攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1983 / 2045
事前にアポイントメントはちゃんと取りましょう(戒め)

 バチバチに火花散らして睨み合っていた若手クランのスカウト両者とも、さすがに天下無双の統括理事を前にしてはそれ以上に吹き上がることはできないらしかった。

 おかし三人娘はひとまずこっち預かりとすると宣言したヴァールに、元よりすでに引き気味だった姫城さんはもちろんのこと蓬莱さんもすんなりとうなずいたのである。

 

「わ、分かりました……惜しくはありますが統括理事のご意向に従います。おかし三人娘へのスカウトはまた後日、誰ともブッキングしないタイミングを選んで行います」

「うちもそうします、失礼しました統括理事、御堂さんそして山形さん。おかし三人娘の三人もごめんね、見苦しいところを見せちゃって」

「は、はあ」

「まあ、はい……」

「いえいえ! またの機会をお待ちしてますよ、ありがたいお話なのには変わりありませんしね」

 

 とはいえおかし三人娘を自分達のクランに引き入れたいって気持ちはいささかの衰えもないようで、どちらのスカウトさん達も見るからに彼女らへの欲目を垣間見せている。

 チョコさんとアメさんは完全にドン引きというか、戸惑いしかない様子だしもうしばらくはほとぼりが冷めるまで止めといたほうが良いんじゃないかなあ? って気にはなるよね、俺ちゃん的には。

 

 しかしてガムちゃんだけはやっぱりベクトルが違って、腕組みを解いてにこやかに応対している。あっこれ営業スマイルだって、見るからに分かる張り付いた笑顔だ。

 怖ぁ……そして俺の隣に来てはニコニコしながら耳元に顔を寄せてくるんだもの。絶対ろくなひそひそ話じゃないんですけどコレ。

 俺より多少身長の低い彼女に向け、軽く体を寄せて耳を傾ける。

 

「……パイセンパイセン。覇王忍者的には複数クランがおかし三人娘のスカウト権を巡って睨み合っている! ってこのシチュエーション、これを見てる周囲の探査者達に私らの存在感をアピールする点では実においしいと思うんですけどどーですかねパイセン」

「えぇ……? でもガムちゃん、正直面倒くさい気持ちもあったでしょ。だから俺達を呼んだんだろうし」

「そりゃそうですよ。でもここまで来たら逆にとことん骨の髄まで利用してやろうかなって気もしなくもないんですよね。声かけといてこっち置き去りにバチバチやらかしてるようなふざけた連中なわけですし」

「気持ちは分かるけど時間の無駄じゃない……? 普通に活動してるだけでもおかし三人娘なら存在感をバッチリアピールできてると思うけど。結構三人の話は耳にしてるよ? 頑張ってるってさ、すごいよ」

「そうですか? ……まあ、パイセンが言うならそうなんでしょうね、ふふーん」

 

 ガムちゃん的には結構、声かけといてそっちのけで揉め始めたスカウトさん達に思うところはあるみたいだね。なんなら争え、もっと争えとまで思ってる節がある。

 とはいえハッキリとそれは時間の浪費でしかない。こう言うとスカウトさん達に悪いけど、俺から見ても一連の流れはおかし三人娘に対して普通に失礼だし。呼び止めておいてそれはないでしょってガムちゃんが思うのも当然だし。

 

 そんな人達のわけの分からない小競り合いなんてほっといて、普通に探査者活動していたほうがおかし三人娘は絶対に名を売ることができるに決まってる。

 そうヒソヒソと言えば、ガムちゃんは満更でもない様子でニヒヒと笑ってみせた。一応、機嫌は直ってきてるみたいだね良かった……明らかに苛立ってたもんな、さっきまで。

 

「老婆心ながらに言わせていただければ、次からは双方あるいはおかし三人娘をスカウトする意向のある他クランも併せて、まずは相手の予定を押さえるところから始めるべきです。たまたま見かけたから声を掛ける、というのはそもそも相手の都合を無視したやり方で常識に欠けると言わざるを得ませんしね」

「それにブッキングした程度でおかし三人娘を完全に無視し、クラン同士の睨み合いに移行したのもシンプルに非常識かと。あなた方自身、そんな振る舞いを見てスカウトに応じたいと考えますか? 血気盛んで勢い込むのはよろしいですが、独り善がりになっていることをお互いに自覚すべきですね」

「うっ……か、返す言葉もなく」

「クラン対抗戦がもうすぐ始まるからと、つい焦ってしまいました。申しわけありません。あらためておかし三人娘も、すみませんでした」

「……クラン対抗戦?」

 

 さすがに一探査者として、統括理事としてS級としてヴァールも香苗さんも苦言を呈さないではいられなかったようでアレコレと諭している。

 まあ、こればかりはね。実際におかし三人娘にとって迷惑だったからこそ俺達が呼ばれたんだし、となれば言われてもしょうがない失礼さだったのは事実だろう。

 姫城さんも蓬莱さんも、遅まきながら自分達の振る舞いを反省している。怖ぁ……俺も人と何かする時はしっかりアポ取っておかなきゃ。

 

 しかし、最後に蓬莱さんが述べたクラン対抗戦ってのが気になるな。なんだろ、クラン同士で争うのか? まさか模擬戦でも?

 なぜかクランにスカウトされることが一切ないため、クラン周りの動きは正直分からないんだよなあ。この後おかし三人娘と話すことになるだろうし、その時聞いてみようかな。




「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
完結しました!第三部は2026の盆から!
よろしくお願いしますー


「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。