攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ちょっと表沙汰にはできないステータス

 そんなこんなで帰ってきました我が家。いつもながら家族に迎えてもらって一段落つける。

 まず自室に荷物を置きに行ってー、お風呂入ってー、アイとぬくぬくお風呂でキャイキャイ遊んでー、風呂上がりに夕涼みがてら自室でパソコンを見ているのが今だ。

 

「さーてさて、ちょっとばかり気になるいろいろ調べましょうかねーっと」

「きゅうきゅう、きゅうー」

 

 相変わらずアイが俺の胸元にしがみついて頬擦りしたり、翼と尻尾を揺らしていたりするのが愛らしい。この子もすっかり山形家の一員としてみんなに懐いているものの、一番のお気に入りプレイスはどうも俺ちゃんの胸元か頭の上らしい。

 これについてアイ溺愛コンビの母ちゃんと妹ちゃんからはそこはかとなく嫉妬の目をじっとり送られていたりもするね。怖ぁ……仕方ないじゃんこればっかりは。

 

 さておき、部屋にはリーベとシャーリヒッタもいて俺のベッドに座って何やらスマホで遊びつつ寛いでいる。

 この子達も日中、探査活動に精を出していたようだね。今日のアレコレを俺に語りながらも、楽しそうに過ごしているよ。

 

「いやー、まさかコンビニ周辺の地形情報をコピーしたダンジョンがあるなんて思ってもいませんでしたー。部屋がコンビニみたくなってる光景、なかなか楽しかったですねー」

「マジかよ行ってみてえなソレ! オレは相変わらず無味乾燥っつーか、放っといたら勝手にモンスターがやられていく仕様だもんでそんなに大したこともなかったぜェ」

「シャーリヒッタの場合、《処刑人》の称号の効果でどうしてもそうなるよなあ」

「便利なのは間違いないんですけど、身体を動かす機会には恵まれないのが難点っすね父様。まあ、贅沢なのは分かってるんでアレなんですけど」

 

 リーベのほうは相変わらず、新人さん仲間とともに楽しくダンジョン探査をしているようだ。

 コンビニの情報を読み取ったダンジョンとかかなりカオスで楽しそうだね、商品とかもまんまコピーしてるんだろうなあ。

 

 一方でシャーリヒッタのほうは、こちらは基本ソロでの探査となっている。というかそうせざるを得ないし、そうしたほうが平和なのだ、いろんな意味で。

 というのもこの子が持つ称号、《処刑人》。これの効果が強すぎるというか、対モンスター用チート兵器すぎてね。探査もへったくれもない状態にならざるを得ないのだ。

 

 

 称号 処刑人

 効果 半径50m以内のモンスターに60秒ごとに確率で即死を付与

 

 

 こんな感じで、要はシャーリヒッタが部屋に近づこうと通路を歩いているだけでも下手したら、向かう先にいるモンスターが60秒おきのタイミングで光の粒子に変わっていっているのかもしれないのだ。それなりの確率で。

 うーむ、なんたるチート。事実上この子は対モンスターという点において、俺をも凌ぐ全自動殲滅装置なんだよね。

 

 この称号についてもそうだし、彼女だけが持つスキル《異分子処断権限》についても当然ながら表沙汰になるのはあまりよろしくない効果内容になっている。

 そもそもの役割がモンスター相手じゃなく、システムを冒した存在に対しての粛清を担っているわけなので仕方ないところなんだよね……なので受肉した精霊知能達の戸籍から探査者証明書の登録、発行までを都合してくれたヴァールも、シャーリヒッタについてのみ、殊更厳重な措置を施してくれたのだ。

 

 

 名前 シャーリヒッタ レベル913

 称号 非記載申請認可済

 スキル

 名称 気配感知

 名称 空間転移

 名称 超再生

 名称 鎌術

 

 

 上記が今現在におけるシャーリヒッタの探査者証明書だ。ご覧の通り彼女の肝心要の称号、《処刑人》が非記載となりスキル《異分子処断権限》についても記載無しにされているね。

 特に《異分子処断権限》についてはWSOの非公開データベースにすら登録されていない、正真正銘の秘匿扱いになっている。

 

 普通、世間的に公開していない情報であってもWSOのデータベースには登録してあり、統括理事や特別理事などの一部内部権限者に限っては確認することができるそうなんだけど……件のスキルについてはそれすら不可能、そもそも存在しないスキル扱いだ。

 俺の意味不明なポエミースキルとはいろいろ、桁が違うからね。《異分子処断権限》の効果文からでも、下手するといろいろ勘付きそうな人もいるかもってんでこういう扱いにしてくれたらしい。

 

 ちなみにこの扱いはミュトスの《イミタティオ・トリニタス・コスモス》および《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》にも適用されているそうで、データベース上での彼女のスキルは汎用的なものがいくつかくらいのものになっている。

 あっちもあっちでヤバいからね、三界機構の力を借りるわけだし。そのあたりの扱いをきっちりしてくれるヴァールはさすがだよ、感謝しきりだ俺としても。

 

「そう言えばミュトスのステータスってか、探査者証明書もそのうち見せてもらおうかな。対外的な戦闘スタイルとか、そのへん把握しとかないと変なボロを出すのも嫌だし」

「あ、じゃあ今度一緒に探査しましょうよ父様! オレぁ今のところソロなんすけど、インターフェイサーの活動も兼ねて神奈川やミュトスとも組む話になってるんです!」

「あ、そうなの? じゃあお言葉に甘えようかな」

 

 意外……でもないか。新人探査者としてでなくインターフェイサーとしてのパーティを組むつもりらしいシャーリヒッタの言葉に甘える。今度の探査は神奈川さんやミュトスとご一緒かな、これは。

 まあさっきも述べたとおり、シャーリヒッタはそもそもモンスターと交戦することすらない唯一無二の探査者だからね。組む人の経験とか実力向上を考えるとソロにならざるを得ないところがあるわけで。

 

 そうなるとインターフェイサーとしての仲間内で、コミュニケーションを図る遠足みたいなものとして探査活動を行うってのも一つの道なんだろう。

 やり方はいろいろあるんだし、シャーリヒッタが納得いく形でやっていってもらえたら良いかな、そこは。




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