攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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おのれステータス!仕方ないけどお前が世界のバランスを破壊してしまった!!

 ダンジョン探査も引き続き問題なく続けていって、部屋ごとに組み合わせを変えてコンビネーションをお試ししながらのモンスターとのバトルを繰り広げている俺達。

 次は幼馴染コンビだ……香苗さんとアンジェさん。相手はアゲハチョウの模様をしたペンギン、アゲハペンギンが6体ほど。

 

 このアゲハペンギンの注意すべきところはやはり、嘴の内部にびっしり生えそろったグロテスクなまでの鋭い歯だろう。

 なんならそれをミサイルみたいに飛ばしてきて、足止めしてくる間に何匹かが噛み付いてくるのだ。それも狙いは常に急所、頸動脈めがけてである。

 

「クエエエーッ!! クエッ! クエエエエエエエッ!!」

「くあっくあっくあーっ! くえっくえっくえーっ!!」

「さぁて珍しいタッグだけれど香苗……どうやる?」

「ふむ、まあ私のほうはいつも通りでしょうか。《光魔導》で何体か潰しますので、その間に残る個体をアンジェリーナ、おまかせしましょう。よろしくお願いします」

「オッケー。私のほうもいつも通りってか、結局やれることなんてぶった斬るしかないからそれで良いわ。よろしくね」

 

 そんな凶悪凶暴モンスターを眼前に、スラリと並び立つ香苗さんとアンジェさんの風格たるや。

 二人とも薄っすら不敵な笑みを浮かべているのが、なんというか大物感溢れてるよね。

 

 まあ実際、香苗さんは言わずもがなS級だしアンジェさんもA級トップランカークラスと探査者のなかでも一人握りの上澄み達だし。

 歴戦の猛者でもあるわけだから、見ているだけで圧倒されるような凄みを醸しているのは当然のことなんだろうね。

 

「す、すごい威圧感……! あ、アンジェちゃん最近、時々ああいう圧力を出したり引っ込めたりす、するようになっててぇ……」

「圧力、ですか。それって殺気とか敵意とか、そういう?」

「うん……だけど、なんていうのかな。気迫に物理的な圧迫感まで伴ってるっていうか。た、たまに横並んでいても空気の重みが増すのを感じることがあるの」

「なるほど……おそらく魂が持つ力を引き出してるんですね」

 

 特にアンジェさんが放つ、すさまじい気迫。香苗さんさえ凌ぐほどの存在の大きさというか、空気の強さは遠巻きに見る俺達からしても分かるほどに強いものだ。

 ランレイさん曰く、ここ最近になって放たれるようになったらしいけれど……俺にはすぐにその力の正体が分かったよ。これは俺がたまにやってる、魂の力を引き出しての圧力だってね。

 

 もちろん、魂の規格が違いすぎるもんで強さ自体は俺や精霊知能達には遠く及ばない。そもそもアンジェさん自身、自覚してなさそうだから無意識に垂れ流している程度のものだろう。

 それでも、これは誰しもが持つ魂に宿る力の発露だ。超能力やスキルのようなスーパーパワーの源泉となる、リソースそのものを引き出しているんだ。

 

「マリーさんやサウダーデさんのような、武術系S級探査者の方もああした圧を放つことはあります。まあこれは実力の高さに依らず、引き出し方を理解していれば自在に使えるようになるものなんですけど……アンジェさんは無意識に把握したんですね。魂の力を」

「魂の、力」

「察するにウーロゴスに最後、放った竜断刀奥義が直接的な契機だったんでしょう。アレは明確に、魂の力を剣に込めての斬撃でしたからね。概念領域への理解をわずかにでも深めたことで、己が持つ魂への自覚をも見いだしたか……」

「っしゃあ! 行くわよ先手、《剣術》は竜断刀! ──スサノオッ!!」

 

 つぶやく俺を尻目に、颯爽と駆け出し技を放つアンジェさん。竜断刀スサノオ、無数の斬撃を放つ技だな。

 そこには先程まで引き出せていた魂の力は乗っていない。未だ自覚なく"その力"を引き出している証拠だ、本当に自覚していればすべての斬撃に圧力を込めようとしていたろうからね。

 

 ──ウーロゴスとの決戦時、アンジェさんは最後の一撃をもって祖母マリーさんと同じ偉業を成した。概念存在への特効を持つ斬撃を、現世存在たるヒトの身で成し遂げたのだ。

 それは魂の力に由来するスーパーパワー、すなわち超能力への第一歩だ。自覚なくとも肌感覚で理解し引き出す、それができたことで徐々に覚醒を始めているんだ。

 

 元来、この世界の人にはそうした進化のルートが正規のものとして用意されていた。進化進歩発展を遂げるにつれて自ずと魂の力に触れ、理解し、把握し自覚してそれに目覚めていくルート。

 その果てに概念存在への特効技術である超能力を獲得し、巣立ちのためのスタートラインに立つ筋書きになっていたのである。

 

 

 まあ、ステータスの存在がぜんぶそのへんのバランスも進行度も何もかもぶっ壊したんですけどね!

 

 

 だって仕方ないじゃーん! スキルシステムは便利すぎだしレベルシステムも強力すぎなんだしー!

 長い目で見るといずれ超能力はステータスをも凌駕していけるだけの可能性を秘めているんだけど、やっぱり邪悪なる思念に対抗するために今すぐ手を出せて便利でお強いステータスシステムに頼らざるを得なかったのが現実なんだもの。

 

 そして結果としてそれが正解だったんだから、こればっかりは否定しがたい事実なんだよね。

 まあ巣立ちに向けての武器が増えたってことで、世界的には万歳ってことで一つお願いしたいところだよ。

 

 ──と、ステータスが更新された。称号、ワールドプロセッサからの久々のメッセージだな。

 どれどれ?

 

 

 名前 山形公平 レベル1383

 称号 奇跡を起こすは心の力。巣立ちを賄うは魂の力

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 名称 ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で

 名称 よみがえる風と大地の上で

 名称 目に見えずとも、たしかにそこにあるもの

 名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師

 名称 あまねく命の明日のために

 名称 風よ、遥かなる大地に吼えよ/PROTO CALLING

 名称 神魔終焉結界─天地開闢ノ陣─

 

 称号 奇跡を起こすは心の力。巣立ちを賄うは魂の力

 解説 いずれも正しき人の力。今やこの世に在るべきカタチ

 効果 なし

 

 《称号『奇跡を起こすは心の力。巣立ちを賄うは魂の力』の世界初獲得を確認しました》 

 《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》

 《……たとえ元来あるべきものでなかったとしても。それさえ受け入れ進むべきが今あるこの世界ならば。我々はそれを、歓びとともに迎え入れるべきなのでしょうね》

 

 

 話の流れから分かるとおり、やはりステータスの是非について一家言引き出してきたか。ワールドプロセッサからしてもいろいろ葛藤のあった部分だろうけど、今や割り切っているみたいだな。 

 そうだ。それがどんな成り行きであれ意義と価値のある力であるならば、それさえ受け入れて未来へ進むべきこそがこの世界の在りようなのだ。

 

 ワールドプロセッサもコマンドプロンプトもそこは見解が一致しているのはありがたい話だ……変なリセット話が出てくることは、これでひとまず避けられるだろうからさ。




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