攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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力のシャーリヒッタ、技のヴァール、そしてかわいいかわいいリーベちゃん!

 鎌の一振りにて断ち切られるサソリの尾。B級モンスターとしてそれ相応に耐久力もあるだろうシンセシスインセクターの身体を、空気を裂くくらいの簡単さで引き裂いてみせたシャーリヒッタ。

 シンプルに速く、軽やかでそして強い。武術的な技術や合理的な動きなどを意図して取り入れている節もなく、ただシンプルに飛び込んで鎌を振るって刈り取っただけ。

 しかしてそれが極端なまでに強いという、ある種の理不尽さがそこにはあった。

 

「パワーとスピードがあまりに桁違いだな……《異分子処断権限》の第三種がデフォルトで解放されていることで、たしか10倍か? 戦闘力にバフがかかっているのだったか」

「ただでさえ性能の高い精霊知能の受肉体に、レベルの恩恵もそれなりにあるなかでそれらをまとめてドーン! と10倍。そりゃシンプルに強いに決まってますねー、テクニックとか技法技術やらすっ飛ばして、ストレートに強いんですねー」

「小細工抜きに真っ向勝負、というのは同じタイプのスキルを持つヴァールとまるで同様の戦法ですね。とはいえ、そうしたやり方は概して搦手に弱いのがセオリーですが……」

「多少の小手先なんて踏み倒して行くだけの勢いがありますね、アレは。突き抜けるとこまで突き抜けるとああなる、良い見本ですよ」

 

 精霊知能としてヴァールやリーベが、探査者として香苗さんや俺がシャーリヒッタの一連の動きを語る。

 と言って、異口同音に想いは一つだ──圧倒的パワーとスピード。小細工無しのストレートでシンプルに最強だ、と。

 

 戦闘におけるある種の解答ですらあるだろう。アレコレ考え積み重ねた技術もまた強いが、時に単純暴力はそれらを理不尽なまでに踏み潰し凌駕していく。

 シャーリヒッタの戦闘スタイルはまさしくソレだった。理不尽なまでの基礎性能でまっすぐいってまっすぐ叩きのめす。相手の動きや出方など多種多様だが、それらを一顧だにせず踏み潰していく超攻撃的戦法。

 

 今しがたのエクスターミネートなる斬撃も、技名こそあるけどやってることは鎌を振り下ろしただけだし。逆に言えばそれが技扱いできるくらい、必殺の威力を秘めているんだね。

 多少なりともテクニックと言えるのは、同じく先程放った丸鋸型ビーム、デストロイパレード・エレメンタルスライサーだったかな。アレくらいだろう。

 まさに今、シャーリヒッタが飛び退いた矢先にシンセシスインセクターへと襲いかかっている20近い光輪だ。

 

「──────!?」

「へっへっへェ! どうだいシャーリヒッタ様の《鎌術》のお味はよォ! ちなみに技なんざ今の二つとあとなんかその場のノリでしか考えてねーぜ! 近距離と遠距離が最低限賄えりゃあ、それでこと足りっかんなァ!!」

『近距離一撃必殺に遠距離飽和攻撃。そもそもなんでもない普通の攻撃がすでに必殺技級の威力なら、たしかに技なんてそうそう気にする必要はないですよね……』

「ヴァールさんの《鎖法》とはその点、対照的ですねえ。アッチはなんかこう、乱舞やら収束やらギルティチェインやらその派生やらでいろいろありますし」

 

 さっき放ったエクスターミネートとデストロイパレード・エレメンタルスライサー。その二つこそがシャーリヒッタが一応でも技扱いしているものだ。

 前にはなんか根刮ぎブラッティパレードとかって斬撃も披露してたけど、あれはその場のノリで考えた即興技みたいだ。

 

 ステラの言うように、シャーリヒッタの戦闘力がそもそも素の状態で極まっているので動きや技にバリエーションを持たせる必要がないんだね。

 極端な話、どうあれ一撃入れればそれがそのまま必殺になりかねないほどの威力なのだ。牽制などに用いる技さえあれば他は要らないと、シンプルになるのは当然だろう。

 

 そこを言えばミュトスも指摘したけどヴァールの《鎖法》なんかは対照的だ。あっちはとにかく技のバリエーションが豊富で、なんなら鉄鎖系統の技とギルティチェイン系統の技で分かれてたりもするからね。

 話を向けられたヴァールが、ふむとうなずき応えた。

 

「それが《鎖法》の利点だからな。自在に動く無数の鎖だ、活用するならば技にバリエーションを持たせる必要があった」

「正直趣味的な意味では羨ましいぜェ。なんかかっけーもんな、ヴァールが状況に合わせて鉄鎖だギルティだ言いまくるのはよう! 外連味だぜェ」

「こちらからも、シャーリヒッタのシンプルさはむしろワタシ好みなのだがな。ワタシはゴチャゴチャと考えて戦うよりはむしろ、力押しで済ませられるのならばそれに越したことはないと考える質なのでな」

 

 互いに互いを褒め合う、認め合うシャーリヒッタとヴァール。どちらも一点物スキルを駆使して戦うわけだけど、本人の気質とスキルの性能性質がアンマッチ気味なのはちょっとこう、巡り合わせの妙を感じるよ。

 

 シャーリヒッタは割と派手好きで、外連味を好む傾向にある。だからド派手に鎖をぶっ放せる《鎖法》やそこから編み出したヴァールの技の数々が羨ましいと。

 一方でヴァールもヴァールで、シンプルな力押しを好むきらいがあるため《鎌術》のシンプルさ、力強さのほうが性に合うと。そんな関係性なわけだね。

 

 まあとはいえ……シャーリヒッタは役割上、むしろメイン武器は《処刑人》と《異分子処断権限》で《鎌術》はサブ程度のものでしかないし。

 ヴァールのほうも大ダンジョン時代を牽引するという役目を帯びた以上、現世を運営するにあたりあらゆる状況に対応できる可能性を持った《鎖法》をメインスキルとして与えられたところがあるわけで。

 実際のところ、気質はともかく役割にはそれぞれ、適切なスキルを与えられたとは思うかなあ。

 

「お互いにお互いを羨むってのも、ある意味仲良しな感じですね。本当に姉妹って感じというか」

「おうよ神奈川! オレ達精霊知能はみんな兄弟姉妹だが、リーベとヴァールは特にオレにとっちゃ姉貴と妹なんだぜ!」

「百歩譲って姉妹なのは良いとしても、何度も言わせるなワタシが姉だ。断じて末っ子気質などではない!」

 

 神奈川さんがどこか感心してつぶやく。たしかに、なんやかや三姉妹は三姉妹なだけあって仲良しさんだよねー。

 シャーリヒッタも満面の笑みでニッコニコだ。でもヴァールだけはやはり末っ子扱いに異議を申し立てているけど、そこはもう毎度のことなのでスルーされ気味である。

 こういうところも末っ子っぽいんだよなあ、この子。




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