攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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よかった、毎分おきに命の危険に晒されてるアイはいなかったんだね……

「ぃよっしゃあー! 神奈川にも見事に頑張ってもらったからよ、次のモンスターはこのシャーリヒッタ様が仕留めるぜー!」

 

 ファミリースライムを相手に見事、魂の力を引き出しての戦いをクリアしてみせた神奈川さん。

 その素晴らしい戦いぶりに触発されたのか、次の部屋がそろそろ見えてきた頃合いでシャーリヒッタが騒ぎ始めた。どうやらお次はこの子が力試しをしたいらしい。

 

 まあこの子、モンスター相手だとろくに戦う機会もないだろうからね。こうした機会は逆に張り切るものだろう。

 称号である《処刑人》の効果──半径50m以内のモンスター相手に60秒ごとに即死判定を付与する効果があるため、彼女に関しては普段のダンジョン探査であっても戦闘する機会が極端に少ないのだ。

 

 ちなみにこの効果、地味に敵味方判定を区別する仕様なためシャーリヒッタが味方側だと判断したら即死判定が行われないという、隠しめいた機能もある。

 というかそれがなかったらアイが毎分、命の危機だからね。普通に考えてモンスターを味方扱いするパターンなんてまずないんだけど、特定の状況下では倒す順番に優先度をつけたいモンスター群なんかもいるかもって想定で付けられたものみたいだ。

 

 これがあるからシャーリヒッタとアイは特にお互い、問題なく傍で暮らせているんだね。

 一応アイもアイで即死判定に対する耐性、レジスト特性はあるけど……シャーリヒッタ側の判断でもアイについては無害な効果なわけだった。

 

「わざわざ自分から戦いに行くほどのモンじゃねェし、称号効果自体は便利だからまァこれはこれで良いかと思ってるけどよ。せっかくのこういう機会なんだからオレのパワーをみんなにも見てもらいたいんだぜ!」

「こないだの戦いのなかでもちょくちょく戦ってましたけど、モンスター相手はあんまりなかったですもんねー」

「というか改めて、ダンジョンを散歩しているだけで勝手にモンスターが倒れていくというのはすさまじいな。さすがは世界唯一無二の異分子処断権限保持者と言うべきか。その力を振るうのはやはり、モンスターではなく理を乱すモノに限ると」

「まァな! つってもたまにゃ良いだろ、モンスター相手ってのもよう。ねっ、父様!」

「まあ、無理しない範囲でね」

 

 ウキウキワクワクした様子で俺に確認してくるのを、微笑ましい気持ちでうなずく。

 言動に違わず基本的な気質がアグレッシブなシャーリヒッタだ、いくら自身の役割からして軽々に実力行使すべきでない立場だとはいえ、時折運動がてら戦ってみたくもなるんだろう。

 

 まあ、そこを考えるとたまには俺や他の精霊知能を交えた戦闘訓練とかで、身体を動かすくらいはしてみても良いかもしれないな。

 実際の話、そんな感じで近く集まる予定だし。この際なのでシャーリヒッタに改めて確認する。

 

「ところで今度、インターフェイサーのみんなでどこか別次元領域で戦闘訓練というか軽いトレーニングするんだろう? 具体的にはいつ、どのあたりでやるんだ。まさか現世じゃないだろうし」

「12月上旬あたりに行うつもりで、それに合わせてデータ領域に専用空間を拵えました! ダンジョンによく似た、でも概念存在でも入り込めるようにしてある場所なんでレギンレイヴも来れますよ父様!」

「レギンレイヴさんですかあ。あの方も何度か私の家に来てくれてますねえ……山形様は彼女の修行、オーディン神から頼まれているんですよねたしか、師弟関係的な感じで」

「あー、うん。師弟関係ってのはちょっと気が引けるんだけど、一応そういう約束はしてるよね。だから渡りに船ではあるよ、うん」

 

 ミュトスの質問に苦笑いしつつも答える。そう、俺なりシャーリヒッタなりの都合もあって、いよいよインターフェイサーとしての訓練的なことをボチボチしましょうかって感じになっているのだ。

 実力向上のため、あるいは連携や事件捜査における動き方のレクチャーとか、インターフェイサーそのものの土台構築についてはシャーリヒッタがメインで行う。

 

 その傍らで俺は、なんの因果か修行することになった織田さんのところのメイド戦乙女、レギンレイヴことイヴさんのお相手をする予定だ。

 いやー、これってのも当のイヴさんとあと織田からそろそろやらない? とせっつかれまして。騒動も一段落ついたしやりますかーってことにしたのだ。

 

「素晴らしい催しですね我らが救世主山形公平様がその総責任者として辣腕を振るわれるシステム領域による現世介入組織インターフェイサーのイベントだなんてしかも救世主様の弟子となった戦乙女レギンレイヴさんの初修行も兼ねて行うとはこれはまさしく救世の光にとっては新たな神話伝説の1ページを担うこと間違いないでしょう使徒シャーリヒッタ使徒かわいいかわいいリーベちゃん使徒ヴァール使徒ミュトスそして使徒候補神奈川さんに使徒ステラぜひともこの伝道師御堂香苗も取材のため同行させていただきたいのですがよろしいでしょうかああいえ邪魔をする気はないのですこれはあくまで神話研究のためなのですなにとぞよろしくお願いいたします!!」

「えぇ……? ど、どうするんだシャーリヒッタ、みんな。というか勝手に使徒だ候補だにしちゃってすみません神奈川さんにステラ……」

「あ、いえ。精霊知能として当然の立ち位置かと」

『というか相変わらずすさまじい勢いですね、この方』

 

 怖ぁ……案の定聞きつけた伝道師さんがハッスルし始めた。句読点さん達がグレートバリアリーフとか見に行っちゃったよ。

 まあ、ミュトスのお世話を普段からしてもらってるところもあるので俺としては来たいなら来てもらっても良いかなーくらいではあるんだけども。そのへんの判断はリーダーのシャーリヒッタやメンバーの精霊知能達がするべきだろう、俺は最後に責任を受け持つだけの立場だし。

 

 それよか今、ものすごい勢いのなかでしれっと使徒候補された神奈川さんステラさんご夫妻への居た堪れなさがすごいよ。

 別に精霊知能なら必ず使徒とやらにならなくても良いからね、御両人!




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