攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

2022 / 2046
前に一度だけ名前が出たことのある精霊知能!

 そんなこんなで俺達はビルを出て、ヌツェンがいるというスポーツ施設に赴いた。

 現世であればまず行かない施設だ……完全に日常の動線に入っていない場所だもの。俺ちゃんが普段、プライベートな時間を使ってまでスポーツを楽しむわけがないのだ。

 

 まあ、これについては陰キャ陽キャとかの区別でなく個人的にやっぱりインドア派だからってのが大きいけどね。探査者になる以前からそもそもゲームやアニメ・マンガ、ネット大好きっ子なわけですし。

 探査者になったらなったで、運動したけりゃ探査行けってなもんだ。もちろんスポーツと探査を一緒にしてはいけないけれどね。

 

「というわけでこういう施設を見るのも初めてなんだけども……なんかやっぱり未来的というか、滑らかなデザインしてるなあ」

「そもそも都市全体に言えることだが、やはり流線的なデザインが多いな? それに青を基調としてレトロフューチャーチックにしているが、ちなみにこのデザインや設計は誰が?」

「精霊知能内において有志が結成した、都市設計チームだな。私も監督しているぞ。一つの都市ごとに3000体ほどいて、テクスチャのデザインからプログラミング、実際の貼付けからその後の管理運営までを副業程度に受け持っている。無論、本業は本来のシステムサイドだ。言ってしまえばこれも余暇の嗜みに過ぎん」

「3000体……それでも規模的にはひとつまみくらいなんだもんな、この都市だけでも1000万体近くいるだろうし」

「インフレだぜェ」

 

 見えてきたその施設が、これまた近未来的というか……デザインにこだわりすぎてよく分からないことになって見えるハイカラな感じに見えるのもまた、ある意味ではシステム領域特有だろう。

 現世ではなかなかないはずだ、こういうのはさすがに。そのへん、物理法則とか関係なしにオブジェクトとテクスチャさえ構築すればどうとでもなるこの領域らしいかなー。

 

 なんならこの都市全体が、やりたいってなった精霊知能達によるデザインの賜物だからね。本業は他にあるとのことで半ば趣味的なものだろうけど、それなりにベテランが手がけているんだろう出来栄えだよ。

 テクテク歩いて近未来的施設の前へ。うおっ自動ドア、そして内部もなんかピカピカ煌めく青っぽい大理石オブジェクトの床に白亜の壁、柱、その他諸々のロビー。

 

 受付もしっかりあって、精霊知能の女の子がそこに立ってるね。必要ないだろうに、やはり趣味ってことだろう。

 アフツストが先頭に立って彼女らに話しかけた。精霊知能統括担当の顔はもちろん知っていて、彼女らの顔が若干の緊張に強張る。

 怖ぁ……余暇してたらとんでもない大物上司の襲来だもんね、わかるよ。

 

「お勤めご苦労、諸君。我々もここを利用したいのだが手続きを頼めるかな?」

「あ、アフツスト精霊知能統括担当! お疲れさまです! ……そ、そのう。もちろん手続きしますけど、う、後ろの方はま、まさか」

「こ、コマンドプロンプト様!? それに現世出向中のリーベ姉さんやシャーリヒッタ姉さん、ヴァール姉さんまで!」

「都市を案内中だ。縁のあるヌツェンをここに呼び出していてな……いるだろう、彼女も?」

「は、はい! ヌツェン補佐官代行は今、ティートレ称号管理担当およびクロノジーテスキル担当とキャッチボールをしています!」

 

 アフツストばかりかその後ろに並ぶ、呑気な顔した俺ちゃんや精霊知能三姉妹にも気づいたようだ。受付嬢さん達が二人揃って慌ててるのが何やら申しわけない。

 ていうかやっぱり姉さん扱いなんだな、この三人。ヌツェンも姉様呼びしてたし、若い精霊知能達のなかでそういう立ち位置になってるんだろうな。さすがは第一世代だよ。

 

 さておき話を聞くにヌツェンさん、友人だろう精霊知能達とキャッチボールをしているらしい。

 ティートレとクロノジーテ……どちらも覚えのあるモノ達だ。特にティートレは先日、アレクサンドラの取り調べにて世話になった。

 彼女の称号だった《聖女》を、シャルロットさんに移し替えてくれたのが彼だものな。えらく暑苦しい、ものすごいノリの子だったよ。

 

 そしてクロノジーテ。こっちは正直意外なところで名前が出たなって感じだ。

 スキル製作担当の精霊知能で、マシネって相方ともども400年くらい前に発生したんだったかな。つまりステラと同世代くらいだ。

 ヌツェンやティートレからすれば結構な先輩だろうに、仲が良いんだなあ。バグフィックス担当と称号担当ってことで、スキル担当と距離が近しいのもあるかもしれないね。

 

「そろい踏みか。どうせならマシネもいれば良かったが、アレは運動はしないか。まあ良い、とにかく利用手続きを頼みたい。その後、ヌツェンの下へ御方をお連れする」

「はい、直ちに! ────できました! こちらのリストバンドをどうぞ!」

「早っ」

「さすがですねえ」

『クロノジーテかあ……400年ぶりかな? 元気そうなのは良かったけど』

 

 アフツストの言葉に応じて、受付嬢二人がすぐさま手続きに入り、そして終わった。瞬速の手続きだ、さすがだね。

 神奈川さんやミュトスは不慣れだもんで驚いてるけど、現世とはもちろん違って結局システム領域でのことだから。この手のデータ処理は誰もがお手の物なのよ。

 

 そんでもってステラが地味に、同期のクロノジーテを気にしている。

 聖剣担当として400年、データ領域とか現世の山奥にいた彼女からすれば本当に久しぶりだろう。旧交を温めてほしいところだね、ぜひとも。




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