攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
この間からおかし三人娘が、複数のクランから勧誘を受けているという話は聞いていた。ていうかガムちゃんから相談を受けていたからね。
たしか老舗ギルドの若手専用傘下、日ノ本ダンジョン探査団若手支部と……新鋭の若手ギルド、関西若手探査者の集いと。
それからS級探査者が複数人在籍しているという規格外のクラン、シーマキャラバンだったかな? こっちについては今回、スカウトさんはいないみたいだけども。
とにかく、おかし三人娘が引く手数多の超新星ルーキートリオだと認識されていることは友人として俺も鼻が高くはあるんだが。そのことで今、スカウト同士がブッキングしててんやわんやらしいんだからこの子達も大変だなーって思うよ。
「おかし三人娘にはこっちが先に目をつけているの! 新人だけの弱小新規クランは引っ込んでいてください、私達は日ノ本ダンジョン探査団ですよ!」
「その傘下クランでしかないだろ? よく言うよ新規なのはおたくらも一緒だろうに。そんなことより良いのかいあっち、シャイニング山形さんにまさかの御堂さん、果ては統括理事までいらっしゃるのにそんな語気を強めちゃって。御自慢の看板に傷がつくぜぇ?」
「む、ぅ……!?」
「かくいう僕らもあーあって感じだけど。こんな往来で睨み合ってるところ見られちゃ、アレコレ言われても仕方ないからね……参ったなあ、最近つくづくスマートじゃない」
睨み合う2つの集団、それぞれ5人ずつ左右に分かれて対立しているけど……片割れは見たことある人が矢面に立ってるね。
たしか姫城さんだったかな? 関西若手探査者の集いのなんたらセクションリーダーだかスカウトプロデューサーだかって役職付きの人だ。
こないだ、それこそおかし三人娘やうちのリーベやらシャーリヒッタやらを勧誘しようと声をかけていたところに出くわしたんだよ。相変わらず爽やかな大学生さんって感じのオーラが漂う若者感あるものの、今はチラチラこちらを見つつ若干冷や汗混じりでいるみたいだ。
スカウトしてたら俺はともかく、香苗さんとヴァールってかソフィアさんがやったきたんだものな。知らない人のいない超有名人がまさかの首突っ込んできそうなんだから、そりゃまずいことになったと思うよね。
一方でなんだかちょっと高圧的なのが、相対しているどうやら日ノ本ダンジョン探査団若手支部の人らしき女の人だ。
ビジネススーツを身に纏った、いかにも仕事ができますスタイルのクールな黒髪美人さん。でも眼差しも表情もキツめの感じで、なんだか睨まれたら怖そうだ。
そんな女の人もこちらを見て、どこか堪えるようにしながらも軽く会釈してくる。一応礼儀正しい感じだけど、まあこちらのことが邪魔なんだろうなーって内心思ってそうな感じではある。
うーむ、気がきつそうだ。こちらも軽く会釈すると、彼女は軽く吐息を漏らしながらも声をかけてきた。
なんじゃもんじゃ?
「……御迷惑をおかけしているようですね、失礼しました。私は日ノ本ダンジョン探査団若手支部のリーダー、蓬莱奏と申します。そちらはソフィア・チェーホワWSO統括理事とS級探査者御堂香苗氏、そしてシャイニング山形氏とお見受けしますが」
「どうもお久しぶりです山形さん、関西若手探査者の集いCセクションリーダー兼スカウトプロデューサーの姫城です。すみません、なんだかみっともないところをお見せしてしまって」
「あっ、いえそのう。あの、こちらは今どういう状況なんです? おかし三人娘をスカウトしようとして、お互いバチバチしてるのかなって気はしてますけど」
「まさしくそのとおりですね……例によって僕らがスカウトしようとしていたところ、急にこちらの蓬莱さんが割って入ってきまして」
「おかし三人娘に最初に声をかけたのは私どもです! それをこちらの姫城が邪魔に入ったんですよ!!」
「怖ぁ……」
うーん実にバチバチ。特に蓬莱さんのほうがかなり直情的なのか、ずいぶん気が荒ぶっていらっしゃるよ。鎮まり給えー。
おかし三人娘のほうを見ると、チョコさんとアメさんは揃って困った様子でいる……いやでも覇王忍者ガム様だけはなんかニヤニヤ笑ってるなこれ。明らかに楽しんでるわこのシチュエーション、この子怖いよ!
慄くもの怒れるもの、困惑するもの楽しむものとまあ混沌たる有様の全探組施設のフロント近くの一角。
そろそろ他の探査者さん達もなんやなんやとチラチラ見てきてるし、その度に"あっ救世主に伝道師だ! "となってるあたり俺にまで飛び火してきている気がしてならない。
さすがに場所くらいは変えたほうがいいのでは? と思い始めた矢先。
まさかのヴァールが一歩前に出た。ソフィアさんの言動を真似た表向きの統括理事としての態度で、しかし対立するクランのスカウト達へ苦言を呈したのだ。
魂の力を用いた圧、カリスマ性とも言えるそれを発露して強引に周囲の耳目を集めながら語りかける。
「みなさま、まずは落ち着いてください。経緯は理解しましたが、とはいえあまりに強引かつ乱暴な成り行きと言わざるを得ません」
「うっ……統括理事」
「やっぱ言われちゃったかあ……トホホ」
「この場は潔く互いに退き、時と場所を改めてスカウトなりなさってくださいませ。今回はおかし三人娘は我々がお預かりします。今しがた三人揃って山形様に呼びかけたのも、それが目的でしょう?」
「アッハイ。いやーぶっちゃけいい加減面倒だったんでパイセンのシャイニングパワーと御堂さんの伝道にワンチャンこの人らまとめて信者にしちゃってほしいかなーって賭けてました、はい」
「えぇ……?」
ぶっちゃけすぎだよ覇王忍者ガム様!
この場を預かるつもり満々で割って入ったヴァールも若干、演技の微笑みがひきつるほどに清々しい覇王忍者ぶりをかますガムちゃんが恐ろしいやらなんとやら。
なんなら隣の香苗さんが"おや、伝道ですか? "と言いたげに目をキュピーンとさせたのもまた怖い。
しかもその様子に、反目していた蓬莱さんも姫城さんも取り巻きさん達も揃って後退るし。
強制伝道コース、恐るべし……
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第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
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