攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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カバーストーリーなんてのはザックリしてるくらいでちょうど良い

 喫茶店はこんな朝早くからでも結構人がいて、俺達と同じく施設の開店を待っているっぽい人達とか、あるいはビジネスマンらしいスーツ姿の人が見える。

 仕事なんだろうね。ノートパソコンをカタカタッターンッ! ってしながらコーヒーを片手に寛いでいるよ。

 

 そんな店内に入り、俺達6人も席に案内される。テーブルが二つ並んでいる周りにソファが置かれてある席だ。

 リューさん、春香、俺、優子ちゃん、リーベ、シャーリヒッタと並んで座り、さっそくメニューを見ようかなーっと。

 

「おっ! これか期間限定のマロンケーキかあ。これと、あとはコーヒーくらいにしとこうかな?」

「俺はコーヒーの代わりにコーラにするぞ! 甘いもんに甘いもん、これが受験戦争に疲れ果てた脳髄に甘く響くんだわ」

「言うほど疲れてもないくせに……私はパンケーキにしよっかな。ホイップクリームたっぷりのやつ」

「あ、じゃあ私もそれにしよ。えーっと飲み物はオレンジジュースで」

「んー、リーベちゃんは公平さんと同じにしましょうかねー。シャーリヒッタはどうしますー?」

「おう、オレもそうするぜ! 公平サンとリーベと同じだぜー!」

 

 矢継ぎ早にそれぞれ注文を決める。割と事前に食べたいものを決めてたからね。こうなるとさっさと注文できるってもんだ。

 あー、さすがにボリュームたっぷりすぎて今食べたらお昼が食べられなくなりそうなサンドイッチとかはなしだ。昼は昼で施設内のフードコートとかでたくさん食べたいしね。仕方ないね。

 

 店員さんをお呼びして、今決めた注文を伝えて一息つける。時間は9時20分頃、この調子だと頼んだメニューが出てきてそれを食べつつ雑談に興じていたら、あっという間に10時の開店を迎えることだろう。

 その間、フリータイムだね。さっそく初対面のリューさんと春香、そしてシャーリヒッタがおずおずと交流をし始めていた。

 

「で、えーっとシャーリヒッタさんだっけ……公平がなんか迷惑とか嫌なことしてきてない? 優子ちゃんはともかくこっちは大概女の子との距離感掴めてなさそうだからね。なんか知らないうちにハラスメントしてないかなーって」

「えぇ……?」

「んん? 全然してないぜ! 公平サンにゃすっげー世話になってるし、オレとしちゃむしろどんどん距離詰めてほしいところだぜ!」

「そ、そう……リーベちゃんに続いてこんな可愛くて良い子まで義理の妹にできるとか、公平あんたいつからラブコメ主人公になったの? なんかそういうスキル持ってるの?」

「怖ぁ……」

 

 なんでしょうか、春香さんのじっとりした視線が突き刺さってる。そういうスキルってどういうスキルだよ、あってたまるかそんなもん。

 ……まあ、称号効果の方で魅力値アップみたいなのはあるから、微妙に良い線いってる指摘ではあるかもだけど。ただ仕様的にその手の効果は、何も相手を問答無用で魅了したりする人権無視パワーでは決してないからなあ。

 

 魅力値ってのも結局、第一印象から受ける好感程度の話でしかなくて。そのへんがバフられていたとして、実際の現象としては初対面の人からも結構良い感じに見られるよってくらいの塩梅だ。

 そしてそれがまあ、日常生活においてはなかなかに強力でもあるんだよね。なんせコミュ力皆無の陰キャなもんで、見かけも地味だしどうしても初対面の印象なんて残らないタイプの俺ちゃんだし。

 

 まあシャイニングパワーと併せ、特に理由はないけどちょっと良い人っぽく見られる程度の効果だよってのは折に触れ自戒しておきたい。これが素の山形くんの魅力なんだとか勘違いすると大火傷しそうだし。

 そんなことを考えつつも俺は、春香とリューさんにシャーリヒッタが家に来るまでのカバーストーリーを説明した。

 

「えっと、リーベとシャーリヒッタは元々同じ施設の子……というか、まあちょっと複雑な事情のある姉妹なんだけどね。探査者として活動してるなかでこう、俺と意気投合する感じになって」

「身寄りのない私達にだったらと、公平さんがご家族様に相談してくださって、居候という形で置いてくださってるんですー」

「なんなら戸籍もなかったからよ! そこは公平サンがソフィアにお願いして、山形姓で作ってもらえたのさ! だからオレらはリーベ・山形にシャーリヒッタ・山形ってわけなんだなァ」

「ソフィア……って、マジかソフィア・チェーホワ統括理事のことかよ!? 盆の時にも親元に来たのは驚いたけど公平、お前とんでもない人とどんだけ付き合いあるんだよ……」

「い、いやあーははは」

 

 改めて話すとだいぶファジーというか、ツッコまれると答えに窮しそうなカバーストーリーだけど、一応細部はヴァールのほうが考えてくれているので問題ないはずだ。

 彼女曰く"下手に細部まで決めていると、そちらのほうが辻褄合わせをされるとまずいことになりかねない"とのことだ。たしかに設定マニアみたいにガチガチに考えていても、逆に違和感を覚えられてしまうことにもなりかねないかもだよね。

 

 なので山形家一同、リーベとシャーリヒッタとあとミュトスについてはこうした設定でいく感じになった。

 ちなみに今後、場合によっては現世に受肉するだろう精霊知能達も概ねこのストーリーを土台にした設定で戸籍を用意されることになるとのことだ。

 要はシステム領域を一つの施設と仮定して、そこ出身の子としてあつかうわけだね。




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