攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

2006 / 2046
急に14歳がぶり返してしまう山形くんです。ご査収ください

「相変わらずの殺風景さだな、ワールドプロセッサ。せっかくなんだから少しは風景に凝ってみるとか、内装を弄ったりしてみるとかしてみても良いんじゃないか?」

「さてどうでしょう? ……正直な話、興味がないというのが本音のところです。魂と心を獲得したことでたしかな情動を得ている自覚はありますから、これはもはや私自身の個としての性質かもしれませんね」

 

 二度目の再会。かといって今回はそう間を空けたものでなく、いきなり互いに親愛のハグとかはさすがにせず言葉を交わす程度のものだ。

 なんなら軽口混じりだよ、実際。私は相変わらずの殺風景かつ無機質なこのデジタル空間に、ちょっとくらい趣味とか見せても良いんじゃない? と発言する。

 

 それに対するワールドプロセッサも微笑みながら、これが私の個性ですと答えてきた。やはりお互い、多少砕けた感じだ。

 ここにおいてはさすがにこちらもコマンドプロンプトとしての側面を多めに見せつつの会話になるけど、どちらかと言うと内容はやはり、山形公平的なものになってる自覚はあるな。

 

「そうならそうで、お前が良いんなら良いけどな。私も正味なところ、別段この殺風景さを厭うているわけでもない。むしろシステム領域らしいとすら思うほどにはな」

「私もあなたも言うなれば、システム領域をも含めた世界そのものです。その感覚は当然でしょう。精霊知能や現世、概念領域のモノ達がそれぞれの領域内で思い思いにあらゆるテクスチャとデータを積み重ねる行為も、素晴らしいことなのは言うまでもありませんが」

「すべては生命の積み重ね、流転する魂の旅路とその痕跡の彩りが織りなす紋様ってところか。その果てにいつか迎える"巣立ち"まで、あらゆるモノが同じように繰り返しながら、けれど同じでないように少しずつ前へと進んでいくのだな」

「ええ。それが本来あるべき世界。私達がようやく取り戻せたシステムです」

「ああ……うん、そうだな。こほん」

 

 怖ぁ……ワールドプロセッサの生真面目なノリに付き合った形になるもんで、どうも私もコマンドプロンプト的というか、変に頭でっかちな物言いになっちゃってる感じがある。

 これは良くない、修正しなきゃ。山形公平の中二心的にも黒歴史ムーヴ感あって良くないし、何よりやっとこさ連れてきた精霊知能の新人達もポカーンってなものだろう。

 

 ひとつ咳払いをして仕切り直しだ。仲間達のほうへと向き直る。当然ながら今しがたのやりとりを見ている精霊知能達。

 そのいずれもが、どこか神妙にしているのが若干の計算違いを思い知らせてくる。

 

 止めなされ止めなされ、今のはそれっぽい会話なだけで特に中身は井戸端会議の挨拶同然なんだから。

 "今日はいい天気ですねえ"、"そうですねえ"くらいのものでしかないんだから!

 

「やはりこうして見ると、感動を覚えずにはいられんな……! ワールドプロセッサとコマンドプロンプト、この世界の造物主にして至高存在が二柱、ここに揃われているのだ」

「へへっ、なんだかすげえ鳥肌もんだぜェ。オレ達精霊知能をもってしても、こちらの方々に直にお会いできるヤツぁ領域内にどれだけいるやら」

「公平さん、やっぱり本質的にはコマンドプロンプトですよねー。普段の公平さんとしての部分ももちろん素でしょうけどー、今の会話からもなんていうか、最上位存在としてのオーラがマシマシっていうかー」

「山形公平のほうは多少、こちらを意識している感じも見受けられるが……ワールドプロセッサは完全に我々など意識外と言った感じだな。どちらがより至高存在にふさわしいかと問われればそれはワールドプロセッサだが、コマンドプロンプトの気遣いはワタシ達にとって嬉しいものであるのもたしかではある」

 

 アフツスト、シャーリヒッタ、リーベ、ヴァールが何やら畏怖と敬意を込めてこちらを見てくる。居た堪れない。

 なかでもヴァールだけはこちらの気まずさに気づいてくれたのはやはり経験値だろう。さすが100年ものの政治家さんだ、半端じゃないぜ!

 

 一方でこっちもこっちですごいことになってるぞ、神奈川さんにステラにミュトス。

 完全に息を呑んで圧倒されちゃってるけど、ワールドプロセッサの圧に加えてここに至るまでのんびりホンワカゆるふわ少年だった山形公平くんが急にコマンドプロンプトになったもんで、その落差の激しさにジェットコースターにでも乗った心地かもしれない。

 

「す……すげえな、本当……俺はまだ、山形さんのこともちゃんと受け止められてなかったのかもしれない。この人がコマンドプロンプトだって、理解していても実感してなかったんだな」

『大丈夫だよ私の千尋。それでもこうして今、あなたも御方の威に触れたんだから。ワールドプロセッサ様についても含めてまた一つ、精霊知能として一歩進めたんだよ』

「い、いやあ……普段は普通に人間やってる山形様も、やっぱワールドプロセッサ様と話すとなるとコマンドプロンプト様なんですねえ。私のなかの三界機構さん達も、"さすがにそういう時くらいはちゃんとやってくれてホッとした"って言ってますし」

「えぇ……?」

 

 神奈川さんを脅かすような形になっちゃったのがシンプルに申しわけない。ステラに慰められているからまだ良いけれど、あとでこちらからもフォローはしておきたいところだね。

 そしてミュトス……ってかミュトスの内側にいる三界機構! なんだその言い草は、普段ちゃんとやってないみたいに言うなよな!

 

 

『やってないだろコマンドプロンプト。やれやれ、普段ノーテンキに暮らしてるからそう言われちゃうんだよ』

 

 

 黙らっしゃい徹頭徹尾ちゃんとやってこなかった元ワールドプロセッサ!

 脳内のアルマさんにもしっかりツッコミを入れていく。そうしているうちに、俺の気分もすっかり元の山形公平らしい感じになってきたよ。




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