しいんだろうなあ。
と、リューさんと春香が俺達に向けて施設の2階を指差して言ってきた。見れば外付けのエスカレーターを昇った先、通路の向こうに喫茶店が見える。
「あそこだあそこ。おし、行こうぜ公平に優子、リーベちゃんにシャーリヒッタちゃん。暇つぶしがてらの腹拵えだ!」
「特に公平、ちゃんとついてきなよーあんたお上りさんなんだから。ただでさえぽけーっとしてるのに、こんなところで迷子になったら目も当てられないんだからね。なんなら手をつなごっか、ほらあ」
「5歳児かな? いやついて行くって、はいはい」
はしゃぎ、先行してエスカレーターに駆け寄る少年ハートなリューさんはともかく、春香はやたら俺をからかいながら手まで差し出してきた。迷子にならないようにという、まるでお母さんみたいな仕草である。
迷子かぁ、たしかになあ……中学以前、親元に行った時には結構ぽけーっとしてたもんで、迷子っていうかのんびりしてるがゆえに置いていかれそうになる場面はまあ、なくはなかったなあ。
そんな時にはいつもリューさんなり春香なりがこうして手を伸ばしてきて、それに反発っていうかツッコミを入れて俺も慌ててついていくのが割とありがちだったか。
懐かしいなあ。差し出された手をそっと掴む。
「っ!? …………本当に握ってくるんだ、意外。あんた前ならこういうの、いやいらんし怖ぁとか言ってたでしょうに」
「ん、まあたまにはね。去年までも盆の頃、こうしてくれてたよなって思い返して。実際に握るのは初めてかもだけど、嫌だったかなごめん」
「……別に? 嫌じゃないけど。なんかこう、手慣れた感出してるの腹立つなって。たった一年でずいぶんスケコマシになったんですねハーレム救世主様は、けっ」
「誤解ですけど! ていうか何いきなり、怖ぁ……」
唐突な悪態に震える。なんだよう、たまには良いだろいとこなんだからよう。
まさかからかいに乗っかってこられるとも思っていなかったのか、つながれた手に動揺する春香も大概照れ屋さんだと思う。
ま、ともあれ喫茶店だ。
なんやかやと手はつないだまま、俺達はリューさんに続いてエスカレーターに乗り、喫茶店へと向かうのだった。
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