攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ふざけた名前のモンスターほど人類への貢献度が高い説

 神奈川さん、シャーリヒッタの活躍を立て続けに見た後、しばらくは俺や香苗さんはじめみんなでパーティ戦なんかも試してみたりした。

 ミュトスの戦いぶりも確認したかったのはあるんだけど、敵の数が多めの部屋が結構続いたからね。落ち着いて見学させてもらうにはちょっと適さないかなってことで、それなら連携の練習とかしてみようって話になったのだ。

 

 俺と香苗さんと神奈川さんとか。精霊知能三姉妹とか。俺とシャーリヒッタとミュトスとか。

 様々な組み合わせでそれぞれ、どう意識して動けば仲間と噛み合った動きができるかをいろいろ、試している最中なのだ。

 

 たちまち今で言うなら11階層46部屋目、無数に分裂するのが特徴のB級モンスター・スライムフエルヤーツを相手に精霊知能達が戦っていた。

 ……フエルヤーツて。これまでも度々ふざけたネーミングのモンスターはいたけどこれまた大概だよ。

 

「《破砕光粉》! ヴァール、よろしくですー!」

「任せろ後釜……! 《鎖法》、鉄鎖乱舞! シャーリヒッタ!!」

「おうよ! 《鎌術》、デストロイパレード・エレメンタルスライサー!! 一網打尽だぜー!!」

 

 リーベがモンスターにダメージを与えつつ、防御力を下げた状態でヴァールへと繋げる。即座に彼女が鎖を無数に放ってモンスターを串刺しにすれば、それだけで部屋を埋め尽くす勢いのスライム達がいくらか光の粒子になっていく。

 そこに、残った連中めがけてシャーリヒッタの丸鋸ビームの連発だ。猛回転するギザギザ状の円盤が、部屋中を走り回っては鎖に貫かれたスライムを襲う。

 

 まさしく一網打尽だろう、見事なトリプルコンビネーションだ。しかして辛うじてそれら攻撃を浴びる位置にいなかったことから生き延びている個体がおり、即座に増殖を始めている。キリないなこいつ!

 スライムフエルヤーツ、香苗さん曰く殺傷力は最低限しかないものの増殖力が爆発的であり、物理的衝撃をトリガーにして増えていくそれは魔導系か魔法系スキルで殲滅、あるいは範囲攻撃で今みたく一網打尽にするしかないのだという。

 

 ちなみにこいつのドロップする素材、スライムゼリー増えるくんだなんて名付けられてるゼリー状の物質なんだけども。

 これがある一定以上の衝撃をトリガーに爆発的に膨れ上がる性質を持つことから、高級車のエアバッグとかにも使われていたりするそうな。

 

 その手のクッショニングマテリアルの最高級は、エアリアルハイパークッションザムライが落とすエアリアルハイパークッションが有名なんだけれど……こちらの増えるくんもかなり高性能なことで名高いらしく、特に高値で取引されているのだとか。

 ふざけた名前のモンスターほど、人間社会に大きく寄与しているのなんなんだろうね。なんかそういう法則とかあるんだろうか、不思議である。

 

「チッ! しぶてェのがいやがる。だが後は任すぜ、ミュトス!」

「アイアイガッテンサー! 《イミタティオ・トリニタス・コスモス》! お力をここに、災海さーん!!」

 

 さておき、運が良いのか悪いのか生き延びたスライムフエルヤーツを相手に今度はミュトスが前に出た。即座に彼女専用スキル《イミタティオ・トリニタス・コスモス》を発動し、その身に宿すワールドプロセッサの力、その一欠片を起動させる。

 瞬間、彼女の胴体に纏われる白亜の鎧。三界機構は災海の力をこの世に顕現させたのだ。

 

 すさまじい威圧とエネルギーの波動。どうにか三連コンボをやり過ごせたとて、待っているのがこれではひとたまりもないだろうさ。

 ましてや今のミュトスはかつて、出会った頃に比べても明らかにパワーアップしているんだものな。胴体に鎧を纏った彼女が、高らかに名乗りをあげる。

 

「顕現!! ミュトス・災海! ──ウーロゴスを、私の権能をすべて取り戻した今、時間制限も回数制限もありゃーしません! ようやっとガス欠おこしちったヒーンとかって泣く必要もないなったでガンス、うおー!」

「ノリはともかく相変わらずのすさまじいスキルだな……! 三界機構の力を、一部だけでも借り受けているのだから当然だが。精霊知能の枠を超えているのは間違いない」

「シャーリヒッタの全段解放と同じくらいですもんねー、フルパワーだとー。まあ、そこまでやるとガス欠も相変わらず秒速ですけどー」

「下手に下剋上とかやろうとしても、ガス欠起こしたら即座に締められるぜェ」

「はわわわ何やら反逆した時のことを想定されちってる、ひぃん!」

 

 えぇ……? コントだか漫才だかみたいな軽妙なノリで、とてつもない力を放ちながらも愛嬌たっぷりなミュトス。リーベ達も何も本気で下剋上とか言ってないのは丸わかりなんだけど、こうもいい反応が返ってくるとつい弄りたくなっちゃうのかもしれない。

 それに実際、ウーロゴスをすべて取り込んだ今の彼女が本気を出せば下剋上に近いことはできかねないってのもあるからね。それを見越して、ワールドプロセッサもスキルの仕様から時間制限を設けてる節があるほどだもの。

 

 それほどまでに今、ミュトスという精霊知能の振るえる力は絶大なのだ。

 その三分の一を発現させた、ミュトス・災海の技が発動する。

 

「三界機構は災海の名の下に今、必殺を告げる────メサイア・ディスペンセーションッ!!」

 

 鎧の胸部分が展開し、莫大なエネルギーを収束させまっすぐに解き放つ。ベナウィさんの《極限極光魔法》すらゆうに凌ぐ超絶特大威力の熱光線!

 前方の部屋のみならず、その先の通路、あるいは次の部屋までぶち抜くような異常な火力が……モンスターなど跡形もなく吹き飛ばして、貫いていた。




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