攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ハイパーウルトラかわいい美少女アイドル探査者!?

 一応今日の予定では、俺達は9時半頃を目処にワームホールを開き、システム領域に行く手筈となっている。

 そんでもってそこからあれこれ用件を済ませて、大体16時くらいに現世に戻る流れって感じかなー。

 

 ちなみにシステム領域内には本来時間の概念はない──時間に関わる時間領域が関与するのは、概念領域と現世領域だけだからだね──んだけども。今は現世地球の文明社会のタイムスケールを適応して進行していたりする。

 まあ、邪悪なる思念の侵攻による余波の一つだね。少なくとも大ダンジョン時代が終わるまではこれは続くだろうし、その後も現世に精霊知能が介入することもあり得るだろうからそれは継続されていくだろう。

 

「というわけでちゃっちゃとやることを済ませて、軽く観光というか見学させてもらうとしようか。ミュトスや神奈川さんにとっては初めてになるシステム領域巡りだからね」

「第二の故郷というべきか、はたまた転職先の会社というべきか悩みどころでござんすが……! どうあれそうなんですよ、ミュトスちゃんつい最近まで魂だけの状態で長いことワールドプロセッサ様の下に身を寄せさせてもらってましたから、実はあの領域についてあんまり知らなくって」

「元々が人間である俺も当然、まったく知らないですね。一応ステラの記憶を共有している部分があるので、知識はそれなりにあると思いますが」

 

 俺の号令に、ミュトスと神奈川さんがどうも軽く緊張気味に強張った様子で心情を吐露した。そうだよなあ、この二人はシステム領域、実質的に初体験だもんなあ。

 というのもミュトスの場合、邪悪なる思念との決戦が終わるまではずっと魂だけの状態でワールドプロセッサ預かりとなっていたわけだし。神奈川さんに至ってはそもそも人間で、システム領域のことなど知るわけもなかったわけだし。

 

 それぞれワールドプロセッサの下で精霊知能としての教育を受けるなり、ステラと融合して彼女の記憶を共有したりするなりで知識面でのフォローはされているだろうけども。

 とはいえやっぱりそれは伝聞、人聞きの知識だ。それが悪いわけではないものの、実体験が伴っていないことには変わりない。

 

 そのへん、明らかに一家言ある精霊知能の先輩が柔らかい口調と声色でコメントしてきた。

 ある意味彼女も似たような経験をしてきただろう、ヴァールだ。

 

「うむ、しかして百聞は一見にしかずとも言う。実地体験してみれば、二人とも自分のなかでイメージしているものと違う感覚を得られるかもしれんな」

「で、ですよねー! ですからもう緊張しちゃってったらもう、と、とんでもない数の先輩精霊知能もいるでしょうし」

「お、俺もです。ミュトスさんもですが特殊な成り行きで精霊知能になったわけですから、どうも不安というものがあります」

「そこは心配いらんと思うが……そうした不安と実情を擦り合わせていくこともまた、学びの一つだろうさ。ワタシもこの100年で多くのことを学んできたよ。無論、今もなおな」

「実感籠ってるぜェ……」

 

 シャーリヒッタがつぶやくように、恐ろしく実感の籠っている言葉だ。ヴァールがこう言うならそれを否定することなど、おそらく精霊知能のなかには誰一人としてできないだろう。それほどまでの重みがある。

 彼女もまた、立場は違えど100年前にはミュトスや神奈川さんと同じだったろうからね。何も知らない現世に現れ、会うことのできない相棒を支えにまったくのゼロからすべてを始めここに至った偉大なるモノ。

 

 いろんな意味での先輩がいてくれることは、お二人にとってもきっとありがたいことだろう。

 向けられる信頼の眼差し。それに気づいて所在なさげになったヴァールが、こほんとひとつ咳払いをしつつも尋ねてくる。

 

「そ、それで今回のワームホール役は誰が務めるのだ? 山形公平かシャーリヒッタか後釜か。はたまたワタシかミュトスか神奈川か。ステラの線もあるか?」

「はいはいはーい! 今回はかわいいかわいいリーベちゃんがワームホールを拵えちゃいまーす! たまには精霊知能らしいところもお見せしないと、ただただハイパーウルトラかわいい美少女アイドル探査者って印象ばかりになっちゃいますからねー!」

「……さすがに疑問なのだが。自分で自分のことをそうまで形容することに、何かしらの欺瞞を覚えたりはしないのか、後釜」

「うるせーですよこのムッツリ精霊知能! たまにはソフィアの物真似ばかりじゃなくて自発的に表情筋動かせってんですよーこの鉄面皮ー!!」

 

 ああっ、調子づいたリーベちゃんがいつもどおりの自己肯定力天元突破してる名乗りをかましたところ、反応に困ってしまったヴァールのツッコミが入ってなんだか大変なことに!

 まあ、かわいいことは間違いなくかわいいんだけれども。それを誰よりも一番自分でアピールしているのが何やらやっぱりお笑いマスコット感あるよねーってのは正直俺も思う。

 

 リーベの言うヴァールが鉄面皮ってのも分かるけどね。シャーリヒッタがうんうんうなずいているあたり、三姉妹的の長女と次女的に三女の無表情はだいぶ気になるらしい。

 ソフィアさんの真似してる時は良い笑顔なんだけどなあ。まあ、さりげなく口角を上げたりしてる時があるしそれはそれでかわいいんだけどね、ヴァールも。




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