攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
ミュトスの、そして三界機構がそれぞれ持っている圧倒的な戦闘力を見せつけた一戦だった。
先の決戦におけるプレーローマ・アンドヴァリとの一戦でも当然分かりきっていたその実力だけど、モンスター相手に振るわれた場面を目の当たりにすると改めてその力がどれほど規格外なのかがよく分かるよ。
特に《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》の効果により顕現した究極フォーム──ミュトス・トリニティ。
あの姿はさしものヴァールや香苗さんの度肝さえ抜いたみたいだ。現行の大ダンジョン時代にあってもなお異常極まりないパワーだからね。
リーベの介抱もあって歩けるくらいには回復したミュトスの背姿を見て、後ろを歩く二人が話し合っていた。
「やはりお前の目からしても、ミュトスの実力は異端極まるものに映るか御堂香苗。三界機構の力を内包しているという特異すぎる精霊知能ゆえ、当然のことではあるのだが」
「そうですね、もちろん、これは決して悪い意味ではないですが。神奈川さん、そしてミュトスの力は探査者という枠組みからはだいぶ、外れているように思えますね……強い弱いの話でなく、力の質からして別物と言いますか」
「《星明かりの聖剣》にしろ《イミタティオ・トリニタス・コスモス》、《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》にしろ、その本質は元々この世界には存在し得ない力ですからねー」
『たしかに……災海世界の対概念存在用決戦兵器に、そもそも異世界三つのワールドプロセッサ。それらの力を一時的に引き出すバイパスとして、スキルを利用している形ですしね』
リーベ、ステラも加わっての談義。ミュトスのスキルはもちろんのこと、神奈川さんの《星明かりの聖剣》まで対象となっている。
これはやはり本質的にお二人のスキルがオペレータ用スキルともアドミニストレータ用スキルとも異なるものだからだろう。彼と彼女だけは明確に、この世界にない力をスキルによって扱っているオペレータなのだ。
前にも触れたが通常、スキルを発動する際に用いるリソースはそれぞれの持つ魂の力、その未使用部分だ。
本来で言うなら超能力などを発現する際に用いられる領域を、三界機構の世界におけるスーパーパワーの再現に割り当てたものがスキルやレベルなどのステータスになるわけだね。
つまり魂の力をスキルの形で発動、行使しているって仕組みなわけだ。
なんだけれども神奈川さんとミュトスの場合、その魂の力をもって発動するスキルの効果、引き出される事象そのものが魂由来のものではない。
何しろ異世界の聖剣と三界機構の力──どちらも外部からの外付けだからね。そういう意味でも件のスキル群は、ある意味他にはあり得ない唯一性を備えていると言えるだろう。
みんなのやり取りに俺と乗っかって、補足的に説明する。
「そして言い換えれば、喚び出している力が外部のものである以上、本来スキルに割かれる魂のリソースが通常よりも相当低くなっているとも言えます」
「……つまりその分、新スキルや超能力を獲得できるだけの容量があるということでしょうか?」
「そのとおり! ミュトスはそもそも概念存在だったため権能にそのリソースを使っていますが、神奈川さんは今後いろんな力を身につけられる可能性がありますね。新スキルを覚えるのもアリですし、さっき覚えた魂の力の引き出し方次第では超能力だって使っていけるかもですよ」
「俺に、そんな可能性が……!」
予想もしていなかった可能性を示唆されて、感動に打ち震えた様子の神奈川さん。
そう。この人だけは現状、世界の誰よりも無限の可能性を秘めていると言っても過言ではないのだ。スキルを覚えるも良し、なんとかして超能力を身につけてみるのも良しで、どんな方向にでも伸びていけるだけのリソースの大きさがある。
何しろ前提条件はミュトスとほぼ同じながら、彼女のほうはすでに生来の権能で魂のリソースを使っているんだけど……神奈川さんはそういうの特にないからね。
《星明かりの聖剣》がぶっちゃけ聖剣を喚び出すだけの効果だもんで、魂側で賄ってるリソースもとにかく低い。なのでまだまだ余裕のある容量を使って、様々な可能性を模索していけるのだ。
とはいえ言うは易し行うは難しの典型例で、スキルにしても超能力にしても、実際に身につけるなんてのは並大抵でない努力と修行が求められるだろう。
特に超能力の発現条件なんて、体系化された技法でもない限りは各人それぞれなりに己の魂の力を引き出し、それを加工して扱うやり方を見いだしていくしかない。
先ほどみたいな圧だの権能封印だのなんて、てんで初歩中の初歩に過ぎないんだもんなあ。
ここから先が長いんだよなあー……スキルと違ってそこが難しく、しかし極めようとするとどこまでも極められてしまう。それがスーパーパワーなのだ。
「どういうふうに己の戦闘力を整えていくのか、それを決めるのは神奈川さんご自身ですが……どうか覚えていてください。あなたは今、おそらくはこの世界で最もいろんな選択肢を持つ存在だということを。それを踏まえてよくよく考えてみてください。なーんて偉そうで恐縮なんですけどね」
「いえ……! 気が引き締まりましたし、恐縮なのは俺のほうです。ステラと融合したことの意味、聖剣を担ったことの価値を今、さらに強く認識しました。与えられた選択肢を、なるべくより良い方向に活かせるよう努めます!」
「まあ焦らずに。それこそ時間は無限に近いくらいあるんですから……ゆっくりとでも歩いていきましょう。みんなで少しずつ、助け合って支え合いながら」
力強くうなずく神奈川さん。この人マジで、ビジュアル系スーパーイケメンなんだけど中身は滅茶苦茶真摯で誠実な生真面目さんなんだよね。
ステラが惚れ込むだけのことはあるよ。こちらこそ、この人が聖剣を担ってくれたことに感謝したくなる心地だ。
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