攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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御堂→愛知→シャイニングという世代の流れ

 これまでぜんぜん気づいてなかったけれど、どうやら今って割とクランブームが到来している時期らしい。

 というのは昨今の流れとして、新人や若手のなかからこれまでにないほど有望で期待できる探査者が次々に現れてきていて……そんな超新星達を取り込みたいクラン側も呼応して、様々な新しい動きを見せているそうなのだ。

 

「若手専用のクランだったり、老舗や大御所クランの傘下に新たな団体を作ったり。ここ数年の新人を巡る各所の動きはさながらゴールドラッシュのように上の世代からは捉えられていて、それゆえ必死になってスカウトをしているのが現状です」

「そ、そうなんですか……知らなかった、そんなの」

「公平くんの場合、デビューからまだ半年な上に事情と立場があまりにも特殊ですから。はっきり言ってあなただけはどう扱うべきか、各クラン運営側も考えあぐねているのだと思いますよ」

「考えあぐねないでぇ……」

 

 なんたること、これじゃ山形くんまるで異物じゃん。いや異物だわはっきり言って、自分でも自覚あるくらいには異物だわこれ。

 そもそも厳密には探査者、というか能力者の枠組みにすらいないしね。彼らはオペレータ、俺はアドミニストレータ。その時点で区分的にはまるで別物というか、なんというか。

 

 そんな俺ちゃんのここまでの半年の動きが、あまりに異常だってのも正味わかるよ。意味不明だもんな。どんな流れでたった半年でこんなことになってるんだか、理解できる人がいたらその人はシステム側だ。

 ガムちゃんもニヤニヤ笑いながらこっちをいたずらっぽく見ているし。でも異質さで言えば今のおかし三人娘も割とそうだよ、主に始原概念との繋がり的に言えば。

 

「こうした流れは手前味噌な話ながら、私の世代がデビューしたあたりから世界規模で見られているものではあります。決してそれ以前の世代の探査者を低く見積もる気はありませんが、いわゆる"御堂世代"以降が際立って華やかだというのが世間的な認識ですからね」

「ああ、まあ……いろいろ目立つ方多いですもんね、香苗さんの世代だけでも。筆頭はやっぱりあなたやアンジェさん、ランレイさんって感じですけど」

「あとはリアリスティー・トップスピードさんとかも御堂さんの同期のなかでは際立ってますよね。まあ、あちらはネタも多分に含まれてますけど。ダンジョンRTAとかよくやりますよね、あんなこと」

「ネタて」

 

 御堂世代の華やかさというかド派手さは、割と知り合いの方も多い俺としてはなんとなし分かる話だ。

 アンジェさんやランレイさんでなくとも香苗さんのパーティメンバーの横山さんとか御陵さん、鈴木さんとか、そうでなくとも鈴山さんとか粒揃いだしな。

 

 他にもガムちゃんが挙げたリアリスティー・トップスピード──こと、リスティ・セーデルグレンさんとかもいるね。

 ネタ扱いなのはなんというか、本人に対して失礼だとは思うけれどそこも加味してRTAやってる節もあったりするんだろうか? そのへんはよく分からないや。

 

 ともかくそんな香苗さんの世代を皮切りに、今に至るまでそれまでとは段違いに成長速度と幅の大きな新人さんが続々と増えていったと言う。

 そのなかでも特に際立っているのが、御堂世代の次の世代。俺から見ると一つ前の世代だね。

 代表者の名をつけられたその世代の顔もまた、何の因果か俺の知り合いさんだった。

 

「それ以後の世代も、それまでの常識を打ち破るかのようにすさまじい速度で成長を遂げるニュービー達が続きました。取り分けやはり彼女でしょう……愛知九葉。御堂世代と呼ばれた次の世代が愛知世代と呼ばれるように、彼女は数年前の大ダンジョン時代において不世出の天才として扱われました」

「まあ、史上最年少S級ですしね。私も愛知九葉って探査者が何やらすごいってのは、探査者になる前から知ってましたし」

「し、知らなかったなあ。ていうかそもそも探査者自体にそんな興味なかったし……」

「そういう人ももちろんいますね。公平くんが探査者界隈に対して、こう言うのはなんですがアンテナが低いのはそうした事情からのものもあるでしょう。そしてそれは別に、悪いことでもありません」

 

 ここまで話を聞いていて、改めて探査者になる前もなった後もあまりにアンテナが低い俺自身に呆れる。ステータスに覚醒する前のガムちゃんさえ普通に知ってた愛知さんを、どうして俺が知らなかったのか。

 答えは単純、興味もなければ関心もなかったから。まさか自分がステータスを得ることになるとか思いもしてなかったし、そうなると関わることもない界隈だったしね。

 

 大体、アニメとゲームとネットと漫画に情熱を傾けている陰キャに華やかなスーパーマン達の世界について知れというほうが残酷なんだと理解していただきたい。

 そのへんは特に譲る気もないけど、今となってはもうちょい勉強しとくべきだったのかな? とちょっぴり思う俺に、香苗さんはしかし優しく微笑み言ってくれた。

 探査者について知識がないことは、特に悪いことではない、と。

 

「興味関心は人それぞれ、まして自身の生活にさほど関与しない以上は知ること自体が趣味の領域です。趣味でないことに精通していなければいけない道理もありませんよ。現に非能力者の方々の大多数は、探査者界隈について目立つ部分だけ知っている程度で、ディープなところまでは相当のマニア以外は知りません」

「そ、そんなもんですかね……そう言ってもらえると、かつての俺は助かりますけども」

「そんなものです。探査者も言ってしまえば一つの職業、少し特殊なだけですからね。知っていると話の種になるくらいのものでしかないですし、そうでなくてはならないとも私は思いますよ」

 

 社会において、普段意識していないだけで俺達の生活には無数の職業の人達が日々関係している。探査者もその一つだ。

 だから特別視されるようなものでなければ、必ずしも精通していなければならないようなものでもない。そう語る香苗さんの姿は、ただの仕事の一つだと仰るからこそのプロ意識を感じさせるものだ。

 

 こういうところ、さすがS級だよなあ……

 伝道師としてでない探査者としての香苗さんが、いかにプロフェッショナルなのかを改めて知ったよ。




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