攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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体育会系だぞ、日ノ本ダンジョン探査団

 一般的な探査者のピークとされる年代と、それに対するシステム側からの回答。

 ステータス由来のピークではなくあくまで加齢による身体的、精神的なものですよという俺からの言葉に、香苗さんは目をキュピーンキュピーンと光らせつつメモを取っている。怖ぁ……

 

 同じく聞いていたガムちゃんもなるほどと唸り、そして周囲で話を聞いていた探査者の人達もそれぞれ、思うところを仲間内で話し合ったりしているね。

 やはり他ならぬ自分達の、未来にも関わっている話だからか興味は尽きないみたいだ。

 

「ステータスそのものに限界はない、あるのは人間のほうの限界だけだ……ってことなのか? たしかに、マリアベール・フランソワやマグヌス・ディエルホルン、サウダーデ・風間やアラン・エルミードを見れば腑に落ちなくもないが」

「言っちゃうとS級って一般的なピーク年齢越えてる人多いもんね。それだけピークとか関係ないスキルを備えたり、修行しまくってたりするんだろうけど」

「あるいはもしかしたら、それが一般探査者とそれ以上を狙える探査者の違いなのかもなあ……絶頂期を越えて衰えていく身体や心を、それでも探査への情熱に注ぎ込めるかどうか。逆に言えば山形が言ってる40手前のおっさんルーキーなんてのは、非能力者として脂が乗ってる時期にさらに伸びしろが加わったってことで、むしろ今後に期待ができる、のかもしれん」

「若い頃から探査者やってるとね、やっぱりレベルの向上による身体強化以上に経年での疲れや迷いが蓄積されていくもの……ね」

 

 特にやはり、年齢が絡む話だもんでちょうど30代から40代頃の探査者の方々があれやこれやと言っている。

 俺みたいな若造の言葉でも真正面から受け止めて考えてくださるのは、やはりS級の有名どころに一般的なピーク期などどこ吹く風な人達が多いからだろう。

 

 特にマリーさんなんて今年、83歳で引退するまで普通にS級上澄みだったからね。

 他にも60歳のサウダーデさんやエルミードさん、もう少し年齢は下がるけど50代のディエルホルンさんなどと、S級についてはかなりご高齢になってもなお、探査の第一線で活躍されている方が多い印象だ。

 

 あるいは年をとっても絶えることのない探査への情熱、それこそが探査者の才能と言えるのかもしれない……なんてことさえ言い出すおじさんを横目にしていると、香苗さんが一つ咳払いをした。

 話題が少しズレているということで、話を元の若手クランへと戻したのだ。

 

「さて話を戻しますが、シーマキャラバンについてはそんな感じです……謎が多く、S級を3人も囲う新進気鋭のクラン。対して他の二つ、関西若手探査者の集いと日ノ本ダンジョン探査団若手支部については、昨今のブームを受けてできたクランですね」

「御堂世代以降の、新人探査者達有能すぎブームですね」

「ええ。ただ、日ノ本若手支部についてはある意味老舗と言えます。親組織の日ノ本ダンジョン探査団ができたのは25年ほど前で、そのなかで最近の若手を取り込むべく傘下としてできたのが若手支部のようですから」

「あー……看板こそ古いけど中身は実質フレッシュさんと。そういうことですか」

 

 そういうことです、と香苗さんはうなずいた。周囲の探査者の人達もそのへんは知ってるのか、うんうんとうなずいている。

 俺も多少調べたけれど、関西若手探査者の集いについては新人探査者達が自ら立ち上げたクランらしい。なんか自分達世代がやたら盛り上がってるってんで、じゃあクランでも作るかって感じで作ったんだとか。すごいねバイタリティ。

 

 反面、日ノ本ダンジョン探査団若手支部は元々のクラン・日ノ本ダンジョン探査団ありきの傘下クランだ。

 日本最大クランのお膝元で新人さん達が主体として組んでいるそうだから、関西若手探査者の集いほどの自由さはないものの、先輩探査者達との人脈などで非常に厚遇を受けられるとかなんとかって話らしい。

 なんかこう、アレだね、普通に派閥めいてるね。怖ぁ……

 

「日ノ本ダンジョン探査団のほうは創設者でもある団長が、国内S級の一人である日比野武重さんであることからも人気ですね。若手支部に数年在籍した探査者は希望すれば探査団入りできる制度もあるため、それを狙って加入する若手パーティもいるとか」

「へえ……先輩探査者達とのつながりとか指導とかいただけるのを考えると、かなりいい感じの組織図なんですね」

「とはいえ、漏れ聞くところでは内部は体育会系気味というかかなり体制的で、自由闊達とはなかなかいかない部分もあるようです。まあ探査者は基本自由人が多いため、少しくらいそのような枠組みにいるほうが良いタイプの者もいるにはいるでしょうが」

「あ、じゃあ私達そこは無理ですね。どう考えても三人とも、そんなガチガチのところでやっていけるタイプじゃないんで」

 

 日ノ本ダンジョン探査団の情報を聞いて、さっそくガムちゃんが候補を一つ消しちゃった。いや、俺も体育会系って時点でちょっと無理めかな? とは思ったものの判断が早いな。

 俺個人としても、仮にそこに入る? と聞かれたらちょっと遠慮しとくと思う。陰キャ的にそういうノリのところとは相性が悪そうだし、そもそも大変飛び出る杭になりそうだし。

 

 とはいえ香苗さんが言うように、別に体制的なクランが悪いものってわけでは決してないのも分かる。探査者ってやっぱりフリーランスだから、やろうと思えばかなり自由奔放に動けてしまうため……ある程度の組織だったクランに収まるほうが居心地が良い人も当然いるだろうし。

 こればっかりは個々人の性質によるよねー。




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