攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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由緒正しき星界天狼拳

 香苗さんの《光魔導》の相変わらずの制御力、出力の高さに驚かされる俺とアンジェさんだけれども。ランレイさんだってもちろん負けちゃいないほどの動きを見せている。

 シェン一族が永年かけて築き上げた星界拳、そのなかでもランレイさん自身が《闇魔導》にて新境地を開いた流派……その名も双魔星界拳がまさに今、ドッペルゲンガー相手に鋭く襲いかかっていたのだ。

 

「っしゃああああああっ!! 受けよ斬鉄、我が星界拳ッ!!」

「んぐぐげげげげっ!? んぐかあっ!!」

「たとえいかなる姿とて、我が脚はすべて断ち切るっ!! しゃああああありゃあっ!!」

 

 射線上にいる敵、ドッペルゲンガーへと瞬時に距離を詰め、身を翻して放つアッパーめいた蹴り上げ。

 腰をフルに回転させた駒のような動きで放ったソレは当然のごとく足刀で、ゆえに彼女が誇る斬鉄脚としての威力を発揮していた。

 

 そう、斬鉄。

 どうも星界拳にも多々流派があるようなんだけれど、ランレイさんが好んで用いるそれは足刀による斬鉄を旨とする、斬鉄脚をメインに据えたものなんだそうな。

 ええと、たしか──

 

「星界天狼拳、とかって前に聞いたことがあります。リンちゃん曰く、系譜的にはかなり初期の段階でオーソドックスな星界拳から派生した、殺傷力特化の星界拳だそうですけど」

「ランレイもちょくちょく、お酒飲んでる時に言ってるわねー。なんでも二代目の里長? さんが開いた流派だとか。あの子的には分かりやすくなんでも叩き切れる分かりやすさが好みらしいわよ」

「そ、そうなんですね……ランレイさん、基本ストレートですしね」

「私から言わせれば大雑把とも言うかしら。日常生活のなかでもアレで大概ものぐさなのよ? 家事全般今や私がやってるし。あ、ちなみにバカンス中はマンションの一室借りてルームシェア中よ。公平もよければ遊びに来なさいな」

「アッハイ」

 

 怖ぁ……美女二人のルームシェアハウスに陰キャが遊びに行くなんてハードル高いよ!

 とまあ今現在のお二人のバカンス生活についてはともかく、ランレイさんの扱う星界拳の流派について想いを馳せる。

 

 二代目里長、たしかシェン・ラウエンさんか。第二次モンスターハザードにおいてはエリスさんと、第三次モンスターハザードにおいては葵さんの祖父光太郎さんと。

 そして第五次モンスターハザードでもマリーさんはじめ名高い探査者達と肩を並べた英雄のなかの英雄だ。

 

 もちろんヴァールやソフィアさんとも親交があったようで、初代シェン・カーンさんとの関係もあり今に続くシェン一族への信頼と友情の基盤になっているのは言うまでもないだろう。

 そんな方の興した一派があの斬鉄脚で、ランレイさんはそれを現代においてみごとに発展させたわけだね。

 

「我が影よ! ともに征こう──双魔星界武闘龍撃拳ッ!!」

「ぐげごぎががごごごぎぐげっ!?」

「しぇぇぇぇぇぁぁあっ!! しゃああああぁぁぁっ!!」

「相変わらずすごい動きですね……《闇魔導》による写身と、まるでダンスでも踊るかのようにピタリと合わさった技を。その間に挟まれて斬り刻まれるモンスターからしてみれば、悪夢のようなものかもしれませんが……!」

 

 取り巻きを無事に瞬殺し、見学している香苗さんですら目を奪われるほどの乱撃。ランレイさんが《闇魔導》により構築した自らの分身とともに魅せるその技こそ、彼女がその星界天狼拳をさらに発展させた新流派。

 双魔星界拳。彼女の場合は実質一人でやってるけど、流派としては二人でコンビネーションとして繰り出す系統みたいだね。

 

 この動きがまた素晴らしくて、ランレイさんと影の技がそれぞれ違うんだよ。それでいてそれら二つが合わさり噛み合い、あたかもギッチリ組まれた歯車のような機械的美しさすら感じさせる光景を展開しているんだ。

 それでいて見栄えだけでなく威力も折り紙付きが数倍だもの。香苗さんの言うように、合間に挟まれる形で斬撃脚の餌食になっているドッペルゲンガーは堪ったものじゃないだろうね。

 

「しゃあっ!! ────シェン・ランレェェェイッ!! ここに双魔星界拳の威を示すゥッ!!」

「が、ぐ────」

「ま、さすがに瞬殺よね! でもランレイ、相変わらずカッコよくて美しかったわ、アンタってば本当にサイコーに素敵よ!!」

「お見事でした、ランレイさん!」

「改めて思いますが、スキルと星界拳の組み合わせはこれほどまでに互いの威力を高めるものなのですね。勉強になりました、ランレイさん」

 

 最後の蹴りでドッペルゲンガーの首を、宣言通り刎ね飛ばして光の粒子に変えていく。

 断末魔の呻きを微かに残して消えていく敵を前に、残心を欠かさずながらランレイさんは勝ち名乗りをあげた。

 

 うーむ、芸術的ですらある。

 そもそも蹴りのみで舞うように戦う星界拳が綺麗な拳法なんだけれど、さらに足刀による鋭さを伴うランレイさん流派はシャープさが伴い、そして己の分身とともに型を合わせる姿は調和の取れた機械のような噛み合った心地良さをも表現している。

 リンちゃんの力強い、まさに豪脚とも言うべき真道星界拳も野性味のある美しさだけれど、こちらの双魔星界拳も別の路線で美しいんだよなあ。




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