攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
「素晴らしい光景でした……今まさにこの場所において新たなる救世主神話伝説が光とともに刻まれたのですこれまでの100年の積み重ねのなかで蓄積していた疲労や鬱憤を自覚しないではいられなかったソフィアさんとそれを察してせめて少しでも癒せるのであればと人目につくことも厭わず輝きを放ちその心をいたわり慰めた我らが救世主山形公平様そしてそれらを余すところなくこの目で見てこの耳で聞いてこの手でメモを取りつつカメラを回していた不肖伝道師こと私御堂香苗が今この口でもってお集まりの皆様方に正しく教えを広め伝えましょうそう御方はつまり仰られたのです目の前に苦しむ人がいるのならばどのような場と時間と状況であれ躊躇わないとそして衆目の前に晒されることさえ厭う余地はないと救う者としてのどこまでも深い慈悲と慈愛そして救うという行為への並々ならぬ覚悟と使命感責任感の発露です我々はどうしても他人の目を気にする生き物です当然ですね社会的動物なのですからしかしそれでも目の前の人に手を差し伸べることを第一としていけたのなら世界はそれをもって少しだけでも優しくなるみんながそうなればもっと温かくなるのだということですもちろんそれは我々にとってはとても難しい側面であることも事実ですだからこそせめて志は胸にしておくべきということなのでしょうつまり日常において他者への親切心を忘れずできる時で良いから自分にできる限りの範囲内で他人のためにできることをしようということなのです救世主様バンザイ」
「救世主様バンザイ! 救世主様バンザイ!!」
「見ちまった……俺はこの目でたしかに救世主様の光を見たんだ救世主バンザァァァァァァイ!!」
「温かな光だった……見ているだけで心安らぐような……ああ……救世主様バンザイ……」
「怖ぁ……」
突然のシャイニングリラクゼーションにて、世間様をお騒がせしちゃったことは申しわけなく思いつつも。ソフィアさんも一応多少は落ち着いたようなので光を収めた途端これである。
伝道師さんの伝道が大爆発して、広場ではすっかりカルトのワンマンショーが開催されている白目間違いなしの光景が広がっていた。
正直、こうなるだろうなと予想はしていたよ。それでもことに踏み切ったあたり、今回ばかりは俺が悪い。
それでもソフィアさんが少しでも元気になるのならと、それを優先したのも俺だからね。この場は甘んじてその結果としての光景なのだから、俺も覚悟して引き受けるよ。
でもさあ、一つ良いかな?
ソフィアさんと顔を見合わせ、神妙に問いかける。
「これ、止めないとさすがにお巡りさん来るかもですね。そろそろ集会になりだしてるわけですし」
「そ、そうですね……すみません山形様、変に私が落ちこんでしまったことで御迷惑を」
「そこは言わないでください、やりたくてやったんです──香苗さーん、伝道師さん伝道ストップー。憲法というか法律というか条例というかそういうの的にもストップでー」
伝道師さんの伝道、それそのものは普段の規模なら個人の活動というか、演説とまではいかないので早々許可が必要なものではないだろうけども。
今回は俺のシャイニングが人目を惹きつけすぎた、興味を持ってやって来た商店街の人達やドップリ帰依してる系の人達がそこそこ集まり出していて、そろそろ集会の様相を呈し始めている。
これはちょっとアレだな。もちろんお巡りさんの許可など得てないゲリラ伝道なため、これ以上となるとお叱りを受けかねない状況になっちゃうよ。
そのため慌てて彼女に呼びかければ、みなさんの目はいよいよ俺に向いてくる。うおっすごい視線の圧──しかして負けないぞ、勇気をもってステイ! 伝道ステイだ!
「香苗さーん、それ以上はさすがにストップしときましょうこれ。おまわりさんが来そうなやつですこれ」
「ええ、もちろんわかっていますのでここらで解散しようと思っていました──ご通行中のみなさま、いきなりの奇跡の御業はともかくその後の伝道にてお騒がせしてしまい失礼しました。私、伝道師御堂香苗は毎日ネット上の動画チャンネルにて伝道配信を行っております。今回のこの救世主神話伝説についてももちろん本日夕方には生配信で伝道させていただきますので、ぜひともご覧になってみてくださいませ! それでは最後に、救世主様バンザイ!! ────さて、それでは帰りましょう公平くん、ソフィアさん。この度はお疲れ様でした」
「えぇ……?」
「なんと言いますか、圧巻ですねいろいろ……」
さすがに香苗さんももはや伝道のプロだ、プロってなんだよ。盛り上がりすぎてることは理解していたようで、俺の呼びかけに間髪入れずうなずいて事態を収拾しにかかった。
ちゃっかりと自分の動画チャンネル、例の救世の光チャンネルにこの場にいる人達を誘導しつつである。それでいてしれっとした顔で俺達の下に戻ってくるのだから、なんとまあ鮮やかというか慣れきった手際ですねとドン引きするしかない。
ソフィアさんももはや感心しかできないって感じだもの、相当だよこれは。
ともあれこの場にいるわけにもいかなくなった俺達は、こうしてダンジョン探査からのおかし三人娘の相談を経ての帰路へと着いたのであった。
「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
完結しました!第三部は2026の盆から!
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「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
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