攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
スカウトしに来ている三つのクラン、いずれにもいまいちピンと来ないおかし三人娘。
他のところに入るか、あるいは自分達で創るかそもそも入らないかの三択という状況下で……ガムちゃんはいっそ創るべきだとチョコさんアメさんに言ったのだという。
「当たり前っちゃ当たり前の話ですよね、他所が気に入らないなら自分達で創るしかない。デビューしたての私らの創るクランになんて、うまいこと運営していけるのかって現実問題こそありますけど……そういうのを置いといても、理想がそれならやってみる値打ちはありますよねって」
「ガムちゃんの言うことも一理あるかなって思ったんです、私達も。それに正直、スカウトがいろんなところから来ちゃったことで頭のなかがこんがらがっちゃって、ガムちゃんにおまかせしたいってのもありましたし」
「一番年下のガムちゃんに甘えすぎなのは理解してます〜……ただ、こういう時のこの子、すごく頼りになっちゃうんですよね〜」
「覇王忍者ですから。私としても、こんなふうに頼って信じて支えてくれるチョコさんとアメさんがいてくれるから好き放題やってられるんです。やっぱり三人揃ってのおかし三人娘ってことですね、ふふん」
強気に不敵に、それでいて信頼の篭った眼差しで仲間達を見るガムちゃんの笑顔は素敵だ。チョコさんとアメさんからの信頼と絆を、あるいは彼女も拠り所にしているのかもしれない。
このパーティおかし三人娘は、最年長がアメさんでその次に俺と同い年くらいのチョコさん、次いで最年少がガムちゃんになるわけだけど、実のところリーダーシップを発揮しているのはガムちゃんだったりする。
一時期はチョコさんが指揮を執っていたんだけどね、猪突猛進すぎて周囲を見られなかったり、周りに指示を出せなかったり、あとガムちゃんが覇王忍者として弾けたことから彼女のほうが適任だという話になったんだ。
まあ、その分チョコさんはムードメーカー兼パーティの牽引役として機能しているらしいけど。いつだか彼女らの指導教官である関口くんがそう評していたの、俺としても分かる話だよ。
強い絆を感じさせる三人に、香苗さんもソフィアさんも微笑ましくも温かな眼差しを送っている。
とはいえ、それとこれとは話が別だ。クラン創設というプランについては、やはりそれなりに厳しい質問を投げかけていってるけどね。
「まあ、実現性を完全に棚上げしてしまえばそういうことにはなりますかね。しかしそうは言っても、ある程度のプランや筋道は確保できていないと難しいように思うのですが」
「クラン結成には三つ以上のパーティが必要ですが、当てなどはあるのですか? さすがに成立要件を満たしていないのにクランを名乗るのは、単なる自称でしかありませんしね」
「そこはまあ、最低限クリアできてるって感じですかね。当てがまったくないってこともないですよ、一応。それなりに勝算はあると見込んでます」
雲の上の探査者なお二人からの声にも、まったく揺るぎなく応対するガムちゃん、強いなあ。チョコさんとアメさんがハラハラした顔で見てるけど、さすがにこのくらいで生意気だとか考える人達じゃないので安心してほしいよ。
しかし当てがあるのか、さすがなあ。それってつまり普段から距離の近いパーティが他にもいくつかあるってことで、そこからして陰キャな俺にはもうすごい。
たとえば俺が今からクラン創るよこの指止まれ! って各方面にメッセージを送ったとて、集まってくれる人は少ないながらもいるかもだけど、そこに若手さんや同期同世代さんがどれだけいるかって話だし。
人脈が偏りすぎなんだよね、端的に言って……さすがにS級A級わんさかのチートドリームクラン創ってドヤ顔なんてするのは気が引ける。というかせっかくやるんなら若手達で切磋琢磨とかもしてみたいよねーって気はするかな。
「これでも私ら結構注目浴びてるもんで、同期や同世代、一つ二つ上の世代の人らともそこそこ交流してるんですよ。まあ主にチョコさんのコミュ力頼りですけど」
「関口さんを見習って頑張ってます! あと、その関口さんの伝手から人脈を広げたりもしてますね!」
「そういうとこから、まだクランに入ってないけど迷ってるパーティってのもいくつか知ってますし。そういうのに声をかけてたりはします。幸い、パイセンってバックボーンのおかげもあって変な虫は寄ってこない安心感もありますしね」
「俺ぇ? ……なんでぇ?」
なんか唐突に出てくるやん、パイセン俺。
関口くんの人脈まで活用して幅広くマルチな感じに活動し始めているらしいことにはひたすら感嘆の念だけども、そのへんのどこに俺の名前が出てくる要素あった?
そもそもバックボーンってなんぞや、三人娘のそんなものになった覚えないんですが、そもそも同世代なのにバックボーンもへったくれもないだろうし。
ちんぷんかんぷんな俺なんだけど、ソフィアさんと香苗さんはなんか納得したみたいにいくらかうなずいている。
なおも首を傾げると、微笑みとともに二人で説明してくれた。
「おかし三人娘のうち使徒天乃と新潟さんは、明確に公平くんの薫陶と支援を受けていますからね。そこはそれなりに広まってきている話ですから、三人に悪意をもって手出しすると公平くんが出てきかねない、というプレッシャーはあるのでしょうね」
「えぇ……? いやまあ、俺の名が魔除けみたいになってくれるんならそれはそれで何よりですけど、ホントですかそんなこと……」
「山形様が御自身で思う以上に、あなたのお名前は既に界隈でも大きな存在感と影響力を持ち始めています。人脈もさることながら対外的な功績と実力、それと救世の光の存在もあるのですから、もはや世界のどこを見たとて、あなたを軽んじる者などまともな探査者ならばいませんよ」
「怖ぁ……」
知らん間にえらいことになってないですか、俺の評判。
完全に情報が一人歩きしている気がするどこぞの山形公平くんだけど、ともかくおかし三人娘にとってはそれがありがたいことのようだ。
まあ、なら、別に良いんだけど。
俺の存在が、悪意の接近を防いでいるのならそれは素晴らしいことだ。そこはどんどん利用してくれて構わないよ。
世界が云々ってのは正直眉唾だけども、俺としてはそう思うばかりだ。
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第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
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