攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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責任を負い、責任を取るから責任者って言うんだね

 災海世界の混沌さについては、いろいろ深掘りするとご飯を食べづらくなりそうなので置いとくことにして。その後もいろいろ食べつつ俺は、優子ちゃんやアイも交えて雑談に興じていた。

 ちなみにリーベとシャーリヒッタは今日はミュトスの家に行ってるね。インターフェイサー創立に関して、あれやこれやと打ち合わせするみたいだよ。

 

「そのへんの絡みでまたそのうち、俺もミュトスの家に行くだろうなあ。一応責任者的な立場だし、完全丸投げもアレだし」

「ふーん……私もミュトスお姉ちゃんの家、行ってみたいんだけどなー。SNSでやり取りしてる感じ、お姉ちゃんはいつでもウェルカムって感じなんだけどリーベお姉ちゃんやシャーリヒッタお姉ちゃんからまだちょっとって言われてて」

「組織立ち上げに絡む話が多いからなあ。そこは悪いけどそっち優先で頼むよ。一人で行けるってんならミュトスにアポ取って行っても良いとは思うけど、さすがにそれもなあ」

「いや、一人はさすがに……あのへんの土地勘とかないし、迷子とか怖いし」

「きゅうきゅう」

 

 こないだまで短期間ながら、山形家に仮住まいしていたミュトスゆえに妹ちゃんもずいぶん懐いていたもんで、しきりに彼女の新居に行きたがっているのは前から何度か聞いている話だ。

 今も熱望している様子なんだけど、この子ミュトスの住まい周辺には土地勘ないからな。一人で行こうと思えば行けるだろうけど、やはり見知らぬ土地に中学生が一人でってなると怖いみたいだ。

 

 かと言ってリーベやシャーリヒッタに連れられるのも、時期的にあまり適してないようで本人達から断られている。

 インターフェイサーの打ち合わせが普通に忙しそうだしな。システム領域が初めて現世に打ち立てる拠点組織、ある種の大使館のようなものだし、制度や規則づくりにはWSO統括理事たるヴァールやソフィアさんや神奈川さん、ステラまで巻き込んで相当綿密に作ろうとしているらしいよ。

 

 まあ、ゆくゆくはシステム領域の精霊知能達も受肉して現世に来ることも増えることが予想されるしね。それを見越して今のうちに土台や基盤を構築しておくのは大変良いことだろう。

 そうした事情から、地味に最近では忙しいのが現世在住の精霊知能達というわけだった。さすがにそんな折に優子ちゃんを連れて行くのは難しいよねー。

 

 優子ちゃんも残念がりつつ、しかし理解は示してくれている。唇をとがらせつつもジュースを飲み、ポテチを頬張りザクザク言わせながらだけどうなずいているのだ。

 

「ま、しばらくは仕方ないよねえ……でもさ兄ちゃん。そんな大変なことをお姉ちゃん達やソフィアさん達がやってるのに、兄ちゃんは今日とかも行かなくて良いの? 責任者的な立ち位置なのに、完全に丸投げってわけじゃなくても放任主義的には見えるけど」

「んー? まあ、実際放任気味ではあるかな。俺としては別にガッツリ絡むでもいいんだけど、シャーリヒッタが俺の手を煩わせたくないって張り切ってるし。インターフェイサーの現場リーダーがあの子な以上、任せる側としてはだったら頼んまっせリーダーはん、ってな感じなわけで」

「あー、なんか今日もハッスルして家を出てたね。オレはやるぜオレはやるぜ父様に恥じないようやるぜ! みたいなノリで。いまいちそのへんの立ち位置がわかんないけど、まあ本人達がノリノリなら良いのかなあ。兄ちゃんそのうち役立たず扱いで放り出されないか、妹心に心配だったけど」

「怖ぁ……いやまあ、あの子達がそれを望むならそれでも良いんだけどね? 俺は最終的な責任をすべて負う立ち位置ってだけだよ。現場のことはあの子達の自由意志に任せるさ」

 

 サンドイッチにかぶりつきながら答える。優子ちゃんの懸念もまあまあ分かる話で、みんな現地でせっせか打ち合わせ会議してんのに自室で優雅におやつ食ってる責任者とかいらなくない? というのも理解できる理屈ではあるからね。

 でもまあ、なんでもかんでもコマンドプロンプトが出張るようでも精霊知能達のためにはならないだろう。特に現世で受肉して生活する以上は。

 

 インターフェイサーはあの子達の意思と選択、決定によって運営され行動していくのがいい。そこで発生したいかなる事態、いかなる責任についても同時に背負うのが筋だけど、そこを最後に面倒見るのが俺の、私の今の立場だ。

 要はやらかした時に頭下げて、それからすべての尻拭いをするのが責任者の俺の役目ってわけね。ワールドプロセッサの名代、システム領域の現世における総責任者としての仕事はつまりそういうことだと俺は認識しているよ。

 

 そこはリーベ達も理解していて、だから張り切ってるところはあるんだろう。あの子達が思う存分やりたいことをやれる環境を整えられる一助になれるなら、それだけでも俺がいる意味もあるんじゃないかな。

 

「だから、まあ、俺もちょくちょく顔を出すけど基本はやってもらってみるさ。これも長い目で見ればきっと、良い方向に進むために必要なものだろうしな」

「そっか。じゃあ今日はのんびり過ごしなよ、兄ちゃん」

「きゅう! きゅうきゅう、きゅうー!」

「ははは、そうさせてもらうよ……アイもありがとな。ポテチおいしいか?」

「きゅっ!」

 

 ポテチをムシャムシャしながらかわいく鳴くアイに兄妹、癒される。

 今のところはこれで良いのさ、インターフェイサーは。なんでもかんでも俺が出張るようなことであってはいかず、だからこそ精霊知能達に任せ、彼女達もまた頑張ってくれているのだから。

 

 ワールドプロセッサもきっとそれを望んでいるだろう。

 なんやかや、あいつも精霊知能達の成長は望むところだろうからね。




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