攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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光と闇、虹と影のコラボレーション

 香苗さんとランレイさんのタッグによる、リッチの姿と能力を模したドッペルゲンガーとのバトル。

 珍しい組み合わせに見守る俺もアンジェさんも興味津々だ。特にアンジェさんなんてもう、試合観戦のノリで見るからにワクワクしてらっしゃるよ。

 

「よっしゃー! 頑張んなさいよ二人ともー!」

「まるで野球観戦に励む居酒屋の客か何かですね……行けますかランレイさん。あなたに合わせて《光魔導》を撃ちますが」

「は、はいっ! ────応ッ!! 任せてくれ香苗さんッ我が名はシェェェェェェンッ!! ラァァァァァンレイッ!!」

「は、はじまった! ランレイさんの二重人格!」

 

 香苗さんの言葉に、おもむろにそれまでのキョドりを捨てて高らかな名乗りをあげるランレイさんに俺も思わず反応した。

 そう、二重人格……っていうとちょっと語弊があるんだけれど、傍から見たらそれに近い。ランレイさんは日常生活においては非常にお淑やかというかおとなしいんだけれども、バトルに移行すると即座に今のような荒々しい、雄々しい性格へと豹変するのだ。

 

 ハンドルを握ると性格が変わる人っているよね? あれに近いものだと思う。

 正直なところこっちの荒々しさこそが彼女の本質的な性格なんじゃないかと俺は睨んでるんだけど、まあそこはどちらでも素敵なランレイさんなのでどうでも構わない。

 ともあれ、日常生活と探査活動における言動に極端なまでの差がある探査者。それこそがシェン・ランレイさんだった。

 

「取り巻きは任せたい、香苗さん!! その間に私はドッペルゲンガーの素っ首を刎ね落としてくれようッ!! 我が星界斬撃拳、そして双魔星界拳が切っ先に、斬って落とせぬ首はなし!!」

「ギロチンか何かですか……分かりました。では私は手筈通りに取り巻きを仕留めましょう、《光魔導》! 虹よ架かれ!」

「《闇魔導》ッ!! 影よ写身となれッ!!」

 

 発動する二つの魔導シリーズ。相反する光と闇がコントラストとなり、二人の探査者の力として顕現する。

 香苗さんの《光魔導》は言わずもがな虹だ。背後に虹のアーチが架かり、相対するモンスターすべてを逃すことなく消し去る裁きの光をもたらすレインボー。

 

 そしてランレイさんの《闇魔導》は影だ。足元の彼女の影が肥大化し、立体的な物体としてこの世に具現化していく。

 黒子めいた真っ暗闇の塊。姿形はランレイさんにそっくりで、まさしく分身、写身と呼ぶにふさわしい形をとる。

 この分身こそが彼女の新たなる力。己の意志を反映して自在な動きを取る、もう一人のシェン・ランレイとも呼べる存在だ。

 

 同時に圧倒的な気迫を放つ二人を前に、モンスター達はゾンビであれグールであれ、あるいはそれらを呼び出したドッペルゲンガーであれ恐れ慄かないではいられない。

 闘志漲る美女二人は、そうして各々が技を放った。

 

「私も、救世主様や幼馴染の前で無様を晒すわけにはいきませんからね。だからこそ受けなさい──プリズムコール・プットショット!」

「影よ、我とともに駆けよッ!! ──双魔ァッ!! 星ィィィ界ッ! 天狼ォォォ五神撃ィィッ!!」

「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!?」

「カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタッ!!」

 

 虹から放たれる光弾の雨。きちんと狙いを定めているようで群れるモンスター一体一体を的確に撃ち抜くそれは、香苗さんの技だ。

 範囲攻撃かつ遠距離攻撃ではあれど、範囲内を軒並み照射する形でなくある程度狙いを定める形にしたのはやはり、ランレイさんへの配慮だろう。そのへんお構い無しだとドッペルゲンガーごと攻撃できちゃうからね、彼女の場合。

 

 そんな、ある意味加減して放つ技からでもその制御能力と威力、狙いの緻密さは伝わってくる。

 ましてやA級トップランカークラスとして、香苗さんの背中を追う形となっているアンジェさんにはなおのことだ……楽しげに、しかしどこか憧れを帯びた視線を彼女に向けるのが、横顔からでも分かったよ。

 幼馴染、なんだもんな。香苗さんとアンジェさんは。

 

「やっぱすごいわね、あの子は。よく分からない宗教活動にのめり込んでいてもさすがはS級よ、マジで」

「そうですねー。いやホント、なんかすみませんよく分からない宗教活動の神輿的に……」

「別に貶してないわよ! ただ、なんか悔しさはあるわねー。幼馴染で同年代で、なのにいろいろずいぶん差をつけられちゃったなって。比べるもんでもないのにね」

「アンジェさん……俺から見て、あなたもランレイさんも香苗さんの域に着々と近づいているように思えますよ。これは慰めでも励ましでもなく、コマンドプロンプトとしての適正な評価です」

 

 端的に羨望を口にするアンジェさんに、慰めでない本音から俺はランレイさんをも含めたお二人の実力について告げる。

 コマンドプロンプトとしての信念にかけて言うよ。香苗さんはたしかにS級たるにふさわしい実力の持ち主だけれども……アンジェさんとランレイさんもまた、それに追随する勢いで破格の実力を備えている。

 

 そもそもが才能の塊というのもあるけど、加えてこの人達の場合、仕事柄通常の探査者よりも戦闘経験が多い傾向にあるからね。加えてモンスターだけでなく対人戦などにも精通しているところがあり、それは香苗さんにはまずない要素だ。

 そこに加えて各々新スキルの存在もある。アンジェさんやランレイさんが自分達で思っている以上に、香苗さんとは実力的な差を縮めて来れていると思うよ。

 

「ついで言いますが、シャルロットさんも秘めた力はS級ですし、部分的には香苗さんや愛知さんに匹敵しているところもあります。けれど総合的にはそんな彼女さえ上回っているのがあなたとランレイさんなんですから」

「公平……あんた、そんなふうに私達のこと見てくれてたの」

「もちろん。ですから自信を持ってください。ウーロゴス相手に見せた竜断刀奥義……あれ一つ取っても、あなたがそう遠くないうちにS級に到れるのは、あの技を見た誰もが思っていることですから」

 

 驚いたようにこちらを見る、アンジェさんに笑いかける。

 そうだ、何よりサークル事件の最終局面にて見せたあの奥義──マリアベール。概念存在たるウーロゴスにさえダメージを与えてみせた、理外の境地に達した天賦の才剣。

 

 アレこそがアンジェさんの可能性を端的に表してくれているんだ。いつかこの人は偉大なる祖母さえ超えて、次なる時代を担っていってくれる人だってね。

 だから俺も、周囲の人達もなんの心配もしてないんだ。自信を持っていけば、このお二人はどこまででも高みを目指していけるってことをね。




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