攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

2014 / 2045
倒すためでない、救うための戦い

 委員会についての確認と共有、そして今後の方針についてはこんなもんだろう。というかこんなもんにせざるを得ない。

 これ以上深掘りすると再三ながら危険だからね。ふとした拍子にあっ、アイツらあの段階の試練じゃん! ってアハ体験しちゃいでもしたらもう目も当てられない、その時点でシステム領域は何もできなくなっちゃうからね。

 

「なかなかに大変なことが起きてますねー……大ダンジョン時代の裏側で起きていたことが、まさか巣立ち案件のエラーかもしれないだなんてー」

「そりゃ、父様もここまで警戒なさるはずだぜェ。ことと次第によっちゃ、今いる現世人類の巣立ちが詰みかねねェ。仮にそうなったとしても世界の存亡的な意味ではそこまで被害はねェだろォが、それでもよォ」

『後味は悪くなるものねえ。仕方ないとは言え、システム領域が打たざるを得なかった手段が遠因なわけだろうし。言うなればこれもある種の後始末でしょうね』

「まったく。つくづくどこまでも禍根を残してくれるな、邪悪なる思念め……」

 

 リーベやシャーリヒッタ、ヴァールも現状を把握していて、うんざりというかやれやれってな感じでため息を吐いている。

 繰り返しになるけど本来、この時点でこんな話は出てきちゃいけないものだからね。現世人類の文明度と進行度が今よりもっと進んだ段階になって初めて、巣立ちプログラムは起動するべきものなんだ。

 

 それがあまりに早すぎるこの始末。結局のところ、システム領域による介入──オペレータ計画によって著しく現世地球が変質したのがトリガーなのだろうけど、こればかりは直接委員会の彼らと出会うなかでたしかめるべきことか。

 魔天はほぼ確定のものとしてすでに見ているけどね。オペレータ計画の主導者であるヴァールが、今はもう魂だけの邪悪なる思念へと憎々しげにつぶやいた。

 

 

『へん、知るもんか。負け犬どもがなんでも僕のせいにして、良い気味だよ。大体な、僕をどうにかするためだからってそんな手段を選んだのが自分達だろう? 僕に当たるなよみっともない』

 

 

 その脳内のアルマさんもおかしげに嗤っている。人のせいにするなと言うけど確定でお前のせいなんだよなあ。

 ……まあ、その手段を選んだのは自分達ってところは同意だけれど。こいつがどうであれ現世をも巻き込んだ計画を発動し、その結果今の事態を招いたのはシステム領域だ。そこは、間違えてはいけない。

 

 だからこそ俺達はここまで手を尽くして委員会に対処しようとしているんだ。

 打ち倒すのではなく保護するために。今はまだその段階じゃないのに現出してしまった彼らを、ある意味では救うためにね。

 彼らを打倒し超克していくのは遠い未来、遥かな場所でのこと。辿り着いた現世人類の末裔達が成すべきことだよ。俺達のやることじゃない。

 

「……委員会についての話はこんなところだな。さて、次はインターフェイサーについてか。シャーリヒッタ、何か言うことがあるんだろ?」

「はい! つってもそんな大して長い話じゃねェってか、インターフェイサー組織にあたっての現状報告なんだぜ!」

『システム領域による現世介入部隊か。他ならぬミュトスも加わってるから当然俺らも見聞きしてるが、なかなか楽しそうなこと考えるよなお前ら。自我を持った上で危機的状況を脱すりゃこうもなるのか、精霊知能もよ』

 

 概ね話すべきは話したってんで、俺は次いでシャーリヒッタにバトンを渡した。ここからは彼女による、インターフェイサーについてのお話だ。

 まあ、ここに至るまでの動きについて報告するだけなのでそう長いことにはならないけどね。

 

 断獄も楽しそうに笑っている。ミュトスのなかにあって事態を見てきたゆえに、インターフェイサーというシステム領域による部隊が構築されようとしていることが興味深いのか。

 まあ、精霊知能が発生した上でそのきっかけとなった窮地が取り除かれて平和を迎える、なんてパターンを迎えられず終いだったわけだし、こうして独自の文化や文明を築こうとする彼らの姿は三界機構には物珍しく映るんだろうね。

 

 さっそくシャーリヒッタによる報告が始まる。

 概ね、内容はインターフェイサーに加入する予定の現世存在達への言及だった。

 

「精霊知能を中心に組織するインターフェイサーですが、現世領域および概念領域からも構成員ないし協力者を募るんだぜ──ひとまずは現世からおかし三人娘の徳島千代子、鹿児島天乃、新潟花夢、そしてS級探査者の愛知九葉。加えて概念領域からは、北欧神話圏の戦乙女レギンレイヴを予定してるぜ!」

「俺からも補足だが、おかし三人娘は俺が始原概念を紹介した。《武装化顕現》にも応じるほどにあいつらも彼女らを気に入ってくれているし、戦力的な伸びしろは高いと思う」

「そしてS級の愛知九葉と……概念存在レギンレイヴですか。特にレギンレイヴはなかなか興味深いですね。概念領域とシステム領域の、橋渡しと成り得るか」

 

 おかし三人娘。愛知さん。そしてイヴさん。

 現状この人達は声かけするし、イヴさんにいたってはもうほぼ確定だ。ワールドプロセッサもそのへんは時折現世を見て把握しているんだろう、特に引っかかることもないまま受け入れてうなずいていた。




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