攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
ざっくりと端的ながら、クラン対抗戦の内容については分かった。そこに新クランを創設しようとおかし三人娘が乗り気だってのも、まあうなずけるものではあると思うよ。
さて気になるのはそのイベントが一体、いつからいつまでの期間に行われるかだ。
期間限定イベントらしいからそんな、年がら年中やってるわけでないのは今になってようやくこのへんのことを知った俺自身が示しているし。
俺がデビューしたのが今年の4月とかで、その頃から今に至るまでそんな対抗戦とか行われていた形跡もないし……となると今から春にかけての期間だろうと消去法的に推測できるんだけど、どうかな?
「公平くんの仰るとおり、クラン対抗戦は年始から冬の終わり頃にかけて行われます。いわゆる新春イベントとしての側面があるのですね」
「ああ、やっぱり。だからおかし三人娘のスカウトも激化していて、だから三人も新規クランを創りたいわけだ」
「そーゆーことですね、パイセン。さっきも言いましたけどすでに打診というか、もしクランを創るなら参加しない? って例の知り合いのパーティには声をかけてる状況です。ぶっちゃけ、もう一息でいつでもクランを創って対抗戦への参加申込が行える段階ですらありますよ」
「ただ、その……どうしても踏ん切りがつかなくて。スカウトの方にも悪い気もしましたし、そもそも私達がクランを主催するなんて大それてないかなって。ガムちゃんが滅茶苦茶前のめりな分、私とアメさんがちょっと尻込みしてるんです」
「なるほど。いや、分かりますよその気持ち、すごく」
明かされたクラン対抗戦の期間とともに、ガムちゃんがいつでもクランを創れる状況にまで話を持っていっていることにも感心する。さすが手際良いよねこの子ってば。
けれど、同時にチョコさんやアメさんの不安な内心にも目を向けなければならないとは思った。新人がクランを創ること、うまく創れたとして運営していけるかどうかってことに心配するのは当然だし、尻込みするのも当たり前のことだからね。
このへん、ガムちゃんの覇王忍者ゆえの意識の高さが他二人とちょっと温度差があるのはあるかもしれない。
猪突猛進はチョコさんの専売特許みたいなところはあるけれど、よくよく考えた上でしっかりプランまで練った上で、でもこうと決まれば突っ走るガムちゃんも結構唯我独尊ではあるよね。
ガムちゃんもそのへんは自覚してるんだろう、バツが悪そうに鼻をかいている。申しわけなさそうで、けれど信頼の篭った視線を仲間二人に向けているよ。
それに応えるアメさんもまた、不安を隠さないながらに彼女に微笑みかけていた。
「ガムちゃんには感謝してます、本当に……チョコちゃんも私もどうしても考えが浅くて甘くて、無軌道になりがちなところをこの子が道を示してくれてるんです。だから不安ですけど、どんな選択をしてどんな方向に進んでもガムちゃんと一緒なら、この三人なら大丈夫だって私は信じてます」
「あ、そこはもちろん私もです! 尻込みはそりゃしてますけど、けどそれ以上にガムちゃんとアメさんを私は信じてます。みなさんもご存知のとおり私はとんでもない馬鹿で、こうと決めたら突っ走るしかできないイノシシで……だからそんな私に突っ走る方向を教えてくれる、突っ走りきれる力を貸してくれる二人とならどこまででも突っ走れるって確信してるんです!」
「チョコさん、アメ姉……」
「…………だから今回、山形さんや御堂さん、あまつさえチェーホワさんにも話を聞いてもらえて本当に助かりました。不安はあります、心配も尽きません。でも踏み出すことには変わりないから、そこに背中を一押してもらえた気がして、勇気をもらえた気がするんです」
それぞれに本音を言いながらも、溢れんばかりのお互いへの信頼と絆を口にするチョコさん、アメさん。ガムちゃんも驚きつつ、けれど真剣にそれを受け止めて神妙にしている。
本当に、眩しくて目を細めてしまうよ。当初はあんなにバラバラだったこの三人が、こんなにも素敵で素晴らしい三人になってくれている。
ほんの少しばかりだけどお手伝いさせてもらった身として、こんなに誇らしくて嬉しくなることもない。
香苗さんも同様に目を細めて微笑んでいるし、ソフィアさんも若く青く、けれどそれゆえに無限の可能性を秘めた三人を温かく見守っている。
俺は、三人へと声をかけた。最後にもう一押し、背中を押させてほしかったんだ。
「大丈夫です。三人ならきっと大丈夫、俺が保証します」
「パイセン……」
「俺もこの半年ほど、たくさんのことを経験するなかでいろんな不安や心配を抱えることもありました。けれどそんな俺を支えてくれた絆があって、そのおかげで今も無事に生きてここにいる。だからおかし三人娘なら大丈夫です。こんなにも強くて眩しい絆が、お互いにも、周囲の人達との間にもあるんですから」
いや、まあ。俺の事情はちょっといろいろおかしいから、なんの説得力もないと言えばないんだけれど。
周囲の人達との結びつきがなければ今、こうしてここに俺がいることはなかったってことは間違いない事実だ。
絆。それだけでどうにかなるわけじゃないけど、それがあればきっと、誰だってどこにだって行けるもの。何にだってなれるもの。
誰かと誰かの結びつきが、帰るべき場所をたしかに繋ぎ止めてくれるから羽ばたいていける。どこにいたって変わらないものがあるからこそ、命はどこまでも進んでいけるんだ。
そう信じるから、俺はおかし三人娘を後押しするよ。
心からのエールを送れば、不安は隠せない様子でも……おかし三人娘はたしかに希望をその顔に覗かせて、笑ってうなずいてくれた。
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第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
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「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
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