攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
ウルティマ・ミュトス・マキシマム──三界機構の力を同時にすべて借り受けた、ミュトス・トリニティのフルパワーからの超必殺技。
もはやその威力はまともに食らえば、極限倍率の俺でさえいくらかでもダメージを負うかもしれないだろう。それほどの破壊が今、目の前で展開されていた。
「これで見るのは、二度目だけどよォ……!! アレだけは桁違いだぜ! 全段解放のこのシャーリヒッタ様にだってあそこまでのエネルギーを一気に放つなんてできないんだぜ!」
「後先も含めたすべてを込めた、究極的な絶対火力。ミュトス・トリニティとは事実上、あのウルティマ・ミュトス・マキシマムを放つためだけの形態とも言えるのだろう」
「それだけでもすさまじいですよー……そもそも実現し得ないカードですけど、あの一撃なら邪悪なる思念の本体にも、天地開闢結界を除けばそれなりのダメージを与えられたはずですー!」
精霊知能三姉妹達が、明らかにこの世の存在が放っていい威力でないエネルギーを放出したことに驚きを隠せず話している。
全段解放のシャーリヒッタ以上の瞬間的火力。その代わりに一発撃てばしばらく行動不能になる時点でミュトス・トリニティとは畢竟、今の最終奥義を放つその一点だけに集中した形態と言えるだろう。ヴァールの推測したそのコンセプトは、おそらく正しいものだ。
だからこそリーベの仮定にも俺は、内心でうなずいていた──あの一撃ならば邪悪なる思念本体に対しても、いくらかの痛打は与え得るだろう、と。もちろん天地開闢結界なんてふざけたチートはノーカウントした場合にね。
そもそもヤツを追い詰めた、俺の極限倍率の防御をも貫きかねないわけだからね。理屈の上でも通じないはずもないのだ。
そのへん、自分ではどう思うんだアルマさん?
『心底苛立たしいし忌々しいけど、そこは素直に認めてやるよ……僕の存在とあのツギハギ羽虫の存在は事実上二者択一だから、両立すること自体ないにしてもね。それに加えて一撃だけだろ、あんなもの。君も知ってのとおり僕には無限に近しいリソースがあったし、一撃だけなら痛くてもすぐに全快するけどね。まして天地開闢結界は絶対に突破できないしほーら僕の勝ちだ、ざまぁ見ろ!』
悔しさを隠せないながらも強気に、不敵にせせら笑う脳内のアルマ。これ以上ないくらい小物っぽい物言いだけど、これでこいつの言ってることも間違いないのが邪悪なる思念だったんだよなあ。
実際、本体としてのこいつには異世界を喰らい続けたことによるリソースがあったし、それをもって傷など瞬時に回復させる超再生機構も備わっていた。
いかにウルティマ・ミュトス・マキシマムが強烈でも、それがある限りは次の瞬間には完全再生しただろう。そしてその眼前にはすべてを使い果たして倒れ込むガス欠のミュトスがいるしかなかったんだろうさ。
天地開闢結界がある時点でそれ以前の話なんだけれど、なければなくてもダメだったくらい、こいつは滅茶苦茶インチキだったんだよ。
まあ、正味の話をするとアルマの言うように、邪悪なる思念本体がいる以上は精霊知能ミュトスの存在も確立し得ない──三界機構がヤツの手に堕ちている限り、精霊知能ミュトスの成立があり得ないからだ──ため、この仮定はしょせんお遊び程度のものでしかないんだけどね。
改めて俺達が置かれていた状況の拙さ、敵の絶望的な強さを思い知る気分だよ。よく勝てたしよく逆転できたね、本当。
「────たはー、つっかれたー! もう駄目もう無理精根尽き果てやんしたー! しばらく私は戦えましぇーん! あ、シェンさんのシェーンじゃないので悪しからず」
と、スキルを解除して戦闘態勢を解除したミュトスが、気づけば地面に大の字になって寝ている。すべてを使い果たして一時的に無力化し、身動きが取れなくなっているのだ。
そう、今しがたのミュトス・トリニティの何よりの弱点はこれだ。一発こっきりの超必殺を放てば最後、以後はしばらく何もできなくなってしまうんだね。
全員で彼女の下に近寄る。ウルティマ・ミュトス・マキシマムをモロに受けたゴールデンアーマーは当然ながらチリ一つ残さず消滅している。
あそこまでの圧倒的な火力、おそらくA級モンスターだろうが話に聞くS級モンスターだろうが同じく消し飛ばしてしまえるんだろうね。
それを考えると、ペナルティというか代償としてこのくらいのことになるのも無理からぬことと言えるだろうさ。
「ミュトス、お疲れ様! 見事だったけど大丈夫? まったく動けなかったりするか!?」
「お疲れ様ですコマンドプロンプト様ぁー。一応身を起こすくらいはできますし、ちょっとしたら歩くこともできますけど今はちょーっと無理茶漬けですね! やっぱり《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》は桁違いですよいろいろ」
「気休め程度ですけど一応回復はしておきますねー。えいっ《医療光粉》!」
「ありがとーごぜーやすリーベさん〜。あぁ〜癒されるぅ〜」
俺の確認に、腕をあげてフリフリ振りながら答えるミュトス。エネルギー切れで動けないながら、少し間を置けばすぐに移動できるくらいではあるようで何よりだよ。
一応リーベが、まあ多少の体力回復は見込めるかなってことで《医療光粉》を施す。
六枚の翼を生やした天使のような姿から放たれる光の鱗粉が、倒れ伏すミュトスを優しく包んでいた。
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