攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1988 / 2051
クラン対抗戦……ソシャゲのPvP……ウッ頭が

 なんか魔除けの御守り山形くんみたいに一部でなってるらしいことはさておいて。いやさておくのもどうなのかという話ではあるけど閑話休題として。

 おかし三人娘の明確な意向、自分達でクランを創るという意志とそれに向けてのざっくりながらプランを聞いて、ソフィアさんも香苗さんもなるほどと納得した感じでうなずいていた。

 

 正味のところ、俺としてもクラン創設は結構真面目にうまくいくんじゃないかなって気はしてきているよ。

 新進気鋭の探査者パーティ・おかし三人娘を取り巻く現状は、今の話を聞くに大躍進前夜って雰囲気は俺にも感じられているからね。

 

 自分達の周囲、関口くんとか俺とかの人脈や存在をうまいこと使っての立ち回りは想定していたよりクレバーだし、そこに伴って必要なコミュ力や実力とかもそれなりに担保できているように思う。

 これは発案者のガムちゃんだけでは決して成し遂げられなかったことだろう……チョコさんの人柄や行動力、アメさんの概念存在との縁の深さや愛され力が伴ってこそのものだ。

 

 まさに三位一体。この三人、俺の予想以上にうまく噛み合えばものすごいシナジーを発揮できるんだな。

 成り行きから知り合い、多少アレコレ教えた相手だけに感慨もひとしおだ。たった数ヶ月でよくここまで、良いパーティになれたもんだよ本当。

 

「……今回パイセン方にこうして相談に乗ってもらってるのは、ひとえにさっきの局面を助けてほしくて声をかけたことの延長でしたけど。それでも改めて報告というか、そういうのができてなんだか良かった気はします。他人に聞いてもらうことで、心の整理とか覚悟が深まった感じですし」

「お話を聞く限り、そこまで状況が整っているのならば決して夢物語ではないと思います。おかし三人娘の創るクラン、個人的に私も期待させてくださいね、うふふ」

「使徒天乃の縁もありますし、そうでなくとも期待できる若手パーティです。S級として後進のこと、界隈全体のことを考えればあなた方を応援することには意義があると思えています。何かあればすぐに私にも連絡をください。可能な限り相談に応じますよ」

 

 いろいろ展望や可能性を勘案して、勝機は十分あると判断していてもそれでも不安は当然あったんだろう。ある意味そのへんを吐き出す形で相談してくれたガムちゃんは、どこか吹っ切れたような清々しい表情を浮かべている。

 散々ネタにしといてなんだけど、本当に覇王忍者ってやつになれるかもな、この子なら。いやそもそも覇王忍者ってなんだよという疑問は過去現在そして未来においても常につきまとうだろうけど、とにかく彼女が望む方向の、望む地点に辿り着けそうな予感はする。

 

 同じような期待を抱いてか、ソフィアさんも香苗さんも相当親身になって三人を応援し始めていることも、そんな予感を強めてくれる一因かもね。

 何かしてくれる、このパーティは。すごいところまで行ってくれる、このパーティなら。そう思わせてくれるんだろうさ。

 俺もまた、彼女らに声をかける。

 

「俺も、できる限り三人の力になりたいと思っています。だからって何ができるわけじゃないかもだけど、せめて話を聞いたり寄り添うくらいならできるからいつでも遠慮なく頼ってください……応援してます、おかし三人娘!」

「ふふ、ありがとうございますパイセン。正直私的には、パイセンからそう言ってもらえるのが一番勇気とかエネルギーが湧いてきますよ」

「あ、ありがとうございますみなさん!! す、すごく光栄です!! 頑張ります、私達!」

「もちろん先生もありがとうございます〜! すべては先生との出会いのおかげで、私達はここまで来れましたぁ!」

 

 三人揃って照れたような緊張したような、それでいてどこまでも輝かしい眼差しで礼をしてくる。

 徳島千代子、鹿児島天乃、そして新潟花夢。この三人が主体となって形づくるクランがどんな形になるのかはまだ、誰にも分からない。

 それでもきっと、その活動さえ含めたおかし三人娘の活躍は未来において名を馳せると信じたい。そして探査者界隈に一際輝く三つ星となってくれるものと期待するよ。

 

 ……欲を言えばそのうち、世代の象徴として"おかし三人娘世代"とか、"覇王忍者世代"とかになってほしいかなーなんて。

 シャイニング世代なんて風評を吹っ飛ばしてくれることさえ、個人的に希望せずにはいられないのだった。

 

「御三方からのお墨付きも得られて、なんだかやる気がマシマシになってきたね、二人とも! これならクラン、やれるかもしれない!」

「そうね、チョコちゃん! ……えーっと、ところでクラン対抗戦にも参加する感じなのかしら、ガムちゃん?」

「まあ間に合いそうなら。そりゃ年一のお祭り騒ぎなんですし、参加するだけタダならするでしょ。損することもないわけだし」

「クラン対抗戦……さっきも聞いたなあ、それ」

 

 最高の未来を思い描く俺ちゃんの耳に入る、何やらソシャゲ界隈で時折聞くような単語。クラン対抗戦。

 さっきもなんかそんなこと言ってたけど、クラン同士で模擬戦なりするのか? まさかあ、探査者同士の模擬戦は制度としてなくはないけど、そんな大々的にやる印象もないんだけどなあ。

 

 というかマジで、PvPを導入してるタイプのソシャゲでよく聞くやつすぎてなんかこう、すごい大変そうな雰囲気しかしないんだけど。クランとかギルドとか。

 やっぱ対抗戦のために私生活すら制限してくるタイプのクランとかもあるんだろうか。怖ぁ……ブラッククランってやつかあ。




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