攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
ソシャゲ沼に割とドップリ浸かっている俺ちゃんとしては、あんまり無視できない単語が出てきた。クラン対抗戦。
もちろん現実の探査者界隈での話らしいので日がな一日寝食も惜しんで周回しまくる地獄のマラソンレースなどでは断じてないだろうけども、さりとてどういうんだか気になるのも事実だ。
だもんでおずおずと挙手して尋ねてみると、さすがの博識な香苗さんが微笑みとともに解説し始めてくれる。
そろそろみなさんパンも食べ終えた喫茶店の正午過ぎ。コーヒーやらジュースやらのお代わりを各自頼みつつの、雑談の場へとこの場の空気は移行し始めていた。
「クラン対抗戦。これは昨今の若手クランブームに伴い、6年ほど前から始まった年に一度の探査者イベントですね。世界的に見てもいろんな国で似たようなことはしていますが、ここでは一応日本での対抗戦についてのみお話しましょう」
「アッハイ。ぜひともお願いします」
「私も立場上、知らないわけでもないイベントですね。香苗さんの説明のなかで補足できる部分があれば私のほうからも、差し出がましいかもしれませんが話させていただきますね」
「S級と統括理事からのダブル説明……な、なんか改めてすごい現場に立ち会ってるや、私達……」
ソフィアさんもフォローに回っての香苗さんからのレクチャー。俺からすると割とありそうというか、まあこういう機会もあるかもねくらいのことなんだけど、客観的にはものすごい贅沢な構図なんだろうな、これ。
思わずチョコさんが呻いていることからもそれは伺い知れるもの。同時に使徒の眼差しでキラキラとこっちを見ているアメさんが怖いもの、それらすべてをどこかドヤ顔してうなずいてる覇王忍者様もヤベーもの。怖ぁ……
この三人もクラン対抗戦については知ってるだろうけど、せっかくの機会だからと俺と一緒に説明を聞く気満々だ。
まあクランを創るって言ってるし、対抗戦とやらにも参加するって言ってるんだし、ベテランの人から改めて話を聞いておくのはこの子達にとっても価値あることだろうさ。
「はじめに結論から言えば、クラン対抗戦とは"ある一定期間内、それぞれのクランが探査活動のなかで稼いだ実績の総計を競い合うイベント"ですね。クラン同士パーティ同士で模擬戦などで実際にぶつかり合う形式ではないのでそこはご安心ください」
「日本でのルールはそうなっていますが、諸外国……北欧圏やアメリカ、オーストラリアなどでは模擬戦形式も取り入れているようです。そこは各国それぞれの探査者文化や界隈の空気も関係しています」
単刀直入な導入ながら、簡潔に分かりやすい説明で助かる。ざっくり言えば各クランの探査活動実績を数値化し、比較し合うことで競う期間限定イベントって話のようだ。
しかもソフィアさんの補足では世界各国でもこの対抗戦を取り入れている地域はあるようで、しかも各々ルールや制度も異なるらしい。
模擬戦も日本じゃやらないだけで他所の国じゃやってるのかよ、怖ぁ……ベナウィさんみたいな破壊魔がいたら終わりじゃない? それ。
まあそのへんはルールできっちり制限なりしてるんだろうし、そもそも日本じゃ模擬戦はないそうなので心配するまでもないことだけどもね。
しかし"探査活動"という表現については、少し違和感を覚える。
俺は挙手とともに、香苗さんへと質問をしてみた。
「探査活動……ですか? ダンジョン探査だけじゃなさそうですね、そういう表現だと」
「ええ。ダンジョン探査ももちろん実績に含まれますが他にも、探査者イベントへの参加や技能訓練などの講座関係への参加。あるいは探査者としての名義や立場で行う社会活動や芸能活動などもそこに含まれる形になりますね」
「社会活動や、芸能活動もですか? ……なるほど。その手の活動をされている人達が対抗戦に参加することを見越してのバランス調整的な感じですかね」
「おそらくは。あとは主催の全探組なりの配慮でしょう。今の世のなか、ダンジョン探査を中心としつつもそうした活動に勤しむ探査者も多いですから。特に若い世代に顕著で、そうした彼らが中心となるイベントな以上は気を遣うべしとしたものと考えられます」
あー、そういうのもあるかあ。思いのほか生々しいというか、リアルみのある話を聞いちゃったよ。
探査者である以上、生活の軸はもちろんダンジョン探査だ。それは一人の例外もなくそうだし、言っちゃうとステータスに覚醒した時点でもう探査業以外の職業には基本、就職できないのが国際法レベルで定められている。
例外的に探査業に関連しての社会的活動──たとえばボランティアとか講演とか研究職とか。はたまたアイドル探査者なんかもいるね──は制限付きながら認められているところがあったりする。
そういう人達も基本はダンジョン探査が主体ながら、その傍らでそうした活動に励んでいたりするのだ。
で。そうした副次的とも言える活動についてもこの際、クラン対抗戦においては"探査活動"の一環であるとイベント主催の全探組は定めているそうな。
ダンジョン探査こそ探査活動の中心であるべきなのは変わらないにせよ、探査者としての立場で社会に様々な貢献をしている人達のことも考えたバランス取りであり、もっと言えばそうした人達へのある種の気遣いや配慮でもあるんだろうね。
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