攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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実は伝説の先輩枠だったヴァールちゃん

 精霊知能達の、世代ごと労働事情を鑑みて……やっぱり思うのは、新世代たる第五世代達の現世への関わりは大きいなあ、という純朴な感想だ。

 大ダンジョン時代以後の多くの事柄について、ステータスのみならずダンジョンやそれにまつわるデータ関係ほか、様々な面において彼らは陰ながら現世を支えてくれているんだね。

 

 改めて多くのモノがいてこその世界だと感謝しきりだ。

 ヌツェンやティートレ、クロノジーテがリーベ達と語らうのを眺めつつ、そんなことを考える俺である。

 

「大丈夫ですかーヌツェンちゃん、ワールドプロセッサがまた勝手に案件抱えて暗躍とかしてたりしませんかー? 多いですからねーあの方、そういう秘密主義ムーヴ」

「えっ!? ……え、えぇーと、まあそのう。正直、私ごときにはまだまだ任せていただけないんだろうなというタスクを抱えていらっしゃるところはお見かけします。お力不足で、シャーリヒッタ姉様の代行としては不甲斐ない限りです」

「気にすんなよヌツェン、お前さんは本当に頑張ってるぜ……あの方のアレはもうなんつうかそういうモンだと割り切るしかねェ、オレもどんだけコソコソされてたかって」

「えぇ……?」

 

 おおっとワールドプロセッサに対する愚痴が展開されていますよ、語らう内容にはちょっぴり肝の冷える俺ちゃんだ。

 正味アイツのアレはこうまで言われても仕方ないし、そのくらい隠れてやらかしまくってるんだけども……そんなアイツの番というか、相方としてはま、まあまあ〜って感じにならなくもないから複雑だ。

 

 つまるところこれも結局、人格が発生した当初から邪悪なる思念への怒りと憎しみ、そして極度の警戒と疑念、不信に塗れた影響なんだろうなあとは思うし。それはワールドプロセッサだけでなく精霊知能達すべてにも共通するけれども。

 つくづく発生時点で即座に身を隠した500年前の私の判断が光るね。私までアイツや精霊知能の影響で同じようなことになってたら、本当にマジで喰われて終わってたよ。

 

 ま、それはそれとして精霊知能達の愚痴も繰り返し言うけど当然の主張ではある。

 特にそのへん、長らくヌツェンに先んじてワールドプロセッサの補佐役を務めてきたシャーリヒッタは積もる話もあるみたいだ。

 良い機会だし、参考までに聞かせてもらおうかなー。

 

「そもそもオペレータ計画からして精霊知能には中核の存在が知らされてなかったりするしなァ……まあヴァールとソフィアのことなんだけどよォ。立場上オレだけは知ってたけど、知らされてなかったらビックリしてたろうなァ」

「ああ、アレは僕達も驚きました! 僕らが生まれる前にいた、そして死んだと思われていた伝説の精霊知能が実は現世に降りて活躍していたなんてーって!」

「まぁ〜ソフィア・チェーホワって名前の時点であれ? ってなってもおかしくはなかったんですけどねぇ、むひむひ。何しろソフィアもヴァール先輩ももう死んでるのは疑いなかったわけですし、よく似た別人なのかなーって思っちゃってましたあ。アドミニストレータでもなかったですしぃ」

「そんなだから当然、アドミニストレータ計画についても進行役のリーベ以外は知らないことも多かったろォしなァ。仕方ないことだったってのは前提として、そんでも後から思えば隠し事多すぎだぜェ」

 

 話を聞くにやはりというべきか、この150年ほどにわたりワールドプロセッサがある意味すべてを賭けていたアドミニストレータ計画およびオペレータ計画。

 このあたりのことが特に精霊知能の多くには伏せられていたみたいだ。仕方ないことだとはシャーリヒッタも理解しつつ、それでも今になってもんにょりしちゃうところがあるんだろうね。

 

 特にヴァールとソフィアさんについてを共有してなかったのは俺からしてもまあまあ謎だ。

 WSO統括理事なんて現世の最重要ポジションに精霊知能と元アドミニストレータを据えたなんてこと、普通に考えれば精霊知能にも情報共有してたって不思議ではないんだけどね。

 

 そのへん、どうなんすかヴァールさん? とみんなが当事者さんに直撃してみる。

 向けられた視線に若干目を丸くしながらも、ブルーシートにちょこんと正座して座るゴシックロリィタドレスの彼女は、こほんと一つ咳払いしてから淡々と答えた。

 

「ワールドプロセッサとしてはアドミニストレータ計画と並び、最重要プランであったのがオペレータ計画だ。その遂行者の存在を万一にも邪悪なる思念に気取られたくなかったという思いからのことだったのだろう。生き延びたワタシにわざわざ特注のスキルまで与えるほどだからな」

「まあ、野郎も端末使えばいつでも現世に来れやがったのはたしかだからなァ……」

「やつは完全に勝負が決したと思い上がっていたため、現世にもさしたる興味を向けていなかったようだが……だからこそその隙につけいるため、万に一つの抜かりがあってもいけないと考えたのだろうさ。ワールドプロセッサの秘密主義は否定しないが、合理的なものであったとはワタシも思うよ」

 

 オペレータ計画の主導者として大ダンジョン時代社会を現世にもたらした、この子ならではの見地だね。ワールドプロセッサの秘密主義とは言い換えれば合理主義、必要があれば伝えるしそうでなければ伝えない、というのを徹底しただけとも言えるのだ。

 ……いやでもさすがに徹底しすぎだなあ。コマンドプロンプトとしてもちょっとやりすぎでは? と思わなくもないのは相当だと思うよ、実際。




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