攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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粛清執行役シャーリヒッタ、シンプルに強すぎます!!

 今日のダンジョンは湖岸沿いにあり、全探組施設からはそう離れていないところにできている。

 風光明媚な湖の広大な景色をバックに、人々がウォーキングだったり散歩だったりあるいはカヌーやらカヤックやらを体験したりするような場所に、ドドンと穴ぼこができているのは率直に迷惑の一言だろう。

 

 B級ダンジョン、26階層109部屋と事前調査にて予想されている、日潜りするにしてはまあまあ深めの規模だ。

 でもまあ俺達の場合は帰りが空間転移でほぼオミットだし、割と余裕をもったペースで踏破できるかなってくらいのものでしかないだろう。

 

 湖岸の朝、冬になりゆく陽射しが柔らかで、吹く風が涼しさを超えて寒くすらある。

 そんななかでも日々を営む風景に心和ませつつも、俺はダンジョンの穴を取り囲む面々のなか、シャーリヒッタへと声をかけた。

 

「さて……ダンジョンに入る前になんだけど、シャーリヒッタ」

「分かってますぜ公平サン! オレの称号《処刑人》はさすがに今回はオフにしとくぜ、《異分子処断権限》の正規効果の一つでできますからね、そのへんの切り替え」

「ああ、例のアレか。さすがにせっかく合同探査というのに、ただの地下道ピクニックと変わらなくなるからな、シャーリヒッタがいる限り」

「ていうか《異分子処断権限》、そんなとこまでカバーしてるんですねー」

 

 さっそくダンジョン行くべ! となる前に大切なことがある。シャーリヒッタの称号《処刑人》にまつわる対応だ。

 半径50m圏内のモンスターに、60秒ごとに確率で即死効果を付与する効果……はっきり言うけどこれがある限り、シャーリヒッタ一人で探査するのもシャーリヒッタ+同行者100人で探査するのもまったく大差なくなるのだ。

 ヴァールの言うように、ピクニックへと早変わりしちゃうんだね。

 

 もちろん、ダンジョン探査の目的や探査者の使命や安全面を考えればそれはまったく悪いことじゃない。なんなら探査者全員にこの称号を持たせたい程ですらあるよ、魂の規格的にシャーリヒッタ級の精霊知能じゃないと不可能だけども。

 ただ、せっかく人を集めてそれぞれ協力し合って探査しようぜ! ってなってる今回のような場合、さすがにちょっと一旦ストップしてほしいともなっちゃうわけだね。

 

 だもんで、称号効果を一時的にオフにしてもらう。シャーリヒッタが持つ、これまた彼女専用の粛清用スキル《異分子処断権限》の効果により、自身の称号機能を一時停止してもらうのだ。

 これってのは実のところ、《異分子処断権限》が持つ最低限度の効果の一つだったりするね。

 

 

 スキル

 名称 異分子処断権限

 効果 解放段階によって追加権限を付与。現在第一種解放中

    第三種……オペレータへの絶対権限および戦闘能力10倍

    第二種……現世存在への絶対権限および戦闘能力50倍

    第一種……概念存在への絶対権限および戦闘能力100倍

    全段解放……あらゆる魂への絶対権限および戦闘能力1000倍

 

 

 とまあ、上記がその効果解説文なわけだけど。記載通り現状のシャーリヒッタは、デフォルトで第三種制限たるオペレータへの絶対権限および戦闘能力10倍機能が解放されているわけ。

 この効果をもって、彼女は自身を封印するわけだね。精霊知能とてステータスを持てばオペレータだ、絶対権限の対象にはなる。

 

「ちなみにプレーローマ・アンドヴァリとの決戦の際には第一種制限まで解放されてて、それは今でも続いてるぜ!」

「つまり今のシャーリヒッタはオペレータ、現世存在、概念存在に対する一方的な絶対権限を持つと同時に、その戦闘能力を100倍まで引き上げることができるわけですね」

「む、無茶苦茶ですね……さすが粛清役というべきでしょうか、逆に言えばそこまでしないとその役割はこなせない、ということでもあるんでしょう?」

「それはもちろん。シャーリヒッタの出番は基本、この子でなければ対応できないほどのナニカを引き起こした輩やトラブルに対してのシューティングですから」

 

 俺の説明に息を呑む神奈川さん。今の彼はステラと一体化した精霊知能なだけあって、システム領域にまつわる知識や情報をも彼女と共有している。

 そんな彼の質問にうなずくとおり、シャーリヒッタの力はたしかにぶっ飛んでるけど──翻ってはこの子の本来の役割たるトラブルシューティングという面においては、このくらいの権能は当然持たせなければいけないのが実情だ。

 

 こないだの一件なんてのが分かりやすいかな。バグモンスターやらウーロゴスやら、あるいはプレーローマ・アンドヴァリやら。

 アレらは俺はじめ心強い仲間がたくさんいたからどうにかできたものの、シャーリヒッタの出動が認められた程度には世界的にも危険な案件だったのはある。

 

 放置していたら確実にシステム領域に深刻なエラーを引き起こす事態になる。そう判断されるような代物だったんだね。

 ゆえにこの子は派遣された。そして仮に単独であっても対処しきれるよう、ここまで強烈な権能を持たされているのだ。

 

 シャーリヒッタ。その役割はすなわち世界に仇なす者を討つ処刑執行人、あるいは粛清担当者。

 全段解放ともなれば俺に近しい次元にまで到達するその実力に、ふさわしいだけのことはある重大な役目を担う精霊知能こそが彼女なわけだね。




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