攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1984 / 2052
入る?入らない?いいえ自分達で創ります!

 ヴァールと香苗さんという、まさしく現行の大ダンジョン時代におけるトップクラスの二人に諭されて反省した様子を見せつつ帰っていったそれぞれのクランのスカウトメンバー。

 このお二人に非常識だよと言われちゃ、さすがに反論の余地もないわなあ。次にスカウトする時には、アポを取ってから来るようになってることを信じたいところだ。

 

 まあ、正直俺なんかはお呼ばれしてのこのこついて行って見ていただけの外様感が強い立ち位置だもんで。一々ポカーンというか、ぽけーっとしていた呑気者山形くんなわけだけども。

 そんな俺になぜだかやたらめったら、おかし三人娘はしきりに感謝の念を送ってきたりしているから困ったもんである。

 

「ありがとうございます山形さん、チェーホワ統括理事、御堂さん! いや正直もうほとほと困っちゃってて!」

「さすがは先生方です〜!」

「い、いえそのう……ソフィアさんと香苗さんが解決してくださったのはそれはそうなんですが、その場にいただけの俺にまで感謝されると逆に居た堪れないんですが……」

「そもそもパイセンがいなかったら私ら声もかけられなかったじゃないですかパイセーン。デビューしたてのアイドル顔負け美少女三人組が統括理事だ11人目の国内S級だのに助けを求められるわけないじゃないですかパイセーン」

「あ、あー……」

 

 率直に俺にまで感謝するのは気まずいって言ったらものの見事に論破されてしまった。

 そりゃそうだ、ガムちゃんの言うように俺がいたからこの三人は声をかけられたのであって、ヴァールと香苗さんだけだったらとてもじゃないけどそんなことできなかったろう。シンプルに雲上人達だし。

 

 このあたり、俺の感覚がだいぶズレてる気はするな……知り合いにS級とか特殊な人が増えすぎた。

 まともに連絡先を知ってる人の大半が本来ならば俺みたいなペーペーとは接点なんてあるわけのない人達になってるってこと、ふとした拍子に思い出すんだよなあ。

 

 一応、GWの探査者ツアーの時に知り合った探査者さん達ともメッセージグループでのつながりはあるし、今朝方もその人達が組んだクラン"ドラゴンバスターズ!! "のことでアレコレSNS内でやり取りされていたのも見たし。

 いわゆる同期同世代の友人知人も少ないながらいるんだけどね。どうしても大体いつも一緒にいるのがS級さんばかりだからね。

 こういう感覚のズレは起きがちなのかもしれなかった。

 

「ま、さておきそんなゴージャス人脈チートパイセンにはこの際なんで御相談があるんですよ。こないだとさっきのクラン絡みでの話の続き、みたいなものですね」

「ああ、どこに入ろうかなーみたいなやつ? もしかして三人のなかでもう決めてたりするのかな」

「はい。もっとも入るというか創る、ですけど」

「…………創る?」

 

 ガムちゃんの言葉におや、と思う。相談事の内容はクラン関係のことだろうとは想定していたものの、今現在スカウトされている三つのクランのどれに入ろうか迷ってる的なものだと思っていたのだ。

 ところが今の口振り、創るというのはどうも違ったニュアンスを感じる。選択肢として挙がっていた三つのなかからどれか一つを選ぶというのでない、第四の選択肢──クランを自分達で結成するという意味合いに取れる発言だったのだ。

 

 これにはヴァールも香苗さんも驚いたみたいで軽く目を見開いている。新人トリオがいきなりクランを創るとか言い出したんだ、俺だって新人ながら意外というかビックリだよ。

 ふむ、とヴァールが、変わらずソフィアさんの真似をしながら真意を問う。

 

「それは御三方、クランを自分達の手で創る、という意味合いでよろしいのでしょうか? いえ、少しばかり疑問に思いましたので。なぜ既存のクランという選択肢を選ばないのかと」

「そうですね、そこは私も不思議です……新人あるいは若手という括りで言えばおかし三人娘は間違いなくトップを狙えるパーティでしょう。どこのクランに入ったとて、油断と慢心に胡座をかくことがないならば盤石の立ち位置を築けるかと思うのですが」

「そ、そうなんですかね? 御堂さんに評価されるなんて、光栄というか恐縮というか」

「先生からご紹介いただいた、始原の方々のおかげさまね〜……また今度、お喚びした際にはきちんとお礼しなきゃっ」

「まー始原さん達はもちろんながら、やっぱり私らみんなスペシャルだからってのもあるでしょうけどね、ふふん。とりわけこの覇王忍者新潟花夢様ときたら、ふふふん」

 

 続けて香苗さんも、おかし三人娘の現状のスペックの高さをも踏まえて言えば、当の三人は照れるやら素直やらドヤ顔やらと三者三様の反応を見せる。

 俺も同感だよ。出会った頃からは考えられないくらい、今のおかし三人娘はそれぞれが独特な強みと才能を煌めかせ始めている。

 

 武芸百般、武器を持たせりゃ何でもござれ。《武器術マスタリー》の獲得さえ視野に入っている天才・徳島千代子。

 概念存在から問答無用で愛される健気さと素直さ、魂の清らかさを持つ神童・鹿児島天乃。

 《忍術》を駆使した手札の多さと、何より同期と比べても明らかに桁違いの視野の広さと指揮力を誇る覇王忍者・新潟花夢。

 

 誰一人とっても個性もクセも強みも弱みも一級品だ。戦闘経験を重ねてレベルを高めていけば、ゆくゆくはとんでもないところにまで行ってしまえるかもしれない奇跡のトリオ、それが今のおかし三人娘なのだ。

 だからこそ不思議なんだ……どこのクランに入ろうが確実に頭角を表せるだろうそんな彼女らが、なぜわざわざ新しくクランを立ち上げて一から始めようとするんだろう?

 そこのところ、少し腰を据えて聞きたいところだよ。




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