攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1946 / 2048
シームレスに伝道の体勢に移行するんじゃない!

「関西若手探査者の集いの最大の特徴は、所属可能年数に限りがあることでしょう。デビューから探査者歴5年までの探査者のみが在籍することができるという、縛りを設けているクランです」

「へえ……でもクラン自体の発足がそもそも二年前なんですよね。5年目の人が加入して、翌年6年目を迎えたので脱退! みたいなこともあったんでしょうか」

「たしかあったと記憶しています。完全に若手だけで引き継ぎして運営していく、それが基本理念の団体とのことなので」

 

 説明してくれる香苗さんに、なるほどと返すガムちゃん。俺もそうだけどリスナーと化している周囲の探査者達もクランの詳しい部分までは知らなかったようで、あちこちで微かな感心の吐息が漏れ出てきている。

 完全にデビューから5年以内の若手だけで構成されたクランなら、それよりキャリアの長い探査者的には関わりが薄いもんで、内情を知る機会も少ないんだろうね。

 

 しかしなんというか、結構徹底して若手のみを集めているけど雰囲気は緩めなんだな。若手だけのクラン、関西若手探査者の集いかあ。

 正直ちょっぴり興味関心はある──加入したいとかではなく、組織構造とかに対しての好奇心だ──けども、そもそも香苗さんがやけに詳しいのがちょっと気になる。

 

 なのでそのへん聞いてみると、彼女の口からはちょっと意外な答えが返ってきた。

 香苗さん自身ではないものの、知り合いの後輩の方にチラホラと関西若手探査者の集いに参加していた人がいるというのだ。

 

「知り合いというか同期ですね。公平くんも御存知の横山や御陵さん、鈴木や鈴山達にとっても後輩である探査者達が何人か、例のクランに参加していますので。その関係でいくらか話を聞いたりしているのでそれゆえですね、多少詳しいのは」

「そうなんですか……ええと後輩というからには、愛知世代の方ですか?」

「ええ。曰く自分達の次の世代である、今年デビューの超新星こと"シャイニング世代"のルーキー達とどう接していくべきかとか話していましたね。なかなかに興味深い話でした」

「へー、それはまたなんともはや待って? シャイニング世代はおよしになって?」

「うわ出た! シャイニング世代……」

 

 めっちゃナチュラルにさらっと出てきたけどシャイニング世代。御堂愛知と来てなんで急に横文字なんだよ、せめて名字にしてくれと言わざるを得ないシャイニング世代じゃないか。

 ガムちゃんと顔を見合わせる。っていうかうわ出たってなんだよう、まるでお化けかホラーものの怪物みたいに言うじゃんかよう。

 気持ちは分かるけどちょっぴりしょんぼりしちゃうからやめてね?

 

 そう、去年までの愛知世代に代わって今年デビューの探査者達は、どうも巷ではまとめてシャイニング世代などと呼ばれているらしいのだ。

 これについては俺が自意識過剰なことを言っているわけでもなく、マジのガチで探査者機関誌とか雑誌とかネットでも使われちゃってるやつだ。由来はそれこそ自分で言うのもアレだけどアレだね、シャイニング山形のシャイニング。

 

 せめて山形にしてくれ! と前にも何度となくツッコんだもんだけど、すっかりシャイニング世代ってことで定着してしまっている。

 そんな最新の世代に関して、やはりと言うべきか香苗さんは喜色満面に力強くうなずいて説明を続けるのであった。

 

「そう! シャイニング世代……我らが光こと救世主山形公平様の代表的な二つ名からありがたくも拝借して名付けられたその世代は始まって一年足らずの間にも爆発的にその名を轟かせるほどに粒揃いなのです」

「は、はあ」

「言うまでもなく代表格たる偉大にして至高の救い主山形公平様を筆頭にして我ら救世の光のアイドルでもあるかわいいかわいいリーベちゃんにその家族のシャーリヒッタならびミュトスも規格外の新人として注目を浴びていますね加えておかし三人娘の徳島さん鹿児島さん新潟さんも超期待ルーキーとして名高いことは言うまでもありません他にも全国津々浦々にて今年デビューの探査者達が有能と言われ始めているとのことですね」

「怖ぁ……」

 

 いかん、伝道師の顔が出始めている……! 句読点さんが笑顔で手を振って旅立っていくのがたしかに見えた!

 相変わらず俺が絡むとこうなるもんで、予想できていたにしろ思わず顔が引きつるよ。ガムちゃんもあー、みたいな苦笑いでこっち見てくるし。いやどうしろと。

 

 なんなら周囲の探査者の方々も、様子が一変した香苗さんに対して何か察したようだった。

 結構な数が同じく顔を引きつらせ、そしてそれに近しい数が反対に顔を輝かせている。いや後者はおかしいだろ、まさか信者だとでも言うのかな?

 

「やべえ! なんか伝道が始まってるぞ逃げろ逃げろ」

「いやむしろここからが本番だろ救世主様バンザイ!!」

「!? し、信者がこんなとこにも」

「待ってました伝道師さん! 今日もありがたいお話を頼みます救世主様バンザイ!!」

「えぇ……? いやいやストップストップ! 今日はガムちゃん優先で頼みます伝道師の方、信者の方もー!」

 

 ホラーかな? それもゾンビとかパニック系じゃなくてサイコ系の。まさか隣人がすでに宗教色に染まってるとか思わんやん。

 ていうかやけに探査者達が食いついてくるなと思ったら半数が伝道待ちだったのかよ! ある意味需要があるようで良かったですねと言いたいけれど、ガムちゃんの相談を後回しにするようなのではさすがに良くない。

 

 というわけで今回ばかりは伝道ストップだ。それこそ光ることさえ辞さないよ。

 求める声に高揚したところに水を差すのは気が引けたけど、すかさず止めに入る俺ちゃんだった。




「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
連載中!よろしくお願いしますー

「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。